<定期巡回・随時対応サービス>疑問が氷解するQ&A――セミナールポ(3)


2013/02/07 13:00 配信   | 業界ニュース

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が、1月21日に開催したシンポジウム「実践から見えてきた定期巡回・随時対応サービスの姿-地域包括ケアにおける中核的サービスとしての可能性」。
第3部は、サービス提供者によるディスカッションが行われた。

パネラーを務めたのは、株式会社やさしい手開発本部巡回事業部部長の宮崎剛氏、株式会社ジャパンケアサービス・ジャパンケア川崎新百合ヶ丘管理者の山本八寸代氏、医療法人笹本会おおくにいきいきプラザ施設長の横内理乃氏、NPO法人ささえる医療研究会理事長で医師の村上智彦氏の4名。

まず、それぞれの定期巡回・随時対応サービスの取り組みについて紹介があった。

■やさしい手・宮崎氏(地域の訪問介護事業所と連携してサービスを提供する連携型が主)
3か所の定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所を運営し、それ以外の事業所では連携型としてサービスを提供している。
サービスを利用している人のケアプランの事例として、「要介護5で胃ろうをつけている人が退院後サ高住に入居し、1日5回の定期巡回と週2回入サービスを受けている。医療依存度の高い人が在宅で暮らすために有効な―ビスと感じている。事業運営の課題としては、利用者が増えるとサービスを希望する時間帯が重なりやすいため、やさしい手では常勤の介護職員以外に登録型で利用者宅へ直行直帰するスタッフをそろえることで、柔軟に対応している」。

■ジャパンケアサービス・山本氏(連携型)
「4月のスタート時は、ケアマネへの周知をどう行うかが課題で、介護報酬がひと目でわかる早見表を作成して居宅支援事業所を周り、給付やどのような人にふさわしいサービスなのかを説明した。病院から在宅に戻る人は2週間試してみて、その後通常プランに戻せる人は戻してもいいという形で薦めたりもした。認知症で服薬管理できない人にも役立つサービスだと感じている」
「積極的にターミナルケアも手がけ、9か月間で11名の看取りを行なっている。ケアマネに「余命わずがでどうしても自宅で過ごしたいと言う利用者がいる。何とかしてほしい」と頼まれて受け持ったケースも。ご家族は当初不安な気持ちが大きかったが、一日に複数回訪問することで気持ちが落ち着いてきた」。

■医療法人笹本会おおくにいきいきプラザ・横内氏(ひとつの事業所で訪問介護と訪問看護のサービスを提供する一体型)
「3か月間のモデル事業では、身体機能や精神状態に向上が見られたケースもあり、要介護度3から2になった人も。定期巡回で安否確認がしやすくなり、独居の利用者が転倒した時もすぐ対応して医療につなげることができました。家族の介護負担の軽減にも役立っており、虐待の疑いがあったケースではそういうことがなくなった」。
10月よりサービスをスタートし、現在利用者は8人。看護は訪問看護ステーションと一体で展開し、看取りも行なったという。1人あたり1日6~8回訪問し、1回の平均訪問時間は22.7分であることも報告された。

■NPO法人ささえる医療研究会・村上氏(一体型)
財政破たんし、人口が減少した北海道夕張市で、保健・医療・福祉が一体化した取り組みを実践。
「夕張の地域包括ケアは、看護師が中心になり、高齢者が日常の生活を取り戻すことを目的に行なっています。定期巡回・随時対応サービスは、まさにわれわれが必要としているサービスでした」

医師が頂点に立つのではなく、現場に裁量権を持たせながらサービスを提供しているのが夕張モデルの特徴で、看護職も介護職もフラットな関係。専門職だけではなく、家族や地元住民も参加しての地域ぐるみの取り組みが紹介された。

最後に、ディスカッションでの質疑応答を紹介する。

■さまざまなニーズに対応できるサービス
Q サービスのニーズはどれくらい? 向かない人はいるか。
宮崎:ニーズはどの地域でもある。ニーズがないのはサービスがないからて、サービス普及のためにケアマネの周知・理解を求めたい。とくに病院から在宅に復帰する時に生かされるサービスなので、メディカルソーシャルワーカーや看護師の理解も必要だ。
村上:在宅で暮らしたいと望む人すべてにニーズがあるはず。例えば、病院で処方された薬をちゃんと飲んでいるのは4人に1人という調査があるが、朝昼晩の服薬時に訪問すれば忘れずに飲んでもらえる。これこそがニーズで、「ニーズがない」というのは受け身でやっているから。
山本:朝訪問して安否確認とともにゴミ出しをするなど、介護保険ではできないこともこのサービスならできる。活用度は高い。
横内:向く・向かないはないのでは。認知症の人では定期巡回することで生活のリズムが整えられ、被害妄想がなくなったという事例もあり、ヘルパーがその都度交代しても混乱することもなかった。

■「どんな人が利用しているか」で理解につなげる
Q ケアマネの理解をどう得ているか。ケアマネとの連携関係に変化は?
山本:介護報酬の早見表を渡して説明したのは効果があった。ケアマネの周知・理解が進んでいなかったのは、昨年の法改正で3月中は既存プランの見直しで手いっぱいだったせいもあるのでは。今はかなり理解が進んでいるのではと思う。プランの見直しも必要になるので、ケアマネとの関係が密になったと感じる。一度使ってもらったケアマネからさらに利用につながっている。
宮崎:ケアマネだけではなく家族もそうだが、「どんなサービスか」ではなく、「どんな人が利用しているか」を説明すると理解につながりやすい。
村上:われわれのところでは看護師が利用者の生活を見ているので、現状のままではケアマネは必要ない。サービスについて周知が不足しているというが、プロなのだから制度を知っているのが当然のはず。ケアマネには、きちんと医療と現場を見てアセスメントしてほしい。そうすればケアマネ不要論はなくなる。厳しいことを言うようだが、それだけケアマネに期待しているということ。
横内:ケアマネとの情報交換が増えてきていると感じる。24時間対応なので利用者の1日の生活の流れが把握でき、それをケアマネに提供することで歓迎されている。

Q 看護と介護の連携状況はどうか。
宮崎:連携においての課題は、看護の報酬が安いということだ。
山本:連携での訪問看護の介護報酬は2920単位。当初はそれまでの1回1時間830単位で考えていたが、1時間滞在してどんなことをしているかを看護師に聞いてみて、服薬チェックなどは介護職員が定期巡回の時に行ない、それを看護師に報告すればいいことに気づいた。そうすれは、訪問看護は1回20分くらいですみ、報酬を有効に使うことができる。

■採算性はニーズに連動。参入後の工夫こそが大切

Q 定額制・包括報酬の意味は理解されているか。
山本:「1日に何回も来てくれるから、いつでも何でもやってくれるサービス」と捉えている人はたしかにいた。利用者のニーズをしっかり把握してアセスメントすることが大事だと思う。
横内:定額制なので、ケアマネに「オムツ交換のたびに行ってあげて」と言われることも。定期巡回なのでもちろん行くが、実際に訪問してみると夜間は睡眠をさまたげてしまうなど逆に良くないことが。早朝のオムツ交換をしっかりやればいいということになった。アセスメントをきちんと行ない、ケアマネともよく話し合うことで解決できる。
宮崎:定額制・包括払いということで、ケアマネが「すべておまかせします」という依頼の仕方をすることも。課題があって目標があり、そこにサービスが位置づけられていくのはこれまでのサービスと同様なので、ケアマネと計画作成者、看護師のアセスメントを入れていくことが重要だと思う。利用者にはケアマネから説明してもらうことで、理解してもらう。
村上:介護保険は負担があって給付がある相互扶助。社会保障のひとつだということを利用者もサービス提供者もケアマネも理解することで、過剰なサービスを防ぐことが大事。

Q 事業者としてサービスの採算、効果、意義をどう感じているか。
宮崎:現時点では、単体では収支があっていない状況だ。利用者の確保が進んでいないからで、利用者が増えれば収支があっていく。事業者として、このサービスはこれからの介護保険を支えるものだと考えているのでやっている。職員については、計画作成者として利用者の24時間を考えることがやりがいとなっているようだ。
山本:利益については1事業所ではわからないが、参入する前に利益を考えるのではなく、参入してからの工夫が大切なのだと思う。柔軟なサービスなのでいろいろ変わっていかないといけないし、訪問看護のスタッフやケアマネの意識も変わらないといけない。
村上:単体では介護は赤字、看護は黒字。職員のモチベーションが上がっていると感じる。制度が変わると文句や批判が出るのが常だが、それなら制度を変えていく努力をしないと。そのためには根拠となる数字が必要で、われわれのNPOでは、取り組みはきちんとデータを出して学会で発表し、感想ではなく意見として出せるようにしている。

◎三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

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【ケアマネジメントオンライン編集部 土倉】

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