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おむつ実践講座 症状別の尿もれ対策方法をご紹介します。

軽い尿もれが気になり、外出を控えがちなHさん

対象者のプロフィール

【Hさん/72歳/女性/要支援1/秋田県秋田市在住】
Hさんは旅行が趣味で、友だちと一緒に出かけることを楽しみにしていました。最近、台所で水仕事をしていると尿意をもよおし、急いでトイレに行きましたが、ドアに手がかかった途端に失禁してしまいました。また、買い物に出てトイレに行きたくなったときは、急いで家まで戻ったのですが、ホッとしたのか玄関に荷物を置く間もなく失禁してしまったこともあります。下着の汚れが心配で、普段は孫の生理用ナプキンをつけたり、秋ぐちになってからは厚着をするなど、体が冷えないよう対処しています。

先日、友だちに旅行に誘われましたが「もしトイレに間に合わなかったらどうしよう」と心配になり、体調がすぐれないからと断ってしまいました。人前で失禁するようなことがあったら恥ずかしいので、とにかく不安で外出できない状態です。

また、咳やくしゃみをしたときに、ちょっと失禁してしまうこともあります。近頃はトイレが気になり、日中10回以上トイレに行きます。おむつはまだ使いたくないし、何か良い方法はないかと悩んだ末に、薬局で見かけたパンフレットから「花王・リリーフふれあいダイヤル」に電話されました。

相談内容

■尿意を感じた途端に我慢できず失禁してしまう
■咳やくしゃみをしたときに失禁してしまう
■少量の尿もれなので生理用ナプキンで対処をしている
■冷えを防止するために、厚着・重ね着をしている
■トイレが気になり、1日に10回以上トイレに行く(頻尿)
■まだおむつは使いたくない
■外出先で失禁してしまったらどうしようと不安で外出ができなくなっている
■友人にも気づかれず、一緒に旅行や外出をもっと楽しめるようになりたい

助言内容・対応方法とその結果

メンタル面のケア

失禁が始まったばかりの方々は、ご自身の急な体の変調に強い戸惑いがあり、誰にも相談できず、1人で悩みを抱えてしまいます。まずは高齢者の多くの方々が同じような悩みや経験をしているということを伝え、上手に排泄補助製品を選び、利用していくことで今まで通り、お友だちとの楽しい旅行や外出ができることを説明し、失禁に対する不安を和らげましょう。

身体状況の確認

自立排泄ができ、外出も頻繁だったHさんは、体重60kgと、ふくよかな体型の方です。
「水の流れる音を聞いたら、強い尿意をもよおす」「トイレで下着を下ろす前にもれてしまう」など、切迫性尿失禁の代表的な症状と、「咳やくしゃみをするとモレる」という腹圧性尿失禁の混合タイプです。
こうした複合型の尿失禁タイプは高齢の女性にはよくみられる症状です。

切迫性尿失禁は、膀胱が過敏になって勝手に収縮してしまうために起こります。
腹圧性尿失禁の原因は「骨盤底筋のゆるみ」です。「骨盤底筋のゆるみ」は加齢や肥満などが要因となった筋力の低下から起こります。

アドバイスと対応

現在、Hさんは生理用ナプキンを使用していますが、生理用ナプキンは本来、粘度の高い経血を吸収するためのもので、粘度がなく勢いのある尿を吸収するには不向きなのです。また排泄した尿が一気に吸収されないため、いつまでもナプキンの表面が尿で湿っている状態となり、肌トラブルの原因にもなります。 症状の悪化を防ぐためにも、尿をしっかり吸収して液戻りがなく、表面がいつでもさらさらしている、失禁専用パッドをお使いいただくようおすすめしました。中には、消臭機能の高い失禁専用パッドもあります。 切迫性尿失禁の頻度が高いようであれば、勝手に収縮する膀胱の働きを抑える薬で治療するなど、泌尿器科や女性クリニックなど医療機関を受診することもおすすめしました。 また、腹圧性尿失禁を減らす訓練としては「骨盤底筋体操」を毎日続けることや、尿意を感じたときすぐにトイレへ行かず、他のことを考えるなどしてトイレに行く間隔を少しずつ延ばしていく「膀胱訓練※」をご提案しました。

さらに、生活面では、肥満や筋力の低下も腹圧性尿失禁の原因となりますので、軽い家事などで、少しでも体を動かすようにアドバイスをしました。

これらの内容を「アドバイスブック」にまとめて、サンプルと一緒にお送りしました。

膀胱訓練
尿意を感じても、トイレをしばらく我慢する訓練。我慢できる時間を少しずつ長くすることによって、膀胱の容量が大きくなります。

結果

後日、「サンプルを使って、思い切ってデパートに買い物に出てみました。今まで使っていたナプキンのように、手持ちの自分の下着につけて使えるところがいいですね。もれてしまったときも、ナプキンよりサラッとしていて快適です。毎日、骨盤底筋体操も続けています。気のせいかもしれませんが、尿失禁の専用パッドをしているから大丈夫という安心感からか、尿意を感じてもトイレまで間に合うようになっています。また、長時間着用していても、臭いの心配がありません。もう少し、このパッドを使って自信が持てるようになったら、また友だちと旅行にも行けそうな気がします」と明るく、弾むようなお声を聞かせていただけました。

ケアマネジャーの皆さんへのワンポイントアドバイス

自立度が高く、尿もれが気になり出した方の場合、「誰にも知られたくない、できれば隠したい」という気持ちが働きます。羞恥心から1人で悩み、家に閉じこもりがちになりやすいので、その心情を理解することが大切です。 相手を傷つけない言葉遣いを心がけ、人には言いづらい尿失禁を告白してくれたことに謝意を述べるなどしましょう。また、このような失禁は自分だけに起こる特別な症状ではなく、高齢者なら誰にでも起こる可能性があることを伝え、神経質になりすぎないようにご本人をリラックスさせてください。

同時に、「どんなときにもれるのか、トイレに行く回数、尿もれの頻度・量」などを伺い、状況によっては医療機関の受診もすすめてみましょう。また、高齢者の方は衣類を何枚も重ねている場合も多く、「トイレで脱ぎやすい」ことや、住環境面で「トイレと居室との距離」「扉の開閉のしやすさ」「廊下の明るさ、段差」なども確認しておくことが、失禁予防のポイントです。

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