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結城教授の深掘り!介護保険 結城教授の深掘り!介護保険

VOL.5再燃したケアマネ自己負担導入論を考える

2018/05/21 配信

新たな介護報酬が施行されたばかりの4月11日、財務省の「財政制度等審議会」で、再び居宅介護支援における自己負担導入の提言がなされた。財務省は「保険者におけるケアプランチェックと相まってケアマネジメントの質の向上を図る観点から、居宅介護支援に利用者負担を設ける」と、その必要性を強調している。今後の注目ポイントとしては、2018年6月にまとまる政府の「骨太の方針」に、この提言がどのような形で盛り込まれるかだ。

ただし、「骨太の方針」への反映がどのような形になるにせよ、居宅介護支援への自己負担導入の是非は、21年度に予定される介護保険法改正に向けた議論の大きなポイントの一つになるだろう。

常に浮いては消えてきたテーマ

そもそも、居宅介護支援への自己負担導入の是非は、介護保険制度改正が検討されるタイミングで、必ずといっていいほど議論されてきた。この4月に施行された介護保険法の改正に向けた議論でも取り上げられたし、15年4月の制度改正に向けた議論の時もそうだった。つまり、常に浮いたり消えたりしているテーマだ。だから、長く介護業界にいる人の中には、「どうせ実現しないだろう」と、高をくくっている人もいるかもしれない。

介護保険部会でも高まっている導入論

ただ、気になることはある。最近、有料化を推し進めようとする意見がどんどん強まっている点だ。介護保険制度の方向性を検討する社会保障審議会介護保険部会でも、財務省と同じ見解を持ち、有料化を推し進めようとする意見を述べる有識者が珍しくなくなった。

実際、18年4月の介護保険制度改正に向けた議論では、経済団体関係者だけでなく、学術関係者や医療の現場関係者からも「自己負担が導入されたぐらいでケアマネジャーの専門性が発揮できないのですかと言いたい」など、有料化を是認する意見が出た。さらに、介護保険部会の部会長代理まで「いずれにしろ、どこかの時点で踏み切って解決しなければいけない問題。やはり1割負担を導入したほうがいい」と述べているのだ。こうした流れを思うと、居宅介護支援への自己負担導入は、時間の問題ではないかとすら思えてくる。

そこで今回は居宅介護支援への自己負担導入がもたらす影響について詳しく考えてみたい。なお、財務省の財政制度等審議会では「介護保険サービスに原則、2割自己負担を導入」といった提案もなされているが、これらの議論は別の機会に述べたい。

「500億円」という効果、一方で「公正・中立」を侵す懸念も

居宅介護支援への自己負担の導入によって得られるわかりやすい効果としては、財政効果が挙げられる。1割の自己負担であれば、利用者には毎月1000円~1300円弱の自己負担が課せられる(表1参照)。しかも、「特定事業者加算」などの「加算」を取得している居宅介護支援事業所を利用している要介護者は、さらなる負担が上乗せされる可能性もある。つまり優良事業者を利用する要介護者は、より大きな負担が課せられるかもしれないのだ。

ちなみに、16年度の居宅介護支援における給付費は約4900億円であるため、1割自己負担を導入すれば約500億円の財政効果が見込めることになる。

一方、これまで居宅介護支援に自己負担が導入されなかった主な理由としては、▽利用者の「代弁者機能」を優先する▽中立・公正性の維持―が挙げられる。いずれも介護保険の根本にかかわる役割だが、自己負担導入に反対する人の有識者の中には、こうした役割が失われる危険があると主張する人も多い。

次ページ>>在宅ケアマネ、導入反対は半数を超えたが…

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結城 康博(ゆうき・やすひろ)
1969年、北海道生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒、法政大学大学院修了(経済学修士、政治学博士)。介護職やケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護系の仕事に10年間従事。現在、淑徳大学教授(社会保障論、社会福祉学)。社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーの資格も持つ。著書に『医療の値段―診療報酬と政治』『介護ー現場からの検証』『国民健康保険』『孤独死のリアル』『日本の介護システム―政策決定過程と現場ニーズの分析』などがある。

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