第3回目は、ケアマネジャーの皆さんが、日々遭遇されている排泄トラブルの実態について迫ります。排泄トラブルの件数、内容、原因をご紹介します。

あなたが担当しているケースで、大人用紙おむつや軽失禁パッドなどを利用されているケースの件数、ならびに排泄ケア製品を利用してもなお、排泄トラブルが解消されないケースの件数を教えてください。

排泄ケア製品利用者は9割、排泄トラブル未解決は8割

9割以上のケアマネジャーさんが、担当ケースで排泄ケア製品を利用していると回答されました。

その件数は、今回調査にご協力いただいたケアマネジャーさんの平均ケアプラン数（10件、Vol.1で紹介）の半数にも及びました。中には担当ケースのほとんどが排泄ケア製品を利用している、と回答されたケアマネジャーさんも、排泄ケアを必要としている要介護高齢者が多いことにあらためて驚かされます。

また、排泄ケア製品を利用しても排泄トラブルが解消されていないケースを抱えるケアマネジャーさんは約8割にものぼりました。排泄ケア製品を利用してもなお、排泄トラブルが解決されずに不安や不満をかかえているご利用者様がいらっしゃるという現実が、排泄ケアの難しさを物語っています。

あなたが担当しているケースの排泄トラブルの内容は、主にどのようなものですか。

トラブルの1位は、おむつや軽失禁パッドからの「尿モレ」

排泄トラブルの1位は、おむつや軽失禁パッドなど、排泄ケア製品からの「尿モレ」です。2～4位は、ご利用者様のお体の状態の変化で不具合が起こる尿失禁や便失禁、肌のトラブルについてです。

1位の排泄ケア製品からの「尿モレ」については、排泄ケア製品の選び方や使い方を見直すことで、解消することができます。

2～4位については、ご利用者様の日頃のお体の状況や変化をよく観察し、排泄ケア製品を使用、ポータブルトイレの利用など、環境を整えることでトラブルの回避につながります。

あなたが担当している排泄トラブルのあるケースで、その原因として考えられるものを教えてください。（複数回答）

排泄トラブル原因は、ご利用者様一人ひとり違います

選択肢の1～3までが本人に起因するもの、4～6は介護者・協力者に起因するもの、そして7～9は経済面など介護を取り巻く環境に起因するものに分けることができます。

その結果、本人に起因するものを原因として挙げる方が圧倒的に多く、なかでも認知症や身体状況によるものが1位と2位を占めています。

介護者・協力者に起因するものでは、介護者側の体力や技術の問題を挙げる方が約3割、介護を取り巻く環境に起因するものとしては、オムツの費用負担などの「経済的な問題」が原因とするケースが1割強ありました。

排泄トラブルの原因は、ご利用者様一人ひとりのお体の状況が違い、個別の対応が必要となるため、解消することが難しくなってしまうようです。

「おむつ実践講座」には、モレ、おむついじり、おむつへの抵抗感などへの対応事例も紹介されています。

今回のレポートでは、ケアマネジャーさんが抱えるケースには、排泄ケアが必要なプランが非常に多いことがわかりました。そして排泄ケア製品を使ってもなお、多くのトラブルが解決されていない現実も明らかになりました。

トラブルの解消のためには、ケアマネジャーさんの正しいアセスメントで、トラブルの理由や原因を探ることが第一です。そして製品の選び方や使い方が間違っていないかをもう一度確認し、必要に応じてサンプルなどを取り寄せて試してみることをおすすめします。

次回は、これまでにケアマネジャーさんが実際に経験された、一番苦労した排泄トラブル・ケースについて特集します。ご期待ください。

• 排泄ケア基本情報編
• 排泄ケア製品とのかかわり編
• 排泄トラブル エピソード編
• 排泄ケアの工夫編