本当は怖い「骨粗しょう症」 --「寝たきり」につながる骨折リスクを回避するために

寝たきり原因3位、真の原因は「骨粗しょう症」?

寝たきり原因3位、真の原因は「骨粗しょう症」? ケアマネジャーの皆さんは、高齢者が転倒・骨折をきっかけに長期入院し、そのまま寝たきりになったり、認知症の症状が悪化するという事例を数多く経験していることでしょう。

転倒・骨折は、関連する「関節系疾患」と併せると、「介護が必要となった原因」の1位であり(厚生労働省:2016年「国民生活基礎調査」より)、 2位は認知症、3位が脳血管障害と、避けにくい病であるのに対し、「転倒」は未然に予防できるものです。

高齢者の骨折は、X線撮影をしても画像に写らないような微小なヒビや亀裂(圧迫骨折、はく離骨折、疲労骨折など)のことが多いのが特徴です。 「長年、施設で寝たきりになっている高齢者は、オムツ交換の際に両足を上げるだけでポキポキ骨が折れる音がする」ということもあるようです。

転倒・骨折の原因を突き詰めると、骨がもろくなって骨折しやすくなる「骨粗しょう症」にたどり着きます。 骨粗しょう症自体は自覚症状がほとんどなく、骨折などがきっかけで発見されるため、たいていの場合、かなり進行した状態で発見されることが多いようです。

骨粗しょう症の原因は「骨の強度」の低下

骨粗しょう症の人が骨折する部位として多いのは、背骨(胸椎・腰椎)と手首、腕の付け根の骨、足の付け根の骨(大腿骨近位部)などです。とくに大腿骨近位部の骨折では、体を支える働きが奪われるため、歩行や座位を取ることすら困難になり、寝たきりになる原因の1つとなっています。また、背骨の骨折では、背中や腰が曲がってしまうことも。こうした骨折は、当人も動くたびに痛みがあるなど、著しくQOLを低下させてしまいます。

骨の強度には「骨量(骨密度)」と「骨質」が関係しています。以前は、骨密度が減ることが骨粗しょう症の原因と言われてきましたが、最近では、骨密度が低くない人でも骨折することがあることから、骨質も重視されるようになりました。
「骨量(骨密度)」とは、骨に含まれるミネラル量のことで、「骨質」とは、骨の素材としての質や構造特性の状態を指します。骨粗しょう症になると、骨密度・骨質、いずれも低下するため、骨折リスクが高くなります。

骨密度を低下させない食事療法

骨粗しょう症を予防する方法として、まず一つに栄養やカロリーバランスがとれた食事を規則的に摂る食事療法があります。なかでも骨密度を増加させる栄養素(カルシウム、ビタミンD、ビタミンK)を積極的に摂取しましょう。特にカルシウムとビタミンDは同時に摂ることで、腸管でのカルシウム吸収率がよくなります。
また、タンパク質の摂取量が少ないと骨密度の低下を助長するため、食事量が少なくなりがちな高齢者は、意識してタンパク質の豊富な食事を摂りましょう。

カルシウムを多く含む食品 牛乳、チーズ、ヨーグルト、小魚、干しエビ、小松菜、チンゲン菜、大豆製品など
ビタミンDを多く含む食品 サケ、ウナギ、サンマ、メカジキ、カレイ、シイタケ、キクラゲなど
ビタミンKを多く含む食品 納豆、ホウレン草、小松菜、ニラ、ブロッコリー、キャベツなど

骨密度の低下防止には運動が一番!

骨密度の低下防止には運動が一番! 骨粗しょう症を予防する方法の2つ目として、「継続した運動」が挙げられます。「体重をかける」ことで骨にカルシウムが蓄えられ、骨密度の低下を防止できます。 骨密度が高ければ、多少のつまずきや転倒で簡単に骨折することも少なくなります。つまり、骨密度の低下を防止できれば、骨折しにくくなり、そもそも骨粗しょう症にもなりません。

骨密度の低下防止に特に有効な運動は、ウォーキング、ジョギングなどですが、高齢者にとって過度の運動は逆効果。 運動習慣のない人は、日常生活のなかで階段の上り下りや散歩などを取り入れ、運動量を増やすだけでも効果があります。

また、デイサービスや地域の高齢者施策で行っている健康体操など、安全に楽しく行える運動に参加することで、運動機会を確保できます。 暑すぎる、寒すぎるなどの理由で、家に閉じこもりがちになる高齢者は、まずは家の中でできる家事(立ち座りが多いほどよい)や散歩から行いましょう。

最大の予防は「転倒しない・転倒させない」

最大の予防は「転倒しない・転倒させない」 歳を取り、足腰の筋力が衰えて歩行スピードが低下したり、白内障などで視力も落ちている高齢者は、健康な人ならありえないわずかな段差でつまずいたり、階段をうまく登れず、転倒してしまうことが多いものです。
転倒が怖いので運動量が減る、運動量が減るとますます骨密度が低下し筋力も衰え、さらに心身の機能低下を招く悪循環に陥ります。

骨折につながる転倒を未然に防ぐために、家族やケアマネジャーができることがあります。まずは家の中を見回しましょう。 段差の解消、手すりをつけるなどでバリアフリーを図ったり、生活導線を見直し、電源コードや座布団など、つまずきの原因を取り払う整理整頓を行うだけでも、転倒リスクは減少します。

骨粗しょう症の治療

骨粗しょう症の予防には食事療法や運動療法が欠かせませんが、骨粗しょう症と診断されてしまった場合には、まずは医師から処方された薬による治療が中心となります。
現在、骨粗しょう症の治療に使われる主な薬には、以下のようなものがあります。

ビスフォスフォネート製剤 骨粗しょう症治療のなかでももっとも有効な薬と言われ、腸で吸収され、すぐに骨に届き、過剰な骨吸収を抑制し、骨密度を増加させます。
カルシトニン製剤 強い鎮静作用がある注射薬で、骨粗しょう症に伴う背中や腰の痛みに用いられます。
活性型ビタミンD3製剤 食事で摂取したカルシウムの吸収を促します。また、骨形成と骨吸収のバランスを調整します。
ビタミンK2製剤 骨形成を促進させ、骨折の予防効果があります。
女性ホルモン製剤 エストロゲンともいい、閉経期のさまざまな更年期症状を和らげ、女性ホルモンの減少に起因した骨粗しょう症を治療すにも用いられます。

転倒・骨折対策に役立つサービスや商品も

転倒・骨折対策に役立つサービスや商品も 万一転倒してしまったら…独居の方や、過去に転倒経験のある方は、いっそう不安なことでしょう。 ヘルパーが訪問したら、ご利用者が転倒し動けなくなっていた、などということも、珍しいことではありません。

転倒リスクの高い人に役立つ介護用品に、「ヒッププロテクター」があります。 パッド式のプロテクターが下着に装着してあり、転倒時には、このプロテクターが外力を吸収し、股関節を外力から守って大腿骨頚部骨折を予防するものです。

また、転倒して動けなくなり、携帯などですぐ連絡が取れない、身近に誰もいないという状況に対応する緊急通報システムも登場しています。 これは、通報ボタンをペンダントのように常に身に着けておけば、転倒時に自分で通報するだけでなく、転倒を察知し、自動的にサポートセンターにつながるシステムで、独居の方や、転倒リスクの高い疾患をお持ちの高齢者に喜ばれています。

過去に骨折経験のある方や、パーキンソン病や関節疾患など転倒リスクの高い方をご利用者にもつケアマネジャーは、骨粗しょう症の原因や治療法を理解し、現在の状況だけでなく、将来に向けた「骨粗しょう症による転倒・骨折予防」にも配慮したケアプランの立案を目指しましょう。

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認知症支援は家族も視野に入れて!

9月21日は世界アルツハイマーデー。1994年に「国際アルツハイマー病協会」(ADI)と世界保健機関(WHO)が共同で制定しました。この日は、世界中でアルツハイマー型認知症の啓発活動を実施しています。

わが国でも「認知症の人と家族の会」などが中心となって、講演会などを主催し、認知症への理解を呼びかけています。今回は、もうすぐやってくる世界アルツハイマーデーにちなんで、認知症ケアについてお届けします。

現在の状況を見極め必要な支援を

2012年6月、国の今後の認知症施策の方向性が示されました。社保審委員が「今年は認知症元年」と形容していたように、これまでバラバラだった医療・福祉の認知症対策を一本化、連携して地域で認知症の人を支える仕組みを構築しようというものです。
その中には、介護する家族に対する支援や、医師の認知症対応力の向上なども含まれています。
ケアマネジャーは、「ふさわしい介護サービスの整備」をどう整えるかが腕の見せどころ。そのためにも、より一層、認知症の人に対する理解を深めることが必要となってきます。

現在の状況を見極め必要な支援を

認知症の人の状態を把握するために、皆さんはアセスメント時に「IADL」(日常生活関連動作または手段的日常生活動作)の尺度や、認定調査時の「認知症高齢者の日常生活自立度」を重要視していると思います。認知症の症状が進行するほど「IADL」が低下し、これまでできてきた日常生活上の複雑な動作――買い物や洗濯、服薬、金銭管理、乗り物に乗るなど――ができなくなってきます。

しかしアセスメントやモニタリングの場で、ケアマネジャーがご利用者の「IADL」を実際に確認することは難しいかもしれません。代わりに、支えるご家族の話をよく聴き、独居の方の場合は、ご本人の状態や家の中の様子を観察して判断していることと思います。
ご家族がケアをしている場合は、ぜひ「ご家族の悩みやストレス」にも耳を傾けていることでしょう。

服薬管理は家族ストレスの2位!

認知症の場合、その多くはまだ「治る」治療法が見つかっておらず、認知症の6割以上を占めるアルツハイマー型認知症も、病院の治療目標は「服薬しながら生活機能を一日でも長く維持すること」になります。そのために、症状の進行を緩やかにする服薬は欠かせませんが、認知症が進行すると「正しい服薬」自体が困難になってきます。

アルツハイマー型認知症家族介護者300人に実施した調査によると、介護者にとって最も大きなストレスのトップは「単純な会話や指示が理解できない」で32.2%。次いで、「正しい時間に薬を飲めない/正しい用法・容量で薬を飲めない」が17.1%、「介助がないとベッドやトイレの場所がわからない」12.4%となっています。みなさんが担当されている認知症のご利用者のご家族も、このようなストレスで介護疲れの状態になってはいないでしょうか。

アルツハイマー型認知症における「生活障害」に対する介護ストレス

介護保険制度の要介護認定に用いられる「認知症高齢者の日常生活自立度」では、「服薬管理ができない」状態は、IIbに当たります。

服薬管理は家族ストレスの2位!

この状態になる頃には、ご家族はすでに疲弊しています。心身ともに疲れて果てて知らず知らずのうちに言葉による虐待や拘束など、ご家族・ご利用者双方にとって不幸な結果にならないよう、ケアマネジャーは常に配慮する必要があります。

服薬管理を例にとれば、幸いにもアルツハイマー型認知症の治療薬は、2011年に一挙に種類が増え、作用機序の異なる治療薬も登場しています。また、かつては経口剤のみでしたが、現在では使用する人の状態によってゼリータイプや口腔内崩壊錠、貼るタイプのもの(パッチ剤)など、形状もさまざまです。パッチ剤であれば、風呂あがりに背中など、ご利用者自身には見えないところにご家族が貼ってあげるだけで済み、「服薬困難」というストレスが一気に解消します。

その他のストレスに対しても、通所やショートステイを日常的に生活に組み入れ、場合によっては小規模多機能居宅介護の利用も検討しながら、ご家族の介護負担が少しでも軽減できるよう支援します。また、介護保険サービスだけでなく、地域の「認知症サポーター」受講修了者や民生委員、家族会、市民後見人など、さまざまな社会資源が地域でどのように機能しているかを調べてご家族に紹介するなど、決して孤独でないことを知っていただくのもポイントです。

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