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健康運動指導士インタビュー:尿失禁の悩みをケアマネさんに相談できれば…

介護現場では、生命維持に直接かかわらないからと軽視されがちな尿失禁の症状。しかし、かなり多くの女性が症状を持ち、悩みを抱え込んでいるという実態があるようです。

そこで今回は、横浜市南区の尿失禁予防講座「きゅきゅっと体操教室」講師で、かながわ健康財団所属の健康運動指導士の高垣茂子さんに、尿失禁の課題についてうかがい、ケアマネジャーとして何をしたらよいのか、何ができるのかアドバイスをいただきました。

誰でもなる可能性がある尿失禁

写真:健康運動指導士尿失禁については、ここ数年よく耳にするようになりました。私は厚生労働省が提唱する生活習慣病予防や改善、介護予防のための運動習慣の確立をめざした運動指導に、健康運動指導士として関わっています。運動指導は高齢者だけでなく、年齢・性別・体力に関係なく32年ほど前から行っています。

現在、神奈川県の市区町村などが主催する講座を年間200回ほど担当していますが、ここ数年、尿失禁予防の指導をすることも多くなりました。

講座の多くは介護や認知症講座の中の1コマとして尿失禁予防を取り上げています。
横浜市南区の「きゅきゅっと体操教室」は、尿失禁予防のみをテーマにした10回連続の講座で、6年前から運動を担当しています。使用するテキストなども、南区の保健師の方々と一緒に作成しています。おかげさまで毎年好評をいただいており、参加者も増加しています。

現在、全国的に尿失禁を経験されている方の割合は高く、NPO法人「快適な排尿を目指す全国ネットの会」が40歳以上の方に行った調査(*1)では、過去3カ月間に女性は54%、男性でも10%の方が尿失禁を経験していたそうです。また、東京都健康長寿医療センター研究所の調査(*2)では、2~3割の高齢者に尿失禁がみられ、1週間に1回以上という人が4割以上いたという報告もあります。

しかも、こうした方たちの大半が治療を受けることなく、気になりながらもやり過ごしているという現状があるようです。ですから私は、誰かに悩みを相談できたり、運動によって予防・改善できればいいと思い、ウォーキング教室や認知症予防教室など、違うテーマの講座の中でも尿失禁について触れるようにしています。

尿失禁予防の運動には手足の動きも重要

「きゅきゅっと体操教室」では、からだの仕組みや尿失禁が起きる原因など理論的なことを専門の先生に伝えていただいた上で、実際にどうやったら予防できるかの体操を私が指導しています。

尿失禁予防には骨盤底筋を鍛えることが何より効果がありますが、骨盤底筋は手足の筋肉と違って自分で触ったことがない人がほとんどですし、デリケートな部分なので、鍛え方がわからない人も多いようです。

写真:人気講座「きゅきゅっと体操教室」そこで私は、無理なく鍛えられるように、椅子に座って小さなボールを肛門部分に当て、肛門で骨盤底筋を感じていただいたり、座る生活が多い人には、股関節の柔軟性の向上や脚腰の筋力向上により、歩く際に筋肉を意識できるようにするなど、効果が実感できるよう工夫しています。

また、トレーニングでは「ももに力を入れて、おならをがまんする」など、イメージしやすい言葉を使って指導するようにしています。

私の場合は、こうした運動だけにとどめません。
そもそも、排尿という行為は、トイレまで歩いて行って、ズボンや下着を下ろしてトイレに腰かけ、用を足したら拭いて、立ち上がって下着やズボンを上げて、水を流して元の場所に戻る、といった一連の動作の積み重ねです。つまり、それらすべてをスムーズに行う必要があると考え、私が行っている尿失禁予防講座では、骨盤底筋だけでなく手や足を鍛える運動や、ストレッチも取り入れています。

軽失禁パッドの実演は人気

この講座では、メーカーの協力により、軽失禁パッドの使い方の講習プログラムも毎回設けています。女性用、男性用など、いろいろな製品を紹介したり、尿を吸収する仕組みがひと目でわかる実験や、生理用品との違いなども実物で試しながら解説しています。

実は尿失禁のある方の中には、軽失禁パッドではなく、生理用品で代用しているという方も結構いらっしゃるようです。でも実際には、生理用品は経血の吸収には優れていても尿は吸収されにくいのです。

一方、軽失禁パッドは瞬時に水分を吸収し、濡れても表面はサラッとして、消臭効果があるものもあります。しかも漏れない形状で使い心地も優れています。軽失禁パッドについて説明する回では、そうしたことを実物に触れながら実感できるので、みなさんとても納得されているようです。

写真:健康運動指導士軽失禁パッドの使い方講習では、試供品がいただけるのもありがたいですね。実際にふだんの生活の中で使ってみて、自分に合っているかどうかを気軽に試せるのはうれしいことだと思います。これまでの習慣から生理用品で代用していた人も、知識が得られれば、軽失禁パッドなら長時間の外出や旅行中でも安心だとわかっていただけるので、より快適に暮らせると思います。

尿失禁は体操で改善される方もいらっしゃいますが、薬や手術をしても、完全には症状が改善されない方もおられます。また、年を重ねるに従って悪化する場合もあります。そうした方は、上手に軽失禁パッドと付き合ってほしいので、排泄ケア用品の知識を持っていることは大事ですね。

それに、ふだんは必要なくても、「いざというときのお守り代わりに、いつもかばんに忍ばせているの」と、安心グッズとして利用されている方もおられます。

尿失禁はとてもデリケートな問題

私が尿失禁に関心を持つようになったきっかけは、自分自身の体験からです。33歳で2人目の子を出産したときに、お風呂に入ると膣にお湯が入るほど膣の筋肉が緩んでしまったのです。これではまずいと、自分で工夫して膣の筋肉を鍛える体操をして改善することができました。

私自身は、尿失禁しても下着を取り替えればいいやと楽天的に考えていたのですが、いろいろ勉強しているうちに、尿失禁を抱える多くの方が、気持ちまで暗くなったり、失禁をおそれて外出を控えたり、誰にも相談できずに悶々としているということを知り、少しでも役に立ちたいという気持ちを持つようになりました。

写真:講座が楽しい場になるように工夫しています実際、講座を受けに来る方の中にも、漏らしてしまうのではないかと講座中に何回もトイレに行く方や、無表情でニコリともしない方もおられました。そういう方の心がほぐれればと、できるだけ声をかけたり、みんなでゲーム感覚で楽しめるプログラムを取り入れるなど、講座が楽しい場になるように工夫しています。

そうした成果が現れたのか、ずっと無表情でうつむき加減だった方が、回を追うごとに表情が豊かになり、ご主人からも「妻が明るくなった」と感謝の声が寄せられることもありました。そんなときは、少しはお役に立てたのかなと、うれしくなりますね。

悩んでおられる方は、自信をなくされていることも多いので、プログラムの中に、敢えて尿失禁ではタブーとされている腹圧をかける運動をして、漏れてしまっても気にしない、楽しいとそんなことは気にならないといった気持ちになるような場面も作っています。その運動では、みなさん本当に楽しそうで、こちらまでウキウキするほどです。

講座を終えてからも、運動は続けた方がいいようです。運動をサボったら症状が戻ってしまったという方もおられます。一人ではなかなか続けられないということもあり、南区の講座では、終了しても月2回、これまでの参加者による体操グループがあるため、多くの方が運動を継続できるのもうれしいですね。

ケアマネジャーさんの役割に大きな期待を

写真:健康運動指導士介護現場では、なかなか尿失禁へのケアまで手が回らないとお聞きしています。確かに、ケアマネジャーやヘルパーさんは、日々のお仕事で大変だと思いますが、尿失禁はご本人にとってはかなり大きな問題。しかもデリケートな悩みなので、人に話せず悶々としている場合も多いのではないでしょうか。

尿失禁はなかなか相談しにくい悩みだからこそ、高齢者ご本人の生活全般にわたって状況を把握されているケアマネジャーさんなら、心を開いて相談しやすいのではないかと思います。

介護認定調査などで、うつ症状、外出したがらない、歩行困難、認知症傾向などが見られる方は、尿失禁の悩みを抱えている可能性があると思います。ご自分からは言い出せませんから、ケアマネジャーさんから「最近、外出して困ったことはありませんか? トイレの場所など気になりませんか?」と、さりげなく質問してさしあげると、「トイレがない場所は不安で……」「トイレがないから、長く電車やバスに乗りたくない」といった悩みがポロッと出てくるかもしれません。

そうしたときに、運動などで予防できる方法があることや、どんな症状なら病院にかかった方がよいのか、軽失禁パッドなど便利な製品があることなどを、ケアマネジャーさんから伝えていただけたら、とても安心できると思います。

写真:健康運動指導士ですから私は、ケアマネジャーさんには、介護保険サービスの充実とともに、ご本人の生活をよりよいものにするために、排泄ケアや尿失禁についても基本的な知識を持っていただけたらうれしく思います。尿失禁の悩みを受け止め、適切な方法を教えてくださるケアマネジャーさんが一人でも増えることを願っています。

参考

*1…快適な排尿を目指す年国ネットの会

40歳以上の地域住民の無作為抽出調査で、過去3カ月間で女性の53.7%、男性の10.5%に尿失禁が認められました。しかし、尿失禁と認められた人の3%の人しか医師の治療を受けていないことがわかっています。また、日本排尿機能学会の疫学調査によると、40歳以上の日本人の中で、月に1回以上の尿失禁の経験がある人は2,100万人、そのうち切迫性尿失禁の経験者は560万人、腹圧性尿失禁の経験者は860万人と推定されています。

*2…尿失禁を予防するための2種類の運動――老年学講座レポート1

「尿失禁」について失敗することがあるかの問いでは、2~3割の高齢者に尿失禁がみられ、1週間に1回以上という人が4割以上いた。

尿失禁を予防するための2種類の運動として、吉田氏は「骨盤底筋体操」を紹介した。1つは“膣や尿道を2~3秒”短くぎゅっと締めてゆるめ、もう1つは“肛門・尿道を6~8秒締めた後に10秒くらいゆるめる運動で、1日50回前後が目安とされた。


骨盤底筋体操




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