AIが認知症ケアを変える!ユマニチュードを全国へ


2018/08/21 09:30 配信   | 業界ニュース

ユマニチュードは、体育学を専攻する2人のフランス人、イヴ・ジネスト氏とロゼット・マレスコッティ氏によって創られた、知覚、感情、言語による包括的なコミュニケーションケア技法だ。既に40年近くの歴史を持ち、今では世界10カ国、700カ所以上の施設で導入されている。AI(人工知能)を活用した幅広い事業を展開するベンチャー企業「エクサウィザーズ」(東京都港区)は、ユマニチュードを実践する介護者の習熟度を高める「コーチングAI」の開発を進めている。AIは認知症ケアをどう変えるのか―。同社の担当者に話を聞いた。

そもそも、なぜ認知症ケアにAIなのか―。取材に応じてくれたユマニチュード事業部の佐々木実さんに、率直な疑問をぶつけてみた。「ユマニチュードの技術や哲学は、非常に論理的で、かつ、体系立っているので、プログラミングに落とし込みやすい。その意味で、AIと比較的相性がいいと考えています」。


CMOの取材に応じた佐々木さん

ユマニチュードは、「人間らしさ」を意味する造語で、「ケアする人とは何か?」「人とは何か?」を問う哲学の部分と、それに基づく数百にも及ぶ実践的なテクニックから成る。認知機能が低下し、人間としての尊厳が失われつつある時、相手にとって大切な存在だという思いが伝わると、被介護者の反応は劇的に変わるのだという。

「ユマニチュードの技術習得の難しさを、社内ではよくスポーツや格闘技に例えて説明します。基本技(キックやパンチ)があるだけでは試合に勝つことはできません。間合いを読んだり、相手の動きをかわしたり、さまざまな応用が絡み合って勝利につながります。どのような技術を組み合わせれば、相互に良い状態でケアできるのか。その点に私たちは取り組んでいるのです」

■「コーチングAI」 は3ステップを想定

エクサウィザーズは、ユマニチュードの商標権などを持つフランスの「SAS Humanitude社」と国内で唯一提携し、ユマニチュードの研修会などを運営している。だが、講師を務められる「認定インストラクター」の数は国内でわずか20人程度。全国の介護スタッフや介護者に、“達人”が持つユマニチュードの技術を広めるため、同社は「コーチングAI」の開発に力を入れている。

「コーチングAI」の実現に向け、同社は、(1)人対人(2)オンライン上での人対人(3)オンライン上での人対AI―の3つのステップを描いている。

(1)は、ユマニチュードの普及に向けた取り組みだ。具体的には、国立病院機構東京医療センターに委託し、各地で研修会を開催しているほか、ユマニチュードの創始者の一人で同社の顧問でもあるイヴ・ジネスト氏、日本のユマニチュードの第一人者として知られる同センターの本田美和子医師と共に、さまざまな研修プログラムの開発も進めている。

今年春には、SOMPOホールディングスと資本業務提携を結び、日本最大規模を誇るSOMPOケアグループの介護施設で、ユマニチュードを普及させる取り組みをスタートさせた。

■「コーチングアプリ」で“教師データ”蓄積

(2)は、「遠隔コーチングアプリ」の開発だ=写真=。同社は、スマートフォンやタブレット端末などで撮影した動画に赤ペンを入れたり、コメントを残したりする技術を開発した。アプリを使って、ユマニチュードの動画を「認定インストラクター」に送り、遠隔で指導してもらうことで、AIに学ばせる“教師データ”を蓄積するのだという。



※エクサウィザーズ提供、クリックで拡大


「デベロッパーとのライセンス契約はほぼ完了し、現在、価格や機能などの細かな部分を詰めている段階。年内のリリースを目指しています」

アプリで取得した動画をAIに解析させ、オンライン上で人間に指導してもらう最終形が(3)だ。昨年、同社が行った実証実験では、介護者に眼鏡型のカメラとピンマイクを付け、目線や会話の様子を把握するとともに、天井のカメラを使って、ケアを受ける側との距離を識別することにも成功した。

「ユマニチュードは、相手の視線を水平に捉えることが大切です。相手に顔を近づけているか。目線はきちんと捉えているか。話し掛けているか。実証実験では、被験者ができている部分とできていない部分をAIが抽出し、フィードバックを得ることができました。今すぐに実用化できるかと言えば、答えは『ノー』ですが、手応えをつかむことはできたと感じています」

■AI導入で、介護スタッフの負担も軽減

認知症ケアの現場では、被介護者から拒絶され、暴言を浴びせられたり、暴力を受けたりすることで、精神的に疲弊する介護スタッフが後を絶たない。前出の実証実験では、コーチングによって、認知症の症状の改善だけでなく、介護者の負担感の軽減につながることも確認できたという。

「フランスでも、離職によって3年でスタッフが総入れ替えするケースがある一方、ユマニチュードを導入した結果、離職率が3分の1程度下がったという事例もあります。ケアを受ける側の重症化を防ぐとともに、ケアをする側の離職率の低下にもつながる。当社としては、両方がハッピーになる社会の実現に向け、今後もチャレンジを続けたいと考えています」

◎ユマニチュード研修の案内はこちら


ケアマネジャーのための専門サイト
【ケアマネジメントオンライン編集部 敦賀陽平】

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