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ケアマネが福祉用具の相談員を見極める時代にVol.10 岩元文雄/全国福祉用具専門相談員協会 理事長

2018/10/09 配信

この10月、福祉用具貸与に大きな変化がもたらされた。これまで規定がなかった貸与価格に上限が設けられ、それより高い商品は保険の適用外となってしまったのだ。同時に、月100件以上の貸与件数がある商品の全国平均も公表された。ところが、一般社団法人全国福祉用具専門相談員協会(通称:ふくせん)の岩元文雄理事長は、「上限価格の設定より大きな変化が現場では既におきています」と指摘する。岩元理事長に話を聞いた。

岩元文雄/全国福祉用具専門相談員協会 理事長

■計画書のケアマネへの交付義務化こそ大変革

―10月から、福祉用具貸与は大きく制度が変わりますね。

確かに上限の設定と全国平均貸与価格の公表は業界に大きなインパクトをもたらしています。だが、上限の設定より大きな改正が既に動いています。4月からすべての福祉用具専門相談員(相談員)に義務付けられた「福祉用具サービス計画書(計画書)のケアマネへの交付」です。この変化は、ケアマネにとっても大きな変化と言えるでしょう。

―「福祉用具サービス計画書のケアマネへの交付の義務化」は、ケアマネに何をもたらすのでしょうか。

この制度改正によって、すべての計画書を見ることができるようになりました。言い換えるなら、今回の制度改正によってケアマネは、福祉用具サービスの「中身」を比較し、よりよい計画を立てる相談員を見極めることができる時代になったわけです。この点がとても大きな変化といえます。

■見極めのポイントその1―同じような計画書ばかりか?

―確かにサービスの質を高めるという観点に立てば、大きな変化ですね。ただ、ケアマネの中には、計画書を通し、サービスの質まで見極めることに慣れていない人もいると思われます。計画書の質を判断するためのポイントを教えてください。

例えば、利用者の個別の状態像に関わらず、どの利用者にも同じような内容の計画書を送ってくる相談員や事業所があれば、まじめに利用者と向き合っているかどうか、疑ってかかるべきでしょう。ひどい例では、1つのサービス付き高齢者向け住宅に住んでいる福祉用具貸与利用者全ての計画書が、ほとんど同じだったという例もあったようです。

それほどひどくはなくても、同じ商品については、誰の計画書を見ても、同じ選定理由を書いてくる相談員も、少し注意した方がいいでしょう。

その一方、同じ商品であっても、選定理由も目的も、利用者の状態に応じて変えてあるようであれば、その分だけ、真摯に利用者に向き合っている相談員と考えてよいのではないでしょうか。

■見極めのポイントその2―相談員の「くせ」はどこにある?

―なるほど!確かに選定理由や使用目的などをしっかり読み込んで比較すれば、どの相談員がしっかり利用者と向き合っているかが見えてくるわけですね。

さらに言えば相談員によっては、計画書に「くせ」があります。例えば、トイレまでの動線に関する内容については、本当にしっかりとした計画を立てて用具を選ぶけど、それ以外の用具の計画は、それほどでもない人とか。また特に入浴に関する計画については、ひどく充実した内容になっているとか。

相談員にも、得手不得手があるわけですよ。ケアマネさんには、そのあたりを計画を通して見抜き、利用者の状態に応じて相談員を選んでほしいのです。

もう一つ、ちょっと使用方法を指導すれば利用者にメリットが大きい最新器具をしっかりと提案しているかどうかも、相談員を見極める上での基準になると思います。

■見極めポイントその3―有効な最新機器の活用を提案できているか?

―具体的には、どんな商品が挙げられますか。

例えば、リフトを使えば、利用者は快適で安全にベッドから移乗できます。ただしリフトの場合、吊り具の選定から装着手順、家族への操作の指導までしなければなりません。しかし知識や経験、指導力に自信のない福祉用具専門相談員は使った方がいいと分かっていても、提案することはないでしょう。

同じ理由で、スライディングボードを提案できるかどうかもポイントになります。スライディングボードはとても便利な福祉用具です。しかし利用者に「滑る」という動作を獲得してもらわなければならず、相談員にはある程度の指導力が求められるのです。

いずれにせよ、計画書の交付が義務となった以上、ケアマネさんも、受け取った計画書をきちんと保管しておいてください。そして、その内容にも注目してください。既に述べたようなポイントに注意して見てもらえれば、相談員一人ひとりの力量や得手不得手が見えてくるはず。そこで得られた情報を元に、安価な用具選定を優先することなくプランに合わせた相談員を選んでほしいですね。サービスの質を高めるためにも大切なことだと思います。

■上限価格などの導入の影響には「地域差」が…

―話が元に戻りますが、10月からの上限価格や全国平均貸与価格の公表は事業者にどのような影響をもたらしていますか。

やはり大きな影響があります。業界全体としては「売上減」になりそうです。ただ、印象としては強く影響を受けるところと、そうでもないところの差が大きいのかなと感じています。

都市部など、もともと事業者が多く価格競争が激しいところでは、地域によっては、ほとんどの商品が上限にひっかからない例もあるようです。一方、地理的な制約などで、事業者の数が極めて限られているところでは、逆に軒並み上限以上になるところもあると聞いています。

―理事長としては、「上限価格の設定」や「全国平均貸与価格の公表」が導入されたこと自体は、どう受け止めていますか。

難しいところですが…。導入までの議論の経緯を考えると「いいところに落ち着いた 」と言えるのではないでしょうか。

2018年度の介護報酬改定の議論が始まる前から、一部の商品の価格がとびぬけて高いことは問題視されていました。いわゆる「外れ値」の問題です。実際、「外れ値」を見ると、我々自身も「そんな価格、あり得ない」という値段が付けられていました。

ただ、「外れ値」を付けている事業者の中には、事業者団体にも所属せず、職能団体とも連携せず、独立独歩で仕事をしている事業者が少なくありません。言い換えると、我々としては「異常な価格」と思っていても、働き掛けることもできない存在であることが多いわけです。

ところが、改定に向けた議論が始まると、「外れ値」を付ける事業者もそうでない事業者も、すべて同じ福祉用具貸与事業者と扱われ、福祉用具貸与全体に対し、極めて厳しい目が向けられてしまった。実際、18年度の介護報酬改定に向けた議論でも、当初、財務省から極めて厳しい提案がありました。

―確かに、財務省は18年度の介護報酬改定に向け、要支援1から要介護2までを「軽度者」として、福祉用具貸与、特定福祉用具販売および住宅改修について、原則自己負担に切り替えることなどを求めていました。

そういう議論の過程や「外れ値」の解消の難しさを思えば、上限価格という強制力が生じたことは、やむを得ないとも感じるわけです。

確かに現場の反発は強いです。そして反発する気持ちも痛いほどわかります。ただ、それでも、私たちとしては、現場に対し、新たな制度の意義や福祉用具貸与が置かれた現実をご理解いただくための努力を続けます。次の改定では、福祉用具の給付がさらに削られるようなことが起こらないようにするためにも。

―最後にケアマネへのメッセージをお願いします。

相談員は福祉用具や住宅改修といった住宅調整のプロとして、利用者の生活全体をマネジメントするプロであるケアマネに、積極的に提案していきたいと考えています。ですので、ケアマネさんには福祉用具や住環境のプロとしてわれわれを信頼して頂き、時には意見を求めてほしい。それに応えられるよう、われわれも努力していきます。

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