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結城教授の深掘り!介護保険 結城教授の深掘り!介護保険

VOL.14特定処遇改善加算の居宅ケアマネ外し、その意味を考える

2019/02/20 配信

今年10月、「介護職員等特定処遇改善加算」(特定処遇改善加算)が創設される。その主な対象は、介護福祉士で勤続年数が10年を超えるようなベテランだ。また事業所の判断で、経験の浅い介護職員や介護職員以外の職員の処遇を改善することもできる。

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ただし、改善の優先順位は、「ベテラン」→「経験の浅い介護職員」→「介護職員以外の職員」だ。具体的なルールとして、

「ベテランの賃上げ幅は、経験の浅い介護職員の2倍以上」
「介護職員以外の職員の賃上げ幅は、経験の浅い介護職員の2分の1以下」

―と、することが決まっている=図1=。

施設などに勤務するケアマネジャーは最も優先順位が低い「介護職員以外の職員」に相当する。そして居宅のケアマネは、この加算の対象ですらない。特定処遇改善加算は、居宅介護支援事業所を対象としない既存の「介護職員処遇改善加算」の算定を前提としているからだ。

なぜ「居宅」が外れ、「施設」が残った?

居宅のケアマネが特定処遇改善加算の対象外となったのは、介護職員よりケアマネの給与の方が高いためだろう。事実、ケアマネと介護職員の給与を比べると、月給ベースに均すと約5万円もケアマネのほうが高い=表1=。

一方、施設のケアマネが対象に含まれたのは、職場内での多職種の連携に配慮した結果と考えられる。介護職員とケアマネが毎日のように顔を合わせる施設の場合、待遇の不公平が生み出す「不協和音」は、より深刻に、より直接的に多職種連携に悪影響をもたらす可能性があるからだ。

加算の創設がケアマネを目指す人の減少を招く?

在宅のケアマネの立場で見れば、特定処遇改善加算の創設は大きな懸念材料といえる。特に心配なのは、ケアマネより高い賃金を得るベテラン介護職員が一気に増え、ケアマネを目指そうとする介護職員が、ぐっと減ってしまうかもしれない点だ。

既に報道されている通り、今年度に誕生したケアマネは、かつてない少なさだった。そんな中、特定処遇改善加算が導入され、介護職員とケアマネの給与が逆転してしまえば、介護職員からケアマネを目指そうとする人は、さらに減ってしまうかもしれない。

前回の寄稿でも指摘した通り、今、現役で頑張っているケアマネの多くは、10年もすれば引退する。それだけに、ケアマネを目指す人の確保は、中長期的には極めて重要なテーマだ。

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なお、この加算の導入によって、在宅のケアマネとして働いている人が大量に介護職員に戻ってしまうという事態を懸念する人もいるが、私自身の経験や現場で聞いた声に照らせば、ちょっと想定しづらい事だと思う。

次ページ>>それでも特定処遇改善加算を歓迎すべき理由

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結城 康博(ゆうき・やすひろ)
1969年、北海道生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒、法政大学大学院修了(経済学修士、政治学博士)。介護職やケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護系の仕事に10年間従事。現在、淑徳大学教授(社会保障論、社会福祉学)。社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーの資格も持つ。著書に『医療の値段―診療報酬と政治』『介護ー現場からの検証』『国民健康保険』『孤独死のリアル』『日本の介護システム―政策決定過程と現場ニーズの分析』などがある。

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