MSWからケアマネに伝えたいこと―医療から見た連携の課題とは?


2018/11/09 09:00 配信   | 2018年度報酬改定

入退院時に医療機関側の相談窓口となる医療ソーシャルワーカー(MSW)との連携は、とりわけ居宅介護支援事業所のケアマネジャーにとって重要だ。今年4月の診療報酬と介護報酬の同時改定では、医療と介護の連携を強化するための要件の見直しなどが行われた。あれから7カ月余り。ケアマネとMSWの連携は進んだのか。そして、さらなる連携に向けた課題はどこにあるのか―。

この春の介護報酬改定では、「入院時情報連携加算(I)」の要件が大きく変わった。ケアマネが医療機関に情報を提供するまでの期間の要件が、「入院後7日以内」から「入院後3日以内」と短くなる一方、訪問のみだった提供方法の要件は廃止となり、連携のスピードが大幅にアップした=図=。



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こうした見直しは、診療報酬の「入退院支援加算」との連動を狙ったものだ。この加算は、MSWや看護師ら医療機関の退院支援部門の職員が、退院が困難と思われる患者を見つけだし、入院後の早い段階で対策を講じることで、入院が長期化しないようにするための取り組みを促す。

患者を抽出するまでの期間の要件は、同加算1が「入院後3日以内」、同加算2が「入院後7日以内」で、今回の同時改定に伴い、「入院時情報連携加算」の情報提供の期間と足並みがそろったと言える。

介護報酬改定ではまた、医療機関や介護保険施設との情報収集の回数によって、「退院・退所加算」が3つに分かれ、ケアマネがカンファレンスに参加する方が、居宅介護支援事業所の報酬は高くなった=図=。ただ、初回のケアプラン作成の手間を明確に評価するため、情報収集の回数が1回の同加算(I)は、カンファレンスの参加の有無にかかわらず、いずれも報酬が引き上げとなっている。情報収集の回数が3回の同加算(III)は、カンファレンスの参加のみが対象だ。



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■MSWに「加算について伝えて」

こうした入退院時の連携に関する見直しについて、MSW側はどう考えているのか―。5千人以上のMSWらを会員に抱える「日本医療社会福祉協会」の岡村紀宏・業務執行理事に話を聞いた。


CMOの取材に応じた岡村・業務執行理事

―今回の同時改定について、どのように受け止めていますか。

当協会としては、連携がやりやすくなったという点は評価しています。ただ、今回の改定はきっかけであって、これで連携が飛躍的に強まるとは考えていません。連携は単なる手段です。患者さんのQOLの向上が目的だということを忘れてはいけません。

病院側は、退院を“ゴール”のように捉えがちです。もっと生活者の視点を持たないと、ケアマネジャーと話がかみ合わず、お互いのミスマッチは解消されない。加算を取ることが目的化しないように取り組む必要があると思います。MSWとケアマネジャーが、ただ会えばいいという話ではありません。

―MSWとケアマネが連携する上で、どのような課題があるのでしょうか。

私たちにとって必要な情報は何かというと、やっぱりご自宅での様子なんです。例えば、デイサービスを使っているのならば、ご自宅の風呂がこうなっていて、ご利用者からこういう希望があったとか、そのサービスを入れた背景が知りたい。

もし、ご家族が三人兄弟だとしたら、ご家族とケアマネジャーとの関わりをお聞きしたいです。でもケアマネジャーからは、「連絡先は1番が三男、2番が…」という機械的な情報しか入らないこともある。ケアマネジャーしか知り得ない情報に病院の情報を足してこそ、情報の密度は高まりますし、それこそが連携する意義だと思います。

一方で私たちMSW側も、「入院中はこういう動作ができていたけれど、ここに課題があるので、デイサービスではこういうことをお願いしたい」とか、「病状説明はここまではできていますが、この点については、ご自宅でのサポートをお願いしたい」といったように、入院中の患者さんの様子をより詳しく伝える必要があると感じています。

―互いに問題があるということでしょうか。

そうです。ポイントの一つは外来にあると思います。例えば、Aさんの件で病院を訪れたとしたら、ケアマネジャーの方から「先日退院したBさんはどうですか?」と、MSWに聞いてほしい。逆にMSWは、「この間退院したCさんはどうですか?」「そちらの居宅に今空きはありますか?」と、ケアマネジャーに尋ねる。こうした小さな会話の積み重ねが、互いの加算の算定にもつながるでしょう。

それから、介護報酬の加算を取るのであれば、そのことを病院側に伝えるべきだと思います。例えば、「今回は『入院時情報連携加算(I)』の件で、こういった情報を伝えに来た」といったように。

退院時のカンファレンスの要件は、介護報酬と診療報酬とで異なるので、折角カンファレンスに参加しても、「あの職種がいないと算定できない」といったことも起こり得るでしょう。でも、病院側はそのことが分からない。ケアマネジャーから言った方が、お互いのためになると思います。さらに言えば、そう言えるだけの関係性を日頃から築いておくべきです。

■カンファで仮のプラン準備を

―MSWにとって、どのようなケアマネが連携しやすいのでしょうか。

病院にケアプランを持ってくる方に、「どのサービスに力を入れているのですか?」と尋ねることがあります。ご利用者の生活や介護が必要になるまでの経緯、つまり、サービスを導入する背景を理解している方とは、本当に連携しやすい。お風呂に入れないからデイサービス、ではなく、将来の希望を含め、ご利用者の人生と向き合っている方とは、お付き合いしやすいと感じています。

カンファレンスについても思うことがあります。仮のケアプランで構わないので、事前にサービス内容や週間スケジュールをまとめたものを用意していただいた方がスムーズだと思います。皆さん、お忙しい中で集まるので、重要なポイントに絞って話す方が、互いの連携も円滑に進むと感じています。

■ケアマネの名前は知られていない

実は、担当のケアマネジャーの名前をご存じない患者さんが結構います。入院時に、「担当のケアマネさんは誰ですか?」と必ず尋ねるのですが、「男の人なんだけど…名前を忘れた」とか、名前が出たと思ったら、デイサービスの相談員だったこともありました。ケアマネジャーの方が思っているほど、患者さんは名前を覚えていないのです。

入院する際、介護保険被保険者証を持参しない方もいます。ケアマネジャーに「入院したら必ず連絡をください」と言われても、患者さんが名前や連絡先を知らないのでは、手の打ちようがありません。また、ケアマネジャーの方から電話で「●●さん、そちらに入院していますか?」と尋ねられることもありますが、面識がない場合、個人情報の保護を優先すれば、お伝えできないのが実情です。

北海道医療ソーシャルワーカー協会が2016年度に行った「退院時連絡率調査」では、患者さんが退院したことを担当のケアマネジャーに連絡していないケースが、全体の3割に上ることが分かりました。これは、患者さんがケアマネジャーの名前を知らないことも関係しているでしょう。今後さらに連携を進めるためには、担当のケアマネジャーの名前や連絡先について、医療機関側が把握できる仕組みをつくる必要があると思います。


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