特集 > 3分で読める ケアマネ課外授業 > 創作活動で認知症ケア 感性引き出す臨床美術

行ってきましたシリーズ
臨床美術ワークショップに行ってきました
創作活動で認知症ケア 感性引き出す臨床美術

臨床美術士は、今、介護の現場に少しずつ進出してきています。しかし、まだ認知度が低いため、どんな仕事なのかご存じない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、臨床美術士の養成と認定を行っている芸術造形研究所のワークショップにおじゃまして、実際のカリキュラムの一部を体験、その仕事内容や目的などについてご紹介します。

描き方の基本を学んだら、自由に絵を制作

会場に入ると、机の上にはこの日の参加者11人分のオイルパステルと大きな紙2枚・小さな紙1枚、ウェットティッシュなどが置かれていました。ワークショップが始まると、まずは臨床美術の概要をつかむためのビデオ観賞があり、次いで実際の制作がスタート。講師の青木理栄先生が指示した単語(「星」「太陽」「家」「チューリップ」)を各人がオイルパステルを使って絵に描きます。できあがったものをお互いに見せ合うと、みんな似たような絵に。これは、記号化された左脳的な絵のため差異が出ないのだそうです。

このことを理解したうえで、次に制作するのは右脳的な絵。これが臨床美術の要です。まず先生が点、線、面でのいろいろな描き方を指導し、参加者もそれにならいます。次に、学んだ描き方の技術を生かしながら、オリジナルの絵にチャレンジ。耳に心地よい民族音楽を聴きながら、イメージをふくらませて自由に描いていきます。

線と色とで描いた絵も額に入れれば立派な作品に

自由に描くというのは、簡単そうで、なかなか難しいというのが実感。それでも、どうにか仕上げて、好きな色の台紙に貼り提出します。11人全員の作品が黒板に貼られ、ここからは鑑賞会。どの作品も抽象画で、似た絵はまったくなく、すべてオリジナリティーに富んでいます。そして、評価の仕方も学校の美術の授業とは大違い。青木先生は、それぞれの作品のよさに注目して、どの作品もほめてくれるため、「私にも絵が描けるんだ!」と、ちょっとうれしい気持ちに。

日本発祥の臨床美術は認知症有効率70%!

臨床美術は、1996年に、日本の医師、美術家などがチームになって認知症の症状改善を目的として実践研究がスタートしました。1996年から3年間にわたって継続した研究調査によると、70%の認知症患者に症状の維持・改善が見られました。

カボチャの造形作品を制作中の高齢者へのセッション風景

現在では、デイサービスや介護施設、病院での認知症治療のほか、地方自治体による一般高齢者対象の介護予防事業はもちろん、発達障害の子ども、うつ病など心の問題を抱える人、子どもたちの感性を育むためのアプローチなど、さまざまな分野での応用が始まっています。また、臨床美術士を育成する大学や専門学校も増加傾向にあります。昨年は、世界規模の臨床美術学会も設立され、日本発の臨床美術は、世界でもその効果が認められるようになってきました。ただし、まだ認知度が低いため、多くの臨床美術士が、独自に活動機会を開拓しているケースが多いようです。

作品の魅力を認めてもらうことが自信回復に

生き生きとした動きが特徴的な高齢者の方が制作した粘土作品

ところで、アートセラピーと臨床美術では、どこが違うのでしょうか。
アートセラピーは、描いた絵から心理状態を分析しますが、臨床美術では分析はしません。絵画や造形などの創作活動によって右脳を活性化するのが目的ですから、あくまで創作するという行為そのものが重要なのです。そのため、できあがった作品の鑑賞会では、講師の臨床美術士は、決して否定せず、その人の作品の魅力を発見して本人に伝えます。青木先生によれば「作品はその人そのもの。表現方法に正解はありません。うまい・へたはないんです。その人に寄り添って、感性を引き出すお手伝いをするのが臨床美術士の仕事です」。講師から作品を認められることによって、自信が回復したり前向きになったり、コミュニケーション力をつける効果も期待できると言います。


紙素材で作るかぼちゃ

臨床美術士は、創作活動をサポートする仕事のため、美術経験がないと資格を取るのは難しいのではないかと思いがちですが、ワークショップ参加者も、資格取得のための講座受講者も、美術経験者は半数程度。残り半数は、介護や保育などの仕事に携わっている人が、臨床美術のノウハウを現場で生かすために参加・受講しています。



■養成講座&ワークショップ
臨床美術士には5級、4級、3級の資格があり、まず5級取得コースを受講する必要がある。
次回の5級取得コースは10月(申し込み締切は9月29日)実施で全6回。
臨床美術の基本カリキュラムを体験するなら、月3~4回、定期的に実施しているワークショップをのぞいてみては。こちらは参加費無料。

■問合せ先/芸術造形研究所
〒101-0062 東京都千代田区
神田駿河台2-1 OCCビル7F
電話:03-5282-0210
http://www.zoukei.co.jp

臨床美術士への道
少人数で行われる資格取得のための臨床美術講座風景
目次へ戻る

コメント


コメントを投稿する

コメントの投稿をするにはログインしてください

ケアマネジメント・オンライン おすすめ情報

介護関連商品・サービスのご案内

ログインしてください
ユーザ名
パスワード

ログインができない方

お知らせ

SSL GMOグローバルサインのサイトシール
SSLとは?