<検討会構成員が語る2>効率が優先される施策の中で専門性をどう証明するか


2013/01/21 11:00 配信   | 行政ニュース

東京都介護支援専門員研究協議会(CMAT)が12月に開催した平成24年度第5回中規模研修「今、介護支援専門員に求められていること」から、ここでは橋本泰子氏の講演から後半部分を紹介する。

■効率化ありきの施策の中、ケアマネジャーの専門性をどう証明していくか
高齢者人口の増大、それに伴い増加する認知症患者、高齢者世帯の多くを占める夫婦のみ・ひとり暮らし世帯など、介護保険を取り巻く課題を解決するために構想された地域包括ケアだが、橋本氏は、高齢化率などのデータをひとつひとつ示しながら、「地域包括ケアで、本当に認知症の高齢者を支えていけるのか」と疑問を投げかけた。

「その人らしく暮らすため、可能な限り在宅生活を保障するというのはよいことだと思います。ですが、それと同時に、施設はコストが高いから『できれば自宅で暮らしてほしい』というのが、現在の方向性です。家族がいて、家族との関係が良く、認知症が軽ければ在宅は可能だと思いますが、そうではない人にはどう対策していくのか、より議論を深めていくべきです」

このように介護施策が効率ありきで進んでいく中において、ケアマネジャーの資質を問う風潮になっていることを認識すべき、というのが橋本氏の主張だ。

「ケアマネジャーは、職能集団としての結束力・行動力が脆弱であるため、働きかけやすいのではないのでしょうか。また、業務の専門性に対する評価が適正ではありませんが、それは専門職として歴史が浅く、基礎資格が多様で就学年数が短いものの比率が比較的高いことも理由だと思われます。しかし、ケアマネジャーの業務が十分になされていないのなら、苦情数も多いはずですが、東京都の苦情相談白書(平成24年版)では、居宅介護支援に対する苦情の発生率は1.56%で、施設サービスも含む介護保険サービスの中で決して多くはありません」

こうした背景をケアマネジャーも介護保険にさまざまに関わる人も知った上で、「ケアマネジャー一人ひとりが力をつけるため、努力してほしい」と橋本氏。専門性を証明するという意味でも、職能を広げるという意味でも、橋本氏がすすめるのは、ソーシャルワークを学ぶこと。「生活全体を把握してケアプランを作る時に視野が広がります。私自身、働きながら社会福祉士の資格を取りました」。

また、今回の研修が主任介護支援専門員対象であることを踏まえながら、主任介護支援専門員の位置づけと役割の明確化を望むこと、厚労省も評価し、「実力ある介護支援専門員という評価になっている」認定ケアマネジャーへの挑戦も推奨した。

■介護の実務者による「ケアマネジメント向上会議」もスタート
有識者による「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会」に並行する形で、介護の専門職・実務者による「ケアマネジメント向上会議」が11月から始まり、ケアマネジメントの質向上を図るための実際的な手法を検討・協議している。現在、会議で検討中のケアプラン課題整理表(仮称)について、向上会議・委員を務めるCMATの岡島潤子氏(株式会社やさしい手開発本部参与)より説明があった。

・課題整理表(仮称)と評価表(仮称)の検討の経緯
昨年度、老人保健健康増進等事業で行った約8000のアンケート調査結果から70の事例を選び出し、アドバイザー会議で検討したところ、アセスメントが不十分であり、情報収集をした後の分析が足りずケアプランに反映されていないことがわかった。「そこで、ケアマネジャーが情報収集をしてからケアプランを作るまでの過程と、ケアプランの根拠を『見える化』するため、発案されたのが課題整理表です」(岡島氏)

・課題整理表の活用法
岡島氏によると、事例を分析すると、アセスメントはかなり取れるようになってきたが、その情報がプランに落ちていない人、情報収集が足りず根拠が見当たらないのに上手に書いている人…さまざまなケースが見られたという。 

課題整理表(仮称)は、専門職としての思考の過程を可視化できるよう、アセスメントの23項目に現状をチェックし(自立・見守り・一部介助・全介助)、次の欄には現状からの見通し(①改善可能、②維持可能、③改善維持可能性低)を選び、その選んだ判断基準となった根拠、予後予測の記入欄を設置して専門職としての意見・判断が導かれるようなシートとなっている。

現在、全国約270人のケアマネジャーが参加し、課題整理表(仮称)を使った実証事業が行われており、12月末には1000例が集まる予定だという。課題整理表は仮称で、この形式が採用されるかどうかは未定だが、「実証に参加している現場のケアマネジャーからは課題整理表をきちんと使うことができれば、専門職としての意見判断が明確になるとともに多職種の共通言語となり、サービス担当者会議での参加者の理解を得られやすくなる、また、新人ケアマネジャーの教育場面やOJTに役立つようだとの意見もいただいています」(岡島氏)。

「ケアマネジメント向上会議」は1月・2月にも開催される。こちらの動向にも注目したい。

研修は、橋本氏の現役ケアマネジャーに向けてのメッセージで締めくくられた。
「『ケアマネジャーはなくなってもいい』ということを言う人がいますが、介護サービスを適切に使ってもらうためにケアマネジャーをつくったのですから、なくなるはずがありません。ますます重要な仕事になると思います。ひとりひとりのケアマネジャーが実力を伸ばし、活躍されることを願っています」

介護保険制度は、施策を動かす人のためではなく、制度を必要とし、利用する人のためにある。今回の研修で、ケアマネジャーという仕事の意義と責任の大きさを改めて知り、考えることができた。

◎東京都介護支援専門員研究協議会

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ケアマネジャーのための専門サイト
【ケアマネジメントオンライン編集部 土倉】

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