知っておきたい高齢者の食事講座

vol.1 渋谷区
介護予防=運動という高齢者の意識をもっと“食”に向けていきたい

食事券事業と口腔ケア教室で食の支援

高齢者の食の支援に関しては、総合事業の枠組みの中では行っていませんが、従来から食事の宅配サービスには力を入れてきました。
平成24年度からは、それをさらに拡充する意味で食事券の販売を行っています。
これは、要支援、要介護の認定を受けた方を対象に、区内のレストランなど協力店と食事の宅配サービスの支払いに利用できる食事券を区が販売するというものです。

250円券10枚綴り2,500円分を1,000円で販売し、1人月3冊まで購入できます。
1回につき250円券1枚を現金と合わせて使用することができるため、500円の食事であれば、実質負担350円で食べられる計算です。
ファストフード店やパン・ケーキ店から寿司、イタリアン、焼き肉、中華料理店などの各種レストランまで67店で利用でき、食事の宅配サービスは6店から選べます(平成29年6月現在)。
家から出かけるきっかけにしてもらおうとはじめた試みで、閉じこもり防止に一役買っています。

また、平成24年度からは、歯科医師会と連携して「歯(は)っぴぃ健(けん)口(こう)教室」という口腔機能の低下を予防するプログラムを行っています。
1クールが週1回×4週の講座で、65歳以上の住民20人ほどを対象に行い、年4クール開催します。
講座ではまず、のどや舌、唾液など、参加者の口腔機能について調べます。それから、口腔機能と全身状態の関係や、低栄養状態をいかに防ぐかなどについて伝えつつ、口腔内や顔の筋肉を鍛えるストレッチ等を行います。
このストレッチを自宅でも実践してもらい、最終回の4回目に口腔機能を再度調べて、ストレッチ等の効果を実感してもらうのです。
この講座は、食や口腔ケアについての意識を高めるために、年4クールをそれぞれ違うエリアで開催しています。

高齢者には実践できる食べ方を伝えていく

こうした取り組みは行っていますが、高齢者の食に対する意識はまだまだ低いですね。
介護予防というと、高齢者はまず運動と考えがちです。

入れ歯だと口腔ケアは必要ないと考えている高齢者は多いですし、歳をとったら、栄養よりとにかく食べられていればいいと思っている方が多いように感じます。
まず、その意識を変えていくことが必要です。

食への意識を高めるために、食品成分表や食事バランスガイドなどを住民に配布してはどうかという意見も聞きます。
しかし、それでは高齢者には、具体的にどうすればいいのかがわかりにくいように思います。
1日30品目食べましょうというのも、家庭生活で実践するのはなかなか難しいものです。
高齢者、中でも一人暮らしの方は、何をするにもおっくうでやる気がしないという声をよく耳にします。
そういう方には、1日に1回タマゴを食べましょうとか、週に3回は肉を食べましょうとか、わかりやすく、簡単に実践できることを伝えていく方がよいのではないでしょうか。
この部分に、ケアマネジャーの力を借りていきたいと考えています。

事業者向け講座も開催し、後押ししたい

ケアマネジャーには、食事券事業や「歯(は)っぴぃ健(けん)口(こう)教室」なども含め、渋谷区独自の取り組みについて、前述した渋谷区主催のケアマネジャー研修で伝えています。
それを頭に入れて、対象となる利用者には声をかけ、利用や参加を促してくれていることと思います。
しかし、渋谷区として把握し切れていない面もありますが、まだケアマネジャーが食の支援に積極的に動いてくれているという、強い印象はありません。
歳を重ねても適切に栄養を摂取しないと、低栄養状態になって筋力が衰えること。
低栄養を防ぐには、何を食べればよいか。熱中症を予防するにはどうすればよいのか。
そうしたことを、まず利用者や介護する家族と密に関わるケアマネジャー自身に学んでもらい、それを利用者や家族にわかりやすく伝えてもらえればと思います。

渋谷区としても、高齢者が集まる場に出向いたり、講座を開催したりして、そうしたことを伝えていきたいと思っています。
さらに、ケアマネジャーやヘルパーなどの事業者に向けた、食支援の講座などを開催し、ケアマネジャー等の事業者が高齢者に伝えていく後押しをしたいと考えています。

平成28年度には、ケアマネジャー連絡会で食についての講演会を実施しました。
レトルトの介護食の試食などを行ったところ、味や栄養バランスがよく、これまで持っていた介護食のイメージが変わった、などの声がありました。
今後もこうした機会を通して、ケアマネジャーの食支援に対する意識を高めていきたいですね。
そして、介護食なども上手に使って、最後まで口から食べられるよう支援してほしいと考えています。

これから、第7期の高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画を立案していきますが、その中にも、もちろん、食支援について盛り込んでいく考えです。

データで見る渋谷区の高齢者

渋谷区の総人口は、平成29年4月1日時点で223,412人であり、うち65歳以上の高齢者人口は42,532人。高齢化率は19.0%で、平成28年9月時点での日本の高齢化率27.3%に比べると約8ポイントも低い、若い自治体である。
在宅の高齢者は、23%が一人暮らし、夫婦2人暮らしが30.5%で、日中高齢者一人で過ごしていると思われる「配偶者以外と2人暮らし」も9.2%となっている。今後、見守りや何らかの支援を必要とする高齢者が増加していくことが予想される。
一方、持ち家比率は73.6%と高く、そのうちの5割弱は、介護が必要になっても自宅に住み続けることを希望している。
要介護認定者数は、平成29年度末時点で約8600人、要介護認定率は約20%。平成29年1月時点での全国平均約18.0%より約2ポイント高くなっている。
小野健一氏

小野健一氏

渋谷区役所福祉部
高齢福祉課課長

高齢者の栄養摂取のポイントと「キユーピーやさしい献立」無料勉強会
キユーピー「やさしい献立」をご自宅までお届け
キユーピー「やさしい献立」 商品特設サイトはこちら
パンフレットダウンロード
かんたんアレンジ!「やさしい献立」に一手間加えたレシピご紹介します。
アンケートフォーム

このページをご覧になった感想をご記入ください。また今後取り上げてほしいテーマがありましたらご記入ください。(任意)