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令和元年は“Wケアマネ時代”の幕開けVol.14 東美奈子/日本相談支援専門員協会・副代表理事

2019/05/07 配信

65歳を迎えた障がい者が安心して地域で暮らすことを目的に昨年春、「共生型サービス」が創設された。2025年には、高齢者のおよそ5人に1人が認知症を発症するとの推計もある中、今後は、外国人労働者の介護問題も出てくる。本格的な共生社会の到来は、ケアマネジャーと相談支援専門員による“ダブルケアマネ時代”の幕開けともいえる。互いの理解を深め、連携を強化するためには何が必要なのか―。このテーマに詳しい日本相談支援専門員協会の東美奈子副代表理事に話を聞いた。

東美奈子/日本相談支援専門員協会・副代表理事

■創設から1年も、サービス利用は低調

―共生型サービスの創設から1年が経ちましたが、現場で変化はありましたか。

障害福祉サービスだけでなく、介護保険サービスの方も、積極的に共生型サービスを導入しようとしている事業所は少ない印象を受けます。福祉施設が少ない地方でのニーズは高いと思いますが、障害の特性を考えると、介護保険の事業所が障害福祉サービスへ移行するのは、ハードルが高いというのが現状ではないでしょうか。

これまでは、両方のサービスをやっている法人に63歳ぐらいからお願いをして、そこでなじみの関係になっていただいてから、別の場所にある介護保険の事業所へ移るというやり方を取っていましたが、交通手段が無いと利用しづらい面もあった。共生型サービスならば、同じ事業所で介護保険サービスを受けることができるので、期待感は大きかったのですが、なかなか難しいようです。

―現時点では、あまり進んでいないということでしょうか。

そうですね。「富山型デイサービス」のように、先進的に取り組んでいた事業所が、今までの形で実践を続けられたり、共生型サービスへ移行したりしている動きはあるかもしれませんね。ただ、新しいことが始まると、1年は様子見の人も多いので、これから少しずつ増えてくる可能性もあります。

一方で、ケアマネさんと相談支援専門員が一緒に勉強したり、情報共有をしたりする場面というのは、各地で増えている実感があります。お互いのサービスに対する理解が深まり、共通認識も生まれつつあります。

■相談支援専門員の“伴走”が移行のカギ

―ケアマネと相談支援専門員による“ダブルケア”を普及させる上で、どのような課題があるのでしょうか。

障がい者が65歳になって、介護保険へ移行した瞬間から、ケアマネさんが主になっていただきたいのですが、相談支援専門員の方が自由度は高いので、こちら側がいろんなことをやってしまう状況にあります。

当事者の側も、今までのなじみの関係性の中で、相談支援専門員に聞かれるので、こちらも引くに引けなくなるのです。こうした背景について、ケアマネさんに理解していただくことも大切だと思います。

―相談支援専門員が長く関わってきた中で、65歳になっていきなりバトンタッチしても、ケアマネは入っていきにくいということですか。

そうですね。関係性を築くまでには時間がかかりますから、なかなかすぐにうまくいくというケースは少ないですね。また、ケアマネさんから、「キーパーソンは誰ですか」とよく聞かれますが、障がい者の場合、キーパーソンがいないケースも少なくありません。天涯孤独で、財産も無いような方もいます。そのような方には相談支援専門員が主の支援者として関わっていた場合もありますから、関係性が強くなっています。

また、特に知的障害の方や重度の自閉症の方などの場合、長年関わってきた相談支援専門員だからこそ、行動や表情の裏にある“意味”が理解できる面もあります。それを、いきなりケアマネさんに「分かってよ」と言っても、なかなか難しいでしょう。

ただ、やっぱり介護保険のことはケアマネさんに聞かないと分からないので、ケアマネジメントの軸はケアマネさんがやって、福祉サービスの部分で相談支援専門員が関わる方が良いと思います。

昨年春、「自立生活援助」という新しいサービスができました。これは、障がい者支援施設などを利用する方が一人暮らしなどを希望する場合、相談支援専門員が一定期間、自宅を訪問したり、随時対応したりするサービスです。環境の変化に困らないようにするためのものなので、介護保険への移行も環境の変化と捉え、こうしたサービスを利用しながら、徐々に移行していく必要があるでしょう。

―昨年春から、相談支援事業者との連携が居宅介護支援事業者の努力義務となりましたが、厚生労働省が行った調査では、介護保険へ移行する1~2カ月前に連携を始める事業所が最も多い結果となりました。

報酬上でケアマネさんが動けるのは、サービスの提供が始まってからになるので、1~2カ月前といっても、実際に関わることができるのは、おそらく地域ケア会議ぐらいだと思います。一方、相談支援専門員の側も、福祉サービスを使っていないとサービス等利用計画を立てられないので、お互いにうまく連携できず、結果的に65歳をきっちり守るような形になっていました。

でも、自立生活援助というサービスができたことで、相談支援専門員はケアマネさんの“伴走”ができるようになりました。今後、ケアマネさんの負担は減っていくでしょう。

昨年4月以降、60歳からの5年間障害福祉サービスを利用していれば、65歳になって介護保険サービスへ移行しても、低所得者の自己負担が無料になりましたが、障害福祉サービスは、障害区分にあまり左右されずに利用できる面もあります。相談支援専門員も今後、自立支援の視点に立って、60歳ごろからサービスの利用量について考える必要があると思います。

■事例検討で顔の見える関係づくりを

―ケアマネと相談支援専門員が一丸となって共生社会に対応するためには、何が必要だとお考えですか。

やっぱり、事例を重ねることが一番大切だと思います。例えば、障害福祉サービスと介護保険サービスの一覧表を作って、お互いのサービスについて最低限の説明ができるようにする座学の勉強と併せて、事例検討を繰り返し、お互いが何を考えているのかを理解し合うことが重要です。

まず、顔合わせの会を開き、グループワークをしながら、お互いが困難に感じていること、それを解決するためには何が必要かを話し合う。そして、少し顔の見える関係ができてきた段階で、「一緒に事例について考えてみましょう」という感じでやると、状況は変わってくるのではないでしょうか。

―顔の見える関係を構築した上で、事例検討を重ねるということですね。

“顔の見える関係”というのは、例えば、Aさん、Bさん、Cさんがいたとしたら、「Aさんに合うのはこのケアマネさん」というところまで知っておくことだと思います。一覧表を出されて、「この中からケアマネさんを選んでください」と言われても、なかなか選べないですよね。「このケアマネさんはこういう人だよ」という説明ができるぐらいまで、お互いのことを知り合える関係が理想だと思います。

―東さんの事業所のある島根県出雲市は、ケアマネと相談支援専門員の連携が進んでいる地域ですが、研修会の旗振り役は誰が務めているのですか。

自主的に勉強会を開いている人が多いので、気が付いた方が声を掛けているという感じでしょうか。他の地域では、行政が設置する自立支援協議会の研修会にケアマネさんをお呼びするケースが多いかもしれません。相談支援専門員が地域ケア会議に参加することも必要ですが、障害福祉サービスと介護保険サービスで行政の担当部署が異なるので、研修会を開きやすくする仕組みづくりも重要だと思います。

■ポスト平成はインフォーマルを基本に

―平成が終わり、新しい時代に突入しますが、今後、ケアマネジメントはどのように変化していく、あるいはどう変わってほしいと思いますか。

インフォーマルサービスを基本に考えるケアマネジメントが大切だと思います。利用者さん本人を中心に据え、その方がどこで、どのような暮らしをしたいのかをきちんと聞いて、それを実現するためには何が必要なのか。地域の中に、どのようなインフォーマルサービスがあるのかを把握した上で、足りないものを福祉サービスや介護サービスで補う。こうした考え方に変えていくべきです。

東美奈子(あずま・みなこ)
山口県立衛生看護学院保健婦科卒業。保健師、精神科認定看護師。総合病院や精神科病院などの勤務を経て、2007年に島根県出雲市に移住し、相談支援事業所「ふあっと」の相談支援専門員に。2015年には株式会社RETICEを立ち上げ、同市内に訪問看護ステーションと相談支援事業所を開設。“医療と地域をつなぐ”をテーマに、精神科看護師や相談支援専門員の人材育成に携わっている。島根県の相談支援アドバイザーや日本精神科看護協会の理事など、多数の要職を務める。

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