<社保審レポ(1)>訪問看護“一人開業”の行方―― なし崩しの緩和をけん制


2013/03/25 09:00 配信   | 行政ニュース

訪問看護師のいわゆる「一人開業」について、3月8日に開かれた社会保障審議会介護給付費分科会で議論が行われ、人員基準を1人以上に緩和することは適切ではなく、「現行の人員基準を維持する」ことで合意が得られた。

この日のメインの議題は、「訪問看護サービスの人員基準について」。
東日本大震災の被災地における特例措置に関することと、通常の人員基準の話の2つの観点から議論が行われた。
このうち、後者についてまず、紹介する。



そもそもの発端は、2011年3月に行われた内閣府行政刷新会議の規制仕分けで、人員基準を1人以上に緩和することが提起されたことだ。その後、同年7月に閣議決定された「規制・制度改革に係る追加方針」でも、「指定訪問事業所の人員基準の見直し(1人又は2人)について、結論を得る」と明記され、必要な人員配置基準について平成24年度中に結論を得ることとなっていた。

■24時間365日を守るには、5人が必要?
まず、口火を切ったのは、日本看護協会常任理事の齊藤訓子委員。
「そもそも『2.5以上』という基準が最低ライン。24時間365日を看護師一人の労働時間で割ると、単純計算でも5人は必要」
と現行の人員基準の維持を訴えた。

日本慢性期医療協会会長の武久洋三委員も、「全国的にはむしろ2.5人から増やして、大規模化を進めるべきでは」。

こうした意見に真っ向から反論したのは、高齢社会をよくする女性の会理事の井上由美子委員や認知症の人と家族の会副代表理事の勝田登志子委員だ。

井上委員は、「一人訪問看護を認めていただきたい」とまず訴えた上で、「(一人訪問看護が)被災地の特例措置としてできたが、日本はいつどこで災害が起きるかわからない状況にある。リスクマネジメントとして計画されていいのではないか。特例をつくるのも、やめるのも時間がかかる。今後の社会のリスクマネジメントとして認めてほしい」と説明。

勝田委員は、「地域包括ケアがいま進められている。いろいろなところとのネットワークをつくれば、一人でも十分に対応できるのではないか」「(大規模化に対して)利用者としては、もっと身近にほしい」と訴えた。

■2.5人の人員基準を維持
議論が終盤にさしかかった頃、発言したのが、地域ケア政策ネットワーク研究主幹の池田省三委員だ。「訪問看護の充実は必須。ただし、一人開業を認めることとは別」とまず指摘。
「リスクマネジメントに“一人訪問看護師”を盛り込んだら、その人が倒れたらサービスが継続できなくなるため、逆に新たなリスクが生じる」
「そもそも2.5人という基準も根拠がなく、規制緩和しすぎなんです。(齊藤訓子委員が述べた)5人の方が正確かもしれない。原則としては今のままで十分」
「個別ケアの必要性と経営の問題がごっちゃになっているのでは。経営は大規模なほど安定する。訪問看護で一人開業を認めたら、“一人ヘルパー”、“一人PT”などにもつながる。その危険性を含んでいる」
と、人員基準の緩和を否定した。

こうしたそれぞれの意見を受けて、この日、分科会長に選出された、慶應義塾大学大学院教授の田中滋氏は、「現行の人員基準を維持する」ということで、分科会としての意見を取りまとめた。

――社保審レポ(2)へ続く

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【ケアマネジメントオンライン編集部 橋口】

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