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排泄ケアの専門家インタビュー-冬の乾燥対策-

加齢に伴い、皮膚が弱くなっている高齢者にとって、空気が乾燥する冬は肌トラブルのリスクが高くなる時期です。皮膚の角質から水分が奪われ、乾燥肌が進みやすくなるほか、発汗が減ることで尿量が増え、おむつの中がむれやすくなることも肌へのダメージに。さまざまな炎症を引き起こすこともあります。この時期、肌トラブルに備えることは、長きに渡って高齢者の健康を守ることになります。「冬場の肌トラブルの予防と対策」について、排泄ケアの専門家で、日本コンチネンス協会会長の西村かおる先生に伺いました。

西村かおる先生
(NPO法人 日本コンチネンス協会会長)

東京衛生病院に看護師として勤務後、イギリスで失禁看護を学ぶ。帰国後「コンチネンスセンター(排泄ケア情報センター)」を開設。現在、日本コンネンス協会会長。『患者さんと介護家族のための心地よい排泄ケア』(岩波書店)など著書多数。日本コンチネンス協会は1993年設立、2009年より特定非営利活動法人(NPO法人)。排泄に関する悩みや課題を持つ人への情報提供や支援、医療職や介護職へのアドバイスを行う。毎週日曜と木曜に電話相談「排泄の困りごと110番」を実施。

皮膚のバリア機能が低下する高齢者は、冬の肌トラブルのリスクが高くなる 

高齢者の皮膚は保湿力がなく、乾燥しやすいという特徴があります。皮膚が乾燥するとさまざまな刺激から体を守るバリア機能が低下してしまうため、肌トラブルが起こりやすくなります。とくに空気が乾燥する冬場は、皮膚の角質層の水分が失われることでバリア機能が低下しますから、注意が必要です。

肌トラブルは、主に化学的刺激や物理的刺激によって起こります。排泄物が皮膚につくのは化学的刺激のひとつで、モレたものをそのままにして化学的な変化が起きたり、雑菌が繁殖したりすることで、皮膚にダメージをもたらします。
物理的刺激は、こすったり、つかんだりする皮膚への圧迫ですが、着衣の際にきつく締める、寝具がよれて皮膚に当たることも刺激になります。冬は寝具や服の枚数が増え、できたしわが皮膚に当たるなど、物理的刺激にさらされることが多くなると言えるでしょう。

また、浸軟(しんなん)といって、皮膚が水分にさらされてふやけてしまうと、皮膚が刺激を受けやすくなり、ダメージとなります。ぬれたおむつをつけたままにするのも浸軟の原因です。ニオイを感じにくくなる冬は、そうした状態を見逃さないよう、よく観察することが大切です。

冬ならではの注意点が、湯たんぽやカイロによる低温やけどです。低温やけどは、皮膚の深い層にまで達し、治療に時間を要しますが、皮膚が弱い高齢者にはとりわけ深刻です。肌に直接湯たんぽを当てないなど、正しい使用法を守りましょう。

不適切なおむつは肌トラブルの原因に定期的なアセスメントは必須

おむつをつけていると、むれによるかぶれや細菌への感染、テープやギャザーが皮膚に当たることでの刺激を受けやすく、ぬれた状態にさらされることで浸軟が起きるおそれも常にあります。不適切な使用がすぐに肌トラブルにつながることを知っておきましょう。

おむつによる肌トラブルを防ぐには、尿量に合ったおむつやパッドを選び、正しく使うことが前提となります。汗をあまりかかない冬は尿の量が増え、排尿の回数も増加しがちなため、夏と同じおむつ使用方法では対応できず、モレを起こしがちです。冬場は尿量を測り直し、適したおむつを選ぶことが求められます。加えて、肌にやさしいタイプのおしりふきなどでしっかりケアすることも大切です。天然素材のものやノンアルコールのものがオススメです。また、尿量は、血圧や食事量や内容などの変化によっても変わってきます。体の状態の変化を見逃さないよう、定期的にアセスメントしましょう。

「おむついじり」も、おむつのサイズやあて方が合わず、皮膚への刺激となっていることのサインですから、適切なおむつを使うことで対策できます。また、皮膚が乾燥して刺激に弱くなっている冬は、テープなどで圧迫されていないかを今一度チェックしましょう。

石けんやこする行為は肌への刺激に皮膚保護剤の活用で予防する

石けんや洗浄料は皮膚への化学的刺激になると同時に、こすったり、何度も洗ったりすることで物理的刺激も与えることになります。石けんで洗いすぎることで皮膚のバリア機能が低下し、炎症を起こしたり、細菌が入ることで膀胱炎を起こしたりするケースは珍しくありません。乾燥しやすい冬は、洗浄にも一層の配慮をしたいものです。ぬるま湯洗いを基本にし、石けんや洗浄料を使う場合は弱酸性のものを選び、泡に汚れを吸収させるようにそっと洗い、洗浄後は十分に保湿しましょう。

モレが頻繁にある方には、皮膚保護剤の活用をおすすめします。弱酸性の皮膚保護剤は、皮膚への作用が穏やかで、排泄物が皮膚に触れないようガードすることで、洗浄による刺激を予防することができます。細菌の繁殖を抑える効果や保湿効果のあるものもあります。

リスクにつながるサインを知り、肌トラブルを早期に発見する

肌トラブルは、おむつ交換や衣類を脱ぎ着するときに、不快な反応を示したり、痛がったりしていないか、細かく観察することで発見できます。おむつをつけている場合は、シャーリング部分が当たる鼠蹊部や、テープが当たる腹部などを中心に、赤くなったり湿疹ができていたりしないか、よく観察しましょう。股関節が固い場合は観察しにくいものですが、時間をかけてていねいにチェックすることです。

麻痺があるなど動きがよくない人、栄養状態が悪い人は、肌トラブルのリスクも高まります。該当する方には、日頃から予防の観点でチェックすることが求められます。一般に高齢になると皮膚の層が薄くなりますが、皮膚が非常に弱くなっている場合は、肌に触れて少し力を入れたくらいで、鬱血を起こしたり、皮膚が切れたりすることがあります。おむつ交換時の刺激や寝具による圧迫にも影響を受けやすくなっているので、一層ていねいなケアが求められます。このような場合は、医師や看護師と連携をとりながら、刺激を最小限にするケアを考えていくことも必要でしょう。

低栄養でたんばく質が不足していたり貧血があったりすると、全身の免疫が低下し、皮膚も弱くなります。肌トラブルの予防・対策では、栄養状態の改善も欠かせません。食事の内容を確認し、栄養素に過不足がないかチェックしましょう。皮膚のバリア機能を高める亜鉛やビタミンB群は積極的に摂りたい栄養素です。栄養が不足しやすい寝たきりの人、経管栄養を導入している人は、栄養士や主治医と連携して対策を考えていきます。

排尿日誌のアドバイスやヘルパーとの連携を密にする

肌トラブルの兆候やご家族の訴えがあれば、どの箇所にどのようなトラブルがあるのか、おむつなら横モレがないかをアセスメントし、必要な対策をとります。細菌感染で陰部などに重度の炎症を起こしている場合は、おむつは使わず、一時的に留置カテーテルにすることも選択肢に入ります。

おむつが原因の肌トラブル対策には、排尿日誌(http://www.caremanagement.jp/kao/basic/basic-c03.html)が効果的です。可能であれば2時間おきにチェックし、残尿がないかも確認するよう、ご家族に働きかけましょう。身体介助を行うヘルパーと連携し、情報収集につとめることは欠かせません。また、在宅で一人暮らしをしている人はケアマネジャーが頼りですから、冬場はとくに肌トラブルに着目して話を聞きます。看護師や医師とも連携し、リスクを発見すると同時に減らしていくプラン作りを心掛けてください。

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