知っておきたい高齢者の食事講座

vol.11 食に健康求める団塊世代、連携して対応を

第11回のインタビューは訪問看護ステーションや地域包括支援センターで在宅高齢者の支援に携わり、ケアマネジャーの教育・研修においても経験が豊富な吉良厚子先生です。吉良先生には第6回にも登場いただき、ケアマネジャーの食への意識はまだまだ不足していることや、アセスメントでも食に着目する視点を持つ必要性などを指摘していただきました(vol.6 ケアマネジャーに必要な高齢者の「食」への理解とは?)。
「食と体の成り立ちを科学的に理解すれば、深く広い支援ができるようになるということを、ぜひケアマネジャーの皆さんに知ってもらいたい」
前回のインタビューの最後で、このように強調されていた吉良先生ですが、最近は、食に対する意識の高いケアマネジャーとそうでないケアマネジャーの間での“格差”が広がっていると指摘されています。また、将来予測される制度改正や食に健康を求める団塊世代のニーズに対応するためにも、ケアマネジャー事業所同士が積極的に連携を強化すべきというメッセージもいただきました。

ケアマネジャーの間で“格差”が生じた食への意識

ここ数年で、ケアマネジャーの「食」に対する意識が高まったように思います。

数年前に「かいごしょく」と言うと、介護「職」という字面しか頭に浮かばないケアマネジャーが多く、介護「食」を前提に話をしても、会話が成立しないことが珍しくありませんでした。しかし、最近は「介護食」を意味する言葉としてスムーズに話し合えることが多くなったように思います。フレイル(虚弱)やサルコペニア(加齢による骨格筋量の低下)、廃用症候群などに問題意識を持つ人が増えたことが影響しているのでしょう。

もっとも、ケアマネジャー全員の意識が高まったわけではありません。意識の高い人とそうでない人の“格差”が広がっているように感じます。特に、インターネット上の掲示板などのやり取りを見ていると、そう思いますね。

例えば、「日本摂食・嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2013」や「スマイルケア食」など、複数ある介護食の基準の相関関係について質問するケアマネジャーがいるかと思えば、何年もケアマネジャー業務に従事していてもフレイルにも介護食にも十分な知識がないまま、「食べ物をかんだり、飲み込んだりするのが難しくなった人には、どんな工夫が必要でしょうか」という質問を投げかけるケアマネジャーもいたりします。

「健康」と「食」を直結させる団塊の世代

“格差”が生じてしまっているとしても、ケアマネジャーの食に対する意識は、確実に変わりつつあるといえるでしょう。

ただし、ケアマネジャー以上のスピードで食への意識を変えつつある人たちがいます。ほかでもない「高齢者」です。

今、主に介護保険サービスを利用している80歳代や90歳代は、いわゆる「戦前・戦中世代」。食べ物を確保することに長く苦労されてきた人々です。それだけに、食については「白いご飯をおなか一杯食べられれば、それでいい」という人が多数派です。

しかし、これから後期高齢者になる団塊の世代は、全く違います。「腹いっぱい食べたい」とか、「うまいものを食べたい」といった思いもあるにはありますが、何より「健康になる食べ方をしたい」という意識が強い。そんな団塊の世代が、これからのケアマネジャーの主な顧客となるのです。

少し専門的な食の知識が必要

それだけにケアマネジャーは、少し専門的な食の知識を持っておかなければならないでしょう。例えば「70歳代の男性は、1日にたんぱく質をどのくらいとらなければならないか。そのためには主に何を食べればよいか」や「一日に必要なカロリーは、どのくらいか」くらいの知識は持っておくべきです。その上で、さらに専門的な質問を受けた場合は、管理栄養士を始めとした食の専門家につなげばいいのです。

日々の栄養管理に関する知識に加えて、腸を使って消化吸収することや口から食べることが健康維持に重要な役割を果たすことも知っておくべきです。すべての高齢者が健康への意識が高いわけではありません。いまだに「具合が悪いなら病院にいって点滴をしてもらおう」なんてことを言う人もいます。また、胃ろうを造設したことで、口から食べることをあきらめている人も少なくないようです。

ケアマネジャーとしては、こうした人に対しても口から食べることの重要性をしっかり説明すべきです。胃ろうを造設した人に対しては、口から食べることを取り戻すことを目指したサービスの組み合わせを提案してほしいですね。

もう一つ、強調したいのは、高齢者の在宅生活を支える上で重要な役割を果たす介護食に関する知識を持っておくことです。「どんな状態の人がどのレベルの商品を使えばよいのか」といったことに加え、購入方法についてもある程度の知識を持っておきましょう。特に重要な購入方法である通信販売については、申し込みや試供品の依頼のフォローくらいはできた方がいいと思います。

吉良 厚子 先生

吉良 厚子 先生

京都介護医療総研株式会社 代表取締役、主任介護支援専門員・看護師。
愛媛県立中央病院、訪問看護ステーションにて看護師として勤務後、介護支援専門員として勤務し、地域包括支援センターで勤務。
公益社団法人京都府介護支援専門員会にて事務局長として介護支援専門員の研修に注力した後、現職。

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