<公開ケア会議総括II>地域ケア会議を全国的に実施するなら研修は必須!


2013/03/12 12:00 配信   | 行政ニュース

前回、公開ケア会議開催の目的は、実際には以下の4つだったのではないかと述べ、1)~3)についての記者の考えを記した。

1)ケアマネジャーの思考過程を「見える化」し、アセスメントや予後予測、課題の把握、課題から導き出した目標、目標を達成するための支援(ケア内容やサービス内容)について、それぞれが適切であったかどうかを多職種で検討すること
2)その検討をもとに、ケアマネジメント向上のための改善方策を提案すること
3)「見える化」するためのツールとして、試作した「課題整理表」が有効であるかどうかを検証すること
4)多職種協働での「地域ケア会議」とはこのようにして行うものだ、という手本を示すこと

今回は残った4)についての意見を述べてみたい。

■各保険者での実施など本当にできるのか?
4)については、残念ながら目的は達成できなかったと言えるだろう。むしろ、見る人に地域ケア会議を運営するのは非常に難しい、という印象を与えたのではないか。

まず、利用者の状態像や課題の把握に時間がかかりすぎた。事前に、何に重点を置いてプレゼンすればいいか、プレゼン者に十分レクチャーされていなかったのだろうか。読めばわかる利用者の基本情報から説明したり、資料作成時から状態が変わって解決済みの問題についての補足説明がなかったりと、司会を務めた東内京一氏(和光市保健福祉部長)が苛立って指示を出す場面が多かった。

東内氏のいる和光市ではケアマネのプレゼンは約4分だと聞く。どれだけ場数を踏めばそれができるようになり、参加者もまた、4分間のプレゼンで状態像と課題を把握できるようになるのだろうかと思う。和光市のように多職種協働でのケア会議がケアマネジメント力の向上につながるように機能させるのは、3回の公開ケア会議を見る限り、長い道のりだと言わざるをえない。すべての保険者に東内氏のような、多職種協働でのケア会議の目的と運営方法を熟知し、会議をうまく切り回すことができる行政マンがいるわけではないのだ。

何と言ってもまずは、東内氏レベルのコーディネイト力がある担当者を各保険者で育成しなくてはならない。また、ケアマネが短時間でのプレゼンや、その場での質疑応答に対応できるようにするには、当然、ケアマネに対する研修も必要になるだろう。しかし実のところ、東内氏が司会を務めても、ベテランといわれる主任ケアマネがプレゼンを行っても、第1回、第2回の会議の運営はうまくいかなかった。これをどう考えればいいのか。

やはり、日本全国の各保険者で、1事例20分程度で実りのある検討ができる会議を行い、それをケアマネジメント力の向上につなげようとするのは、現状では、机上の空論のように思えてならない。何しろ、現場のケアマネの多くは、これまで地域ケア会議に参加したことがなく、「地域ケア会議って何?」という状態なのである。

■導入するなら研修実施などが必須条件
とはいえ、東内氏のいる和光市では、実際にそれが機能しているのも事実。人材が揃い、やる気があれば、できる可能性はあるかもしれない。だとすると、大切なのはどれだけ本気で機能させようとするかである。厚生労働省が真剣に地域ケア会議をケアマネジメント力向上のために活用するつもりなら、まず、うまくいかなかったこの3回の公開ケア会議をじっくりと検証し、どうすれば機能させられるかを真剣に考えてほしいと思う。

前述のように、司会役を養成し、ケアマネにはプレゼン力と的確な質疑応答ができる研修をし、参加者にもどこに焦点を当てて議論するかについての研修を行うことは必須。その上で、東内氏が全国行脚して指導して回るのもいいかもしれない。地域ケア会議を活用するなら、そうやって、この会議を標準化して全国どこの保険者でも有効に機能できる体制を整える覚悟を、厚生労働省に持ってほしい。

地域ケア会議など役に立たない、と言うつもりはない。実際、傍聴した会議の中でも、一部の参加者からは「なるほど」と思う視点やケアのアイデアなどが示された。サービス担当者会議で十分に検討しても煮詰まって新たな視点やアイデアが出てこないとき、異なる視点を提供してくれる、いわばスーパーバイザー機能が地域にあるのは望ましいことである。

しかし、ケアマネジメント力向上のための方策として、とりあえず何か提案しなくてはならないから、という安易な考えでこの会議を各保険者に義務づけるのだけは辞めてほしい。そんなことをしても、行政マンや地域包括、ケアマネの負担が増えるだけで、まちがいなく形骸化する。そのことを厚生労働省はしっかり認識しておいてほしいと思う。

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【ケアマネジメントオンライン編集部 宮下】

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