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っておきたいシリーズ

消化器科はNG、でも消化器内科はOK!医療機関が名乗れる診療科名のナゾ

医療と介護の連携の重要性が増すなかで、両者の調整役として、ケアマネジャーは非常に重要なポジションにあります。
日々の仕事の中でも、病院と連携する機会が増えているのではないでしょうか?
前回は、病院の法制上の分類についてお届けしましたが、今回はもっと身近な「診療科」のナゾについてお届けします。

■消化器科はNG、でも消化器内科はOK!

皆さんがよくお世話になる医療機関の建物には、医療機関名、医師名など責任者の氏名、診療時間等が目に付く場所に掲示されていることでしょう。また、地域の医療機関を探すため、インターネットや電話帳などを利用した経験がある方も多いと思います。さらに、バス停などの余白部分や電柱にも医療機関の広告はよく見かけます。これらは、医療機関がいかに地域に密着しているかを示す好例です。
患者や地域住民など、利用者へ向けた客観的で正確な情報伝達の手段として、医療機関が広告を行う意義は、実はとても重要なことなのです。

そこで、問題となるのが、「診療科名」です。
私たちが適切な医療機関の選択と受診が行えるよう、医療法では、2008年に医療機関の広告可能な事項について大幅な規制緩和が行われました。その際、医療機関が標榜する診療科名として広告可能な範囲が示されました。

「標榜する診療科名」とは、つまり「○○科」という専門分野を示す科目名のことを指します。風邪や腹痛ならすぐに「内科に行けばいい」と思いますが、鼻水を伴う風邪の場合は、耳鼻咽喉科を受診する人もいるのでは?  また時折、「これはどの科にかかればいいの?」と迷うことはありませんか?たとえば頭痛。花粉症。そして物忘れ。

家族は認知症を疑っても、近くに「認知症科」なんてありません(そもそもそのような科は存在しません)。まして「精神科」は敷居が高すぎると感じる方も多いようです。
認知症については、「物忘れ外来」が知られていますが、これは親しみやすく、覚えやすいようにとの配慮から生まれた「通称」で、正式な診療科名ではありません。「禁煙外来」「スポーツ外来」などもそうですね。

■医療機関が診療科名として広告可能な範囲

2008年に施行された「医療法施行規則の一部を改正する省令」によると、医療機関が診療科名として広告可能な範囲は以下のとおりとなっています。

  • 「内科」「外科」は、単独で診療科名として広告することが可能。
  • 従来、診療科名として認められなかった「身体や臓器の名称」(例:呼吸器内科、消化器内科、肝臓・消化器外科、糖尿病・代謝内科など)、「患者の年齢、性別等の特性」「診療方法の名称」「患者の症状、疾患の名称」も「内科」「外科」と組み合わせることによって、新しい診療科名として広告することが可能。
  • 「精神科」「アレルギー科」「リウマチ科」「小児科」「皮膚科」「泌尿器科」「産婦人科」(※1)「眼科」「耳鼻いんこう科」「リハビリテーション科」「放射線科」(※2)「救急科」「病理診断科」「臨床検査科」についても、単独の診療科名として広告することが可能
    (※1)「産婦人科」については、「産科」または「婦人科」と代替することが可能。
    (※2)「放射線科」については、「放射線治療科」又は「放射線診断科」と代替することが可能。

■表示できなくなった診療科名

一方で、従来から広告可能とされてきた診療科名のうち、2008年4月以降、「神経科」、「呼吸器科」、「消化器科」、「胃腸科」、「循環器科」、「皮膚泌尿器科」、「性病科」、「こう門科」「気管食道科」は診療科名として広告することは認められなくなりました。ただし同日前から広告していた診療科名については、看板の書き換え等、広告の変更を行わない限り、引き続き、広告することが認められています。
つまり、2008年4月以前から、上記の診療科名で看板を出したり広告を行っていた医療機関はそのままですが、新たに開院するような場合は、上記診療科名単体では使えないというわけです。

同様に、法令に根拠のない名称(「女性科」「老年科」「化学療法科」「疼痛緩和科」「ペインクリニック科」「糖尿病科」「性感染症科」「インプラント科」「審美歯科」など)も診療科名として広告することが認められていません。

■バリエーション豊富な「組み合わせ」マジック!

「でも“呼吸器科”や“消化器科”普通に見かけるけど……」と思いませんか?
先に紹介した【従来、診療科名として認められなかった「身体や臓器の名称」(例:呼吸器内科、消化器内科、肝臓・消化器外科、糖尿病・代謝内科など)、「患者の年齢、性別等の特性」「診療方法の名称」「患者の症状、疾患の名称」も「内科」「外科」と組み合わせることによって、新しい診療科名として広告することが可能。】を思い出してみてください。
「呼吸器」や「消化器」は臓器の名称です。したがって、「内科」「外科」と組み合わせれば標榜することができるのです。2008年以降に開業した医療機関や、新たに看板や広告を刷新した場合は、すべてこのルールに従って、「呼吸器内科」「消化器内科」などとなっているはずです。

上記ルールでは、「○○内科」「△△外科」という組み合わせのほかに、「肝臓・消化器外科」「糖尿病・代謝内科」など、2種類以上を組み合わせて「○○・△△科」と標榜することも可能です。これは、「・」で3つつなげて「肝臓・胆のう・すい臓外科」などという表記もできます。
さらに、「内科(循環器)」「腎臓内科(人工透析)」のように「○○科(△△)」という表示も認められます。

広告可能な診療科名の具体例
医科
  • 内科
  • 呼吸器内科
  • 循環器内科
  • 消化器内科
  • 心臓内科
  • 血液内科
  • 気管食道内科
  • 胃腸内科
  • 腫瘍内科
  • 糖尿病内科
  • 代謝内科
  • 内分泌内科
  • 脂質代謝内科
  • 腎臓内科
  • 神経内科
  • 心療内科
  • 感染症内科
  • 漢方内科
  • 老年内科
  • 女性内科
  • 新生児内科
  • 性感染症内科
  • 内視鏡内科
  • 人工透析内科
  • 疼痛緩和内科
  • ペインクリニック内科
  • アレルギー疾患
  • 内科
  • 内科(ペインクリニック)
  • 内科(循環器)
  • 内科(薬物療法)
  • 内科(感染症)
  • 内科(骨髄移植)
  • 外科
  • 呼吸器外科
  • 心臓血管外科
  • 心臓外科
  • 消化器外科
  • 乳腺外科
  • 小児外科
  • 気管食道外科
  • 肛門外科
  • 整形外科
  • 脳神経外科
  • 形成外科
  • 美容外科
  • 腫瘍外科
  • 移植外科
  • 頭頸部外科
  • 胸部外科
  • 腹部外科
  • 肝臓外科
  • 膵臓外科
  • 胆のう外科
  • 食道外科
  • 胃外科
  • 大腸外科
  • 内視鏡外科
  • ペインクリニック外科
  • 外科(内視鏡)
  • 外科(がん)
  • 精神科
  • アレルギー科
  • リウマチ科
  • 小児科
  • 皮膚科
  • 泌尿器科
  • 産婦人科
  • 産科
  • 婦人科
  • 眼科
  • 耳鼻いんこう科
  • リハビリテーション科
  • 放射線科
  • 放射線診断科
  • 放射線治療科
  • 病理診断科
  • 臨床検査科
  • 救急科
  • 児童精神科
  • 老年精神科
  • 小児眼科
  • 小児耳鼻いんこう科
  • 小児皮膚科
  • 気管食道・耳鼻
  • いんこう科
  • 腫瘍放射線科
  • 男性泌尿器科
  • 神経泌尿器科
  • 小児泌尿器科
  • 小児科(新生児)
  • 泌尿器科(不妊治療)
  • 泌尿器科(人工透析)
  • 産婦人科(生殖医療)
  • 美容皮膚科 など
歯科
  • 歯科
  • 小児歯科
  • 矯正歯科
  • 歯科口腔外科
2008年改定

■不適切な組み合わせで罰則が与えられる診療科名

一方で、広告することができない診療科名もあります。 これらは、法令上根拠のない名称や、医学的知見・社会通念に照らし、不適切な組み合わせとして認められない診療科名を指します。紛らわしかったり誤解を与えるような名称で患者に対して適切な受診機会を喪失させることにつながるとともに、不適切な医療を提供するおそれがあることから、これらの表示・広告を行った医療機関は、法に規定する罰則をもって禁止されています。
下の「不合理な組み合わせとなる事項」を見ると、確かに、左右が合体した名称を掲げた診療科名は、なにかちぐはぐな印象を受けます。

不適切な組み合わせとして認められない診療科名
診療科名不合理な組み合わせとなる事項
アレルギー科アレルギー疾患
小児科小児、老人、老年又は高齢者
皮膚科呼吸器、消化器、循環器、気管食道、心臓血管、腎臓、脳神経、気管、気管支、肺、食道、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓、心臓又は脳
泌尿器科頭頸部、胸部、腹部、呼吸器、消化器、循環器、気管食道、心臓血管、脳神経、乳腺、頭部、頸部、気管、気管支、肺、食道、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓、心臓又は脳
産婦人科男性、小児又は児童
眼科胸部、腹部、呼吸器、消化器、循環器、気管食道、肛門、心臓血管、腎臓、乳腺、内分泌、頸部、気管、気管支、肺、食道、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓又は心臓
耳鼻いんこう科胸部、腹部、消化器、循環器、肛門、心臓血管、腎臓、乳腺、内分泌、胃腸、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、胆のう、膵臓又は心臓
医療法施行規則第1条の9の4

いかかがでしたか。病院・医院と一口に言っても、勝手に専門分野を誇張したり、多くの患者さんの目を引くような広告は法で規制されていることがわかりました。たとえば、家族で開業していても、それぞれの専門が異なれば、同じ看板の元では開業できないこともあるということですね。
介護保険分野で、診療科名に当たるのはサービス種別名でしょうか。これとて勝手に「ショート(ロング可)ステイ」とか「デイ&ナイトサービス」などと名乗るわけにはいきません。医療・保険・介護などの社会制度は、多くの規制のうえに成り立っているからこそ安心して利用できることを、私たちは忘れないようにしたいものです。

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コメント

投稿者:すまいる花子  [2011/05/21 11:16]

参考になりました。どの世界にも法の規制がかかっているのですね。わかりやすいのが何よりとは思いますが・・・。
ちなみに、独立型の居宅介護支援事業所が広告をあげる場合は、どんな記載が可能なのでしょうか?広告に対する法規制はありますか?


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