<社保審レポ(1)>改正後の初の介護保険部会で、動向と課題を確認
厚生労働省は、1月21日、第42回社会保障審議会介護保険部会を開催し、2015年の改正へ向けての審議がスタートした。介護保険部会の開催は2011年11月24日以来1年2カ月ぶりとなる。
冒頭、26人の委員のうち新任の6人と、異動があった事務方の紹介があった。
次いで、原・厚労省老健局長より挨拶があり、「団塊の世代が75歳以上になる2025年までに地域包括ケアに一定の目途をつけることが重要。再開する介護保険部会では、地域包括ケア実現のための2015年の制度改正に向け、具体的な方策について建設的な議論をお願いしたい」と述べた。
また、2015年の制度改正は、昨年8月に公布した社会保障制度改革推進法や社会保障と税の一体改革大綱に掲げられた課題を踏まえたものであり、介護保険部会での検討は、現在行われている社会保障制度改革国民会議や自公民の3党協議の動きと連携・調整を図ることも強調された。
今回は、2012年の介護保険法改正後初めての介護保険部会ということで、法改正以降の介護分野の動向と課題についての説明に約40分費やし、その後各委員から意見を募った。
各委員の意見・質問で多かったのは、改正に伴う新サービス、介護・看護のマンパワーの増強、財源の確保と給付と負担のバランスについて。以下、主な発言を紹介する。
定期巡回・随時対応サービスについて、勝田登志子委員(認知症の人と家族の会副代表理事)が「期待ほどには進んでいない。2012年11月末で実施しているのは75保険者、125事業所。利用者は1,060人と報告されており、平成24年度見込みの1日あたり6,000人とかい離している。その原因と今後増やすための方策について聞きたい」と質問し、事務方より「地域密着型サービスは保険者や事業者の理解が必須。すでに取り組んでいるところで利用人数が少ないのは、ケアマネジャーの理解を求めたい」などと回答がされた。
斉藤秀樹委員(全国老人クラブ連合会理事・事務局長)は、資料の「地域ケア会議は、2012年度現在1,202保険者で実施されているが、主催者や参加者はさまざまで、個別ケースの検討をしている会議は多くない」に触れ、「個別ケースの困難事例を考えることから課題が出て、地域づくりに生かせるのに、このような保険者の姿勢ではあまり効果が期待できないのではないか」と疑問を呈し、事務方より、地域ケア会議の実施に関する事情とコーディネートする者の研修を進めていることが説明された。
木村隆次委員(日本介護支援専門員協会会長)は、「サ高住では、それ以前に担当していたケアマネからサ高住のケアマネに移行してくれと言われることがあると聞いている。入居する高齢者の尊厳を守る上でも問題ではないか」と意見し、「ケアマネの変更には利用者の十分な説明・同意を得ることが必要。問題を注視していきたい」との回答を得た。
また、斉藤正身委員(医療法人真正会理事長)は「新しいサービスが進んでいないという指摘があるが、既存のサービスにおいても、重点項目が変わるにつれてサービス事業者も変容してきている。提供されるサービスの質が保たれているのか、しっかり検証してほしい。リハビリについても医療保険におけるものと介護保険での広い意味のリハビリも整理が必要だと思う」と述べた。
――社保審レポ(2)へ続く
◎厚生労働省
■関連記事
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【ケアマネジメントオンライン編集部 土倉】

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