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新春スペシャル対談(2)イノベーター2人を迎えて“ケアマネ不要論”は杞憂、「ドラえもん」は夢物語Vol.12 岡本茂雄/株式会社シーディーアイ 代表取締役社長 × 鹿野佑介/株式会社ウェルモ 代表取締役CEO

2019/01/18 配信

前回のインタビューはこちら→「新春スペシャル対談(1)ついに商品化! “ケアプラン×AI元年”を振り返る

岡本茂雄/株式会社シーディーアイ 代表取締役社長
岡本茂雄/株式会社シーディーアイ 代表取締役社長

―実際にAI(人工知能)を利用されているケアマネジャーの反応はいかがでしょう。当然、さまざまな意見があるとは思いますが…。

鹿野:もちろん、ポジティブな意見とネガティブな意見の両方を頂きますね。ただ、一つ言えるのは、AIというものが何なのか分からないところから、ようやく、「こういうものなんだ」という理解に変わってきています。

厄介なのが「AI」という言葉の持つイメージです。総務省の2016年の調査研究(※編注 「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」)によると、AIのイメージを日米で比較した結果、日本では、「コンピューターが人間のように見たり、聞いたり、話したりする技術」との回答が最も多かったのに対して、米国では「人間の脳の認知・判断などの機能を、人間の脳の仕組みとは異なる仕組みで実現する技術」との回答がトップでした。

日本って鉄腕アトムとか、ロボット系のアニメが多いので、AIというと、人間みたいな感情を持って話すとか、人間のやっていることを代替するという印象が強い。これが、「ケアマネの仕事が奪われる」という発想にもつながっているのかなと感じます。でも実際は、人間が持つ機能の一部を技術的に模倣しただけであって、丸ごと人間に代わるという高度なレベルにまでは到達できていない。だから、警戒する必要は全くないんですよ。

講演でよく話すんですが、「皆さん、グーグルマップを使いますか」と。あれもAIの一部なんです。既に日常生活でAIを使っているのに、それが介護になると警戒されてしまう。グーグルマップのおかげで、地図が読めない人でも、ちゃんと目的地にたどり着けるようになった。それと同じように、AIの機能を使えば、人間が苦手なところをサポートしてくれる。こうした理解が、徐々に広がりつつあります。

岡本:私は、ケアマネジメントそのものを進化させたい。そのための道具として、AIやロボットの技術があるという立ち位置です。3年前、全国紙にうちの記事が載った時、8割ぐらいの方が反対していました。「AIを介護の分野に使うのは何事だ」と、いろんなホームページに書き込まれた。先日、同じように全国紙に記事が出ましたが、今回は、半数以上の方が応援してくれている印象を受けました。

鹿野:ついに過半数ですか。

岡本:「今後、あらゆる業界にAIが入ってくる。どのように活用するかは結局、自分たち次第だよね」と。現場のケアマネの考え方は、この3年間で大きく変わりました。だから、うちのAIの説明会をやると、100人や200人の方が集まってくる。

鹿野:今まで、それほどの多くの方は集まりませんでしたよね…感慨深い。

岡本:これまでは、拒絶か非難から入っていた。「ドラえもんができるわけないじゃないですか」と。それがようやく、「人間は高度な観察力をもってやるべきところをやり、AIにできるところはAIに任せよう」という考え方が通じるようになってきた。

■AIで効率化、ケアマネは対人支援に注力を

鹿野佑介/株式会社ウェルモ 代表取締役CEO
鹿野佑介/株式会社ウェルモ 代表取締役CEO

―3年に1度の法改正のたびに、どこからか、“ケアマネ不要論”の話が出てきます。将来、AIがものすごく進化したら、ケアマネは要らなくなるんじゃないかと。これについてはいかがですか。

岡本:介護保険制度の創設が画期的だった理由は、3つあります。一つは、保険でありながら、予防も手当てしていること。それから、霞が関ではなく、自治体側が事業計画を立てること。そして、ケアマネジメントです。

私はケアマネジメントこそが、介護保険における最大の発明だと思っています。それがなくなるかと言われると…正直、ドラえもんができれば話は違うかもしれませんが、あと30年、40年の間に、そんなすごいロボットが生まれることはないでしょう。

一方、その間にケアマネジメントも進化しているはずです。私は「皆さんをもっと進化させましょう」と、いろんなところで言っているんです。第1表から第7表まで作るという、ケアプランの在り方すら変えましょうと。AIもどんどん進化するけれど、ケアマネジメント自体もまだ進化する。ここ数十年は、AIが人間を追い越すことはないだろうというのが、この分野で30年以上やってきた私の感想と希望ですかね。

鹿野:AIが次のステージに行くには、おそらく2桁の年数がかかると思います。ケアマネの皆さんがしている対人援助の仕事は、ものすごくレベルが高い。これに対して、AIでできることはまだ限られています。ITからAIに変わったポイントは、解析力の進化です。大量のデータが集まったことで、それを活用できるようになった。AIは万能だと言われることもありますが、現状では、情報を扱う以外のことをAIがやるのは難しい。

そう考えると、ケアマネの皆さんには対人援助のスキルを引き続き高めてもらって、それ以外の面倒くさい作業は、ITやAIに任せてほしい。超高齢化が進む中、ケアマネが担当できる利用者の数をもっと増やさないと、最後に困るのは国民です。対人援助だったり、人間関係の構築だったり、対話力だったり、傾聴だったり、心を扱う仕事は人間にしかできない。だからこそ、そうした仕事にもっと時間を使えるように、AIと私たちがサポートしたいと思います。

―ケアマネは、AIと役割分担を進めるべきだと。

岡本:鹿野さんとゴールは一緒だと思いますが、私は“医療・介護系”の人間なので、アプローチが少し違います。世の中には、自立できる高齢者がまだまだたくさんいる。私は、AIでケアマネジメントを進化させ、寝たきりになる方を減らしたいと考えています。そのためにケアマネは、ただ第1表から第7表を埋めるのではなく、どのような生活像を目指すのか、その話し合いに力を入れてほしい。

鹿野:補足すると、岡本さんのところは、医療や看護に関する知見がすごい。そこを深堀りしていらっしゃる。それはすごく大事だと思います。

僕はITコンサルタント出身なので、お客さんをどれぐらいサポートできるかという立ち位置です。うちがやっているのは、「知識支援」と「情報支援」。介護・医療の研究者がどんなに質の高い知識や情報を持っていても、それをきちんと届けて、現場の方々が使いこなせなければ、利用者さんに届かないんです。知識の非対称性ですよね。すごく洗練された知識を誰でも使えるようにするデリバリーの部分、ここがAIでサポートできる一番大きな点だと思っています。

―AIはあくまでツールだと。

鹿野:そうです。それを人間が使いこなす。あとは「介護現場の教育支援」。ケアマネさんの脳内にある知識と情報が、AIによってブラッシュアップされれば、自分で調べる時間とか、利用者さんに提案した内容が間違っていてサービスを変更する時間とか、こうした手間を省くことができる。一つの意思決定がずれると、その利用者に関わるすべての人間の労力がもったいないことになります。意思決定の精度向上、知らないことによるやり直しやミスをAIが効率化することがポイントだと思います。

このインタビューの続きはこちら→「10年後、ケアマネの仕事はどうなる?

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