インフルエンザにかかったら --高齢者は合併症にご用心!

インフルエンザは予防が第一。しかし、手洗い、うがいを習慣づけ、人一倍予防には気を使っていても、人ごみの多い場所へ出かけたり、家族に感染者がいたりしたら、やはりかかってしまうことも。
ここでは、インフルエンザにかかった際の対策について紹介します。

重症化しやすい高齢者

インフルエンザに感染して重症化するのは高齢者や乳幼児、妊婦など。慢性的な呼吸器疾患や心疾患、糖尿病や慢性腎臓病などで抵抗力が低下した人も、重症化しやすいとされています。
そして、多くの要介護高齢者は、この「抵抗力が低下した人」に該当してしまいます。

中にはインフルエンザの典型的な症状が出にくく、いつの間にか合併症を引き起こし、重症化する場合もあります。急激な体調変化を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。

重症化しやすい高齢者

高齢者が気をつけたいインフルエンザの合併症には、「肺炎」「気管支炎」など、主に気道の炎症によるものが挙げられます。 肺炎は特に高齢者によく見られ、高齢になればなるほど、肺炎で亡くなる確率が高くなります。もし、インフルエンザにかかってしまったら、こうした合併症へ移行しないよう注意が必要です。

インフルエンザにかかったら

インフルエンザにかかってしまった時の対応では、「早めの受診」「他の人にうつさない」「休養」の3つがポイントです。

1)早めの受診

インフルエンザは、発症して48時間以内に受診し、医師から処方される抗ウイルス薬(タミフル、リレンザなど)を服用すれば、ウイルスの増殖を抑え早めの回復が望めます。 しかし、高齢者にとって高熱が出ている時期に受診すること自体が大変。インフルエンザかどうか判断しかねているうちに、早期受診のタイミングを逸してしまった場合、病院からは抗ウイルス薬ではなく、通常の感冒(風邪)にかかったときと同様の抗菌薬や、鼻水やのどの炎症を和らげる薬などの対処療法の薬が処方されます。

抗菌薬はインフルエンザウイルスには効きませんが、他の細菌による合併症を防ぐために処方されることがあります。処方された薬は医師の指示に従って正しく服用しましよう。

2)ほかの人からうつされない・うつさない

家族にインフルエンザにかかった人がいる場合、まずは寝室で安静を保ちます。特に体力のない礼幼児や高齢者への接触は極力少なくし、家の中でも全員がマスクを着用するとよいでしょう。
要介護高齢者がインフルエンザにかかったら、受診後、ケアマネジャーや利用しているサ一ビス提供事業所に連絡を入れましょう。デイサービスなど複数の高齢者が利用するサービスの場合は、サービスの利用を控えることで、第三者への感染を防ぐことができます。

ほかの人からうつされない・うつさない

訪問介護サービスの場合も、事業所やヘルパーさんにインフルエンザにかかったことを伝えることで、事業所側もリスク管理がしやすくなります。

3)休養

インフルエンザにかかり、高熱が出ている間は、ともかく安静が第一。適度な湿度を保った寝室で、できる限り休養に努めましょう。もちろん、汗をかいたら着替えることも忘れずに。
休養中、大切なのが水分を十分に摂取することです。水分は水より体に吸収されやすいスポーツドリンクなどのアイソトニック飲料のほうが適していますが、無理に飲んでいただくよりは、お茶、ジュース、スープなど、ご本人の飲みたいものでかまいません。
また、食欲があるなら、茶わん蒸し、おかゆなど水分多めで消化のよい食事を食べていただきましょう。

市販薬を勝手に服用しない

「インフルエンザかどうかわからないけれど、高熱で苦しそうだから、とりあえず家にある家庭薬(または、以前病院からもらった解熱剤の残り)で熱を下げよう」などと、ご家族のなかには、これまでの経験から判断して、手持ちの薬を服用するケースもあります。

実は、こうした素人判断がもっとも危険です。ただの感冒(風邪)なら、鼻水、せきなど、対症療法的な市販薬でも効果を得られることもありますが、インフルエンザには市販の総合感冒薬は効きません。 また、座薬やバッファリンなど市販の解熱剤や風邪薬を勝手に服用すると、インフルエンザ脳炎やライ症候群を併発する危険があります。 発熱には座薬は使わず、脇の下や首まわり、股の間など、太い動脈が走っている部分を冷やすクーリングで対応します。

室温・湿度に配慮し、二次感染を予防

寒い冬には、つい部屋の空気の入れ替えを怠ってしまいがちですが、換気の悪い部屋では、長時間ウイルスが浮遊する原因となってしまうので、定期的に部屋の空気を入れ替えましょう。室温は、20~26°Cで調整するとよいでしょう。
また、ウイルスは乾燥した環境で増殖しやすいため、室内の湿度は50~60%を保つようにします。

のどから肺へ続く気道の湿度が不足すると、気道粘膜が傷つきやすくなり、肺炎菌などの常在菌が付着しやすくなることが知られています。50~60%という湿度は、もっとも気道粘膜への加湿に適しており、インフルエンザウイルスの増殖を抑える効果があるとされています。

家族のなかにインフルエンザにかかった人がいる場合、その人の咳やくしやみにインフルエンザウイルスが含まれている可能性があるため、マスクをして飛沫を防ぎます。また、手についたウイルスから感染しないためにも、手洗いは重要です。万一、痰やくしゃみで飛んだ分泌物などの汚れを見っけた場合は、アルコールを含んだ通常の消毒薬で消毒しておくとよいでしょう。

おわりに

体力を消耗させる高熱は、免疫力や細菌やほかのウイルスなどへの抵抗力も弱めてしまいます。普段なら悪さをしない日和見細菌ですら、弱った体に入ると腹痛や下痢などの症状を引き起こすこともあります。
そして何より怖いのは、インフルエンザそのものより、時に命を奪いかねない肺炎や気管支炎などを併発しやすくなることです。

しかし「予防にまさる治療なし」とことわざにもあるように、インフルエンザに対する対処法は、やはり感染を防ぐことがもっとも重要です。

巷で大流行していたら常にマスクを着用し、できれば外出を控えるなどの対応をしましょう。家族が感染していたら接触を避けるなどの決断も必要です。ご利用者のみならず、常に高齢者と接触するケアマネジャーや介護従事者も、十分な予防体制を敷きましょう。

インフルエンザと風邪の違い

  インフルエンザ 風邪
種類 インフルエンザウイルス(A型、B型、C型) ライノウイルス、コロナウイルス等
感染経路 空気中に飛び散ったウイルスが鼻やのどに入ったり、ウイルスが付着した家具などに接触した手から感染する。 空気中に飛び散ったウイルスが鼻やのどに入ったり、ウイルスが付着した家具などに接触した手から感染する。
発病 急激に発症 ゆっくり発症する
症状 38~39°C以上の高熟、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身症状が強く、重症化する。 のどの痛み、くしやみ・鼻水、咳、微熱など、全身症状は弱く、重症化は少ない。
流行時期 流行性。例年12月~3月下旬、地域での流行情報で確認することが大切。 散発性。冬に多い風邪は、密閉された部屋の乾燥により、のどの粘膜の脱水が原因で起こしやすい。また、疲労やストレスの蓄積によっても風邪をひきやすい。
期間 通常が6~7日位(発病後3日くらいが一番感染力が強い) 通常5日~6日位だが、長引くことあり。
合併症 気管支炎、肺炎など 少ない
感染したら
  • 48時間以内に医療機関を受診する。
  • 抗ウイルス薬を服用する。
  • 安静、休養、十分な睡眠、保温、水分補給。
  • 症状に合わせた薬を服用する。
  • くしやみや鼻水、咳が2日以上続く場合は受診を。
  • 水分補給、休養をとり、厚着をしない。
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