もう悩まない!最適なおむつの選び方 ケアマネージャーのための大人用おむつ講座 情報提供:花王株式会社もう悩まない!最適なおむつの選び方 ケアマネージャーのための大人用おむつ講座 情報提供:花王株式会社

おむつ実践講座 症状別の尿もれ対策方法をご紹介します。

1日中おむつをしていて肌トラブルにお悩みのNさん

対象者のプロフィール

【Nさん/85歳/男性/要介護4/70kg/東京都武蔵野市在住】
在宅介護5年目のNさんは、75歳の奥様と2人暮らし。お元気な頃は、武道をたしなんでいらした体格のよい方です。現在は寝たきりの状態で、1日中、テープ式おむつに尿吸収量約2回分の尿とりパッドを使用しています。尿量が少ないので尿もれはありませんが、大柄なNさんの体位交換やおむつ交換は、訪問するヘルパーさんや奥様には負担が大きく、そのため排尿後のおむつをあてている時間が長くなりがちです。最近、Nさんは体のかゆみを訴えるようになり、これから暑い季節に床ずれが起きないか心配になった奥様は「花王・リリーフふれあいダイヤル」に電話されました。

相談内容

■日中はヘルパーさんの助けがあるものの、高齢者世帯の老老介護では介護力も限られており、心身ともに疲労している奥様は、夜間のおむつ交換に起きられないことがある
■体格のよいNさんのおむつ交換や体位交換は、介護者にとって、身体的に大きな負担となり、おむつの交換頻度が少なくなりがちである
■汗ばむ夏場に長時間おむつをあてていることで、ムレ、かゆみの発生から床ずれにならないか心配

助言内容・対応方法とその結果

メンタル面のケア

ご自身も75歳と高齢の奥様は、老老介護の負担を感じつつも、体格のよいご主人のおむつ交換を夜間も行おうと努められ、献身的にNさんを支えています。日々のご苦労をねぎらうとともに、肌トラブルまでも配慮したケアをなさろうとする奥様のお気持ちを称えてから、お話をはじめました。

身体状況の確認

Nさんは、体圧がかかりやすいお尻まわりの皮膚が赤くなっています。また、おむつの交換回数が少ないためにおむつの中がムレやすく、Nさんは、かゆみや不快感を訴えられています。

アドバイスと対応

おむつを使用していてお尻まわりが赤くなる、ただれる、ブツブツができるなどの肌トラブルは、おむつの中のムレが主な原因です。 肌トラブルを放置し、Nさんのように体格の大きな方が 長時間、横になっているとその体圧で床ずれを起こす危険性はさらに高まります。普段からの肌の状態を観察・把握することが大切です。

【通気性があるおむつと尿とりパッドを1枚ずつ使用】
おむつの中のムレを防ぐには、通気性があるおむつを使うことが最も大切です。おむつと尿とりパッドを併用する場合、外側のテープ式のおむつも、内側に使う尿とりパッドも通気性があるものを選びましょう。尿とりパッドは、経済性を重視する点から通気性のないものがほとんどですが、特にNさんのようにこまめなおむつ交換が難しい場合や、湿度が高く、発汗の増える夏場は、通気性のある尿とりパッドは欠かせません。奥様にはテープ式、尿とりパッド双方に通気性のあるものを選び、尿もれの原因にもなる重ね使いは決してなさらないようにお願いしました。また、夜間のおむつ交換に起きる奥様の負担をなくすため、複数回排泄しても対応できる夜用尿とりパッドの使用をおすすめしました。

【肌の状態をしっかり観察】
おむつ交換や清拭、陰部洗浄などのときに、おむつの中がムレていないか、皮膚の赤み、カブレ、湿疹などの有無をしっかり観察することが大切です。さらに、おむつ交換や清拭時に、おしりの薬用清浄剤「サニーナ」を使って拭くと、やさしく汚れを拭き取ると同時に、皮膚を保護して汚れがつきにくくなります。介護者の方に大きな負担をかけず、おむつ交換と同時に肌のお手入れが手軽にできるので1度お試しいただくようお伝えしました。

こうしたアドバイスを小冊子「アドバイスブック」にまとめ、サンプル、製品カタログとともにお送りしました。

結果

後日、Nさんの奥様から「送ってもらった通気性のある尿とりパッドとテープ式おむつのサンプルを使用したところ、気になっていた皮膚の赤みも引いた。主人もかゆみを訴えなくなった。尿とりパッドも通気性のあるしっかり吸収するタイプのものを使ったからか、おむつ交換のときに肌がサラッとしているのがわかった。床ずれを起こさないためにはどうしたらいいのか悩んでいたが、いろいろ教えてもらい、こんなに良いおむつがあることを知って安心した。老老介護は大変だが、これからも頑張りたい」とのご報告をお電話でいただきました。

ケアマネジャーの皆さんへのワンポイントアドバイス

湿度の高い梅雨時や発汗が増える夏場は、ムレやカブレなどから、肌トラブルが起きやすくなります。また、肌トラブルは放置すると床ずれの発生につながりますので、注意が必要です。寝ている時間が長く、おむつ交換の頻度も少ない場合は、排泄物や分泌物が皮膚に付着したままの状態が長く続くので、特に肌トラブルが起きやすいと言えるでしょう。

床ずれなどの深刻な肌トラブルを未然に防ぐことは、ご本人はもちろん、ご家族の介護負担の軽減にもつながります。肌トラブルは、「起こさないこと」が最善の対策です。肌トラブルを初期段階で察知するには、おむつ交換や体位交換などの際、肌にどんな変化があったかをこまかに観察、把握することが重要です。肌トラブルの原因となるムレ・カブレを防ぐには、こまめな交換が理想です。
しかし、介護力や介護環境などの事情により、こまめな交換が実施できない場合は、通気性のある高吸収パッドを使い適切なおむつ選びを行うことや、肌の観察などを強化することをおすすめいたします。

おむつやパッドは、通気性があり、その方の尿量や交換頻度に見合ったものを選ぶのはもちろんですが、不適切な使い方では意味がありません。もれが心配だからといって尿とりパッドを重ねて使うことは、不自然な姿勢になって、より大きな体圧がかかり、床ずれを引き起こす原因ともなります。おむつと尿とりパッドを併用する場合、適した吸収量のものを1枚で使用するように介護者にアドバイスしてください。重ね使いは、ご利用者さんの不快感などにもつながり、パッドをずらしたり、引き抜いたりすることにもつながってしまいます。

また、高齢者の肌は敏感なので、小さな傷でも床ずれを起こしやすくなっていますから、おむつの位置を直すとき、体の下のおむつを引っ張ったりして肌に傷をつけないように注意が必要です。寝たきりの方のおむつ交換や体位変換は、介護者に大きな負担をかけますが、最近出ている福祉用具などを上手に利用してみてはいかがでしょう。
介護状況や解決すべき課題によっては、おむつの工夫以外にも、こうした福祉用具の活用も考慮したケアの立案も、排泄・肌トラブルにお悩みの方の一助になると思います。

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