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「利用者意識」育てるケアマネになってVol.6 島村八重子/全国マイケアプラン・ネットワーク 代表

2018/06/29 配信

全国マイケアプラン・ネットワーク」は、自らケアプランを作成する要介護者や家族、賛同者ら230人ほどでつくる市民団体だ。ケアマネジャーに任せっきりにするのではなく、わが事として介護を考える―。団体名には、こうした思いが込められている。メンバーには、約50人のケアマネも賛同者として名を連ねるという。ケアプラン有料化の議論が再燃する中、ケアマネと利用者の関係性はどうあるべきなのか。島村八重子代表に話を聞いた。

島村八重子氏

―全国マイケアプラン・ネットワークは、どのような経緯で発足したのでしょうか。

私たちは2001年9月に立ち上がった市民団体です。設立した理由は、要介護者や家族がケアプランを自己作成するための環境づくりでした。当時、まだ介護保険制度が始まったばかりで、情報も少なかったため、ケアプランを自分で作成していた利用者や家族ら15人ほどが集まって発足しました。

「ケアマネ不要論」の団体だと勘違いされるのですが、そうではありません。ケアマネが作成したプランであれ、自己作成のプランであれ、大切なのは、介護サービスを受ける本人が自らの暮らしについて考えることです。ケアプランは、その方の生活そのものと言っていいのに、介護サービスの中身をケアマネに任せっきりにしている人が多い。自分の暮らしについて考えてもらう“根っこ”をつくりたかったのです。

―なぜ、ケアプランを自分で作成しようと思ったのですか。

背景には、義父の在宅介護での反省があります。義父は1996年に脳梗塞で倒れ、5カ月間の入院生活の末、自宅に戻ってきました。末期がんもあり、常時たんの吸引も必要な寝たきりの状態の中、在宅での介護が始まったのです。

まだ介護保険制度はありませんでしたが、公的な制度をフル活用したおかげで、週1回の訪問診療、ほぼ毎日の訪問介護と訪問看護、車椅子や吸引器の購入、ベッドの借り入れなど、いまと遜色のないサービスを受けることができました。一方で、当時はケアマネがおらず、利用者や家族が自ら走り回ってサービスの体制を整えるしかすべはありませんでした。すべての家庭で充実したサービスを受けられるわけではなかったのです。

措置制度があったため、利用料はほとんど無料でしたが、これには違和感を覚えました。義父は延命治療のため、病院で気管切開をしました。本人の自己決定が無い中、無料でサービスを受けている。今後、義父のような人が在宅介護になれば、国の財源が尽きてしまうのではないか―。そうも思いました。

一番の反省点は、全て介護者の主導でサービスを入れて、義父の暮らしを組み立ててしまったことでした。義父はまな板の上の鯉状態でした。義父が亡くなってから、「義父にとってこの期間は人生のフィナーレにふさわしいものだったのだろうか?」という問いが頭を駆け巡り、どのような状態であっても、義父の意思を軸にしていかなくてはいけなかったことに気が付いたのです。

―2000年4月から、介護保険制度がスタートします。

利用者をサービスにつなげるケアマネの存在、そして、自己負担を明確にするという新たな制度の創設は、私の違和感を取り除いてくれるものでした。また、利用者の自己選択を尊重する介護保険法の理念にも共感しました。

介護保険制度が始まると、義母が要介護1の認定を受けました。義母は「夫のようになりたくない」と話し、地域で自立した生活を送ることを望んでいました。幸い、義母は自分で判断する能力があったため、わが家では、自分たちでケアプランを立てることにしました。

ところが、行政の対応は冷たいものでした。「ケアマネに任せた方が楽ですし、利用者負担もありません」と突き放す方もいました。利用者自らがサービスを選び、自己決定するという制度の理念は浸透していなかったのです。あれから18年余りの歳月が経ちましたが、いまだに、自己作成の相談体制は整備されていません。

私たちは、制度に暮らしを押し込むのではなく、制度で暮らしを広げたいと考えています。ただ、それは制度ですべてをカバーすることではありません。義母の介護では、自宅の玄関先にベンチを置いて、井戸端会議の場をつくりました。それは、義母流の“デイサービス”でした。

介護保険制度は、社会の助け合いで成り立っています。自分の介護について考えることで、地域の暮らしを豊かにできればと思っています。

■ケアプラン有料化で、「自己作成は増えない」

―今年度の骨太方針では、ケアプランの作成について「給付の在り方を検討する」とする文言が盛り込まれ、ケアプランの有料化をめぐる議論が再燃しています。

これについて、私たちは賛成も反対もしない立場です。ただ、先日、日本介護支援専門員協会が反対意見を表明した際、利用者や家族が作成するケアプランが増え、過度にサービスに依存するケースも生じ得るなどと主張したことに対しては看過できず、抗議声明を提出しました。

会員からは、「ケアマネは自己作成を応援してくれる協力者だと思っていたのに…」といった声が上がったほか、「ケアマネの利用者負担を惜しむ人が、サービス利用に1~2割の自己負担があるのに、自分勝手に要らないサービスを入れて負担を増やすだろうか」というもっともな意見も出ました。

ケアマネにケアプランを任せっきりにする人は、残念ながらまだ多いと感じています。また、それ以上にケアマネと信頼関係を築いている利用者は多いと思います。そうした中で、ケアプランの有料化で自己作成が劇的に増えるとは到底思えませんし、経験上、自己作成者が過度にサービスに依存することはありません。

私たちは、ケアマネと同じ方向を向いています。決して対立する関係ではありません。ケアプランを自分たちで作成したことがきっかけで、自分たちの生活について考えることができたのです。介護をわが事と考えるよう、利用者の意識を育てるケアマネになっていただきたい。利用者と一緒に成長するケアマネであってほしいと思います。

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