全国老人福祉施設協議会が3月9日・10日に開催した「社会保障プラチナセミナー」、1日目のゲスト講演者は、女性フォーラムにふさわしく、マナーや美容に関するトップクラスの著名人が登場。会場を埋め尽くす500人あまりの女性たちは、普段とは異なる世界の真髄を介護に生かすべく、熱心に聞き入っていた。

最初に登壇した千 宗守氏は、千利休から続く茶道の伝統を今に伝えている、茶道武者小路千家十四代家元。千利休は、当時の権力者に寵愛されながらも、侘びさびの世界を体言した粗末ともいえる四畳半の茶室で、全宇宙を見ていたという。そして茶室は、どんな権力者でも、一歩そこに入れば肩書きも年齢も関係なく精神を解放させることのできる癒しの空間であり、介護も人を癒す大切な仕事だと語った。
自ら両親を介護した経験もある千氏は、「茶の湯などの文化は、無駄なことの積み重ね。それがなくなっても日本が滅びるわけではありませんが、何気なく聴いて、身につけたものが、ふと何かの折に人生に役立ったり、助けてもらうことがある。いわば保険のようなものでございます」と、介護保険と茶の湯の意外な共通点を見つけてみせて、笑いを誘った。
続いて、「美肌への扉」と題して、ビューティディレクターの佐伯チズ氏が登場。どんな仕事であっても、女性はきれいになる努力を怠ってはいけないと語り、「でもそれは高額な化粧品やエステによってきれいになることではなく、きれいの元は食べること」とし、食事の重要性と、毎日水を大量に飲み、塩分を控えることが美肌の秘訣だと語った。

佐伯氏は「女学生の頃オードリー・ヘップバーンや中原淳一の描く少女にあこがれて、それまでやっていたスポーツを一切止め、肌を陽にさらすのをやめた。おかげでいまでも顔はファンデーションを塗らずにポイントメイクだけ。セルライトはよく動くことで全身に散らし、姿勢をよくするために高いヒールの靴を愛用。ウエストはずっと変わらず60センチ」と、60歳を過ぎているとは思えない肌とスリムな体型の裏の努力を披露した。
また、日本人女性の多くは「敏感肌ですね」といわれることを喜ぶが、「化粧している人が敏感肌のはずがなく、単に高い化粧品をたくさん買ってもらうためのセールストーク」だとし、化粧品は「肌の食事」であり、日本人の肌は皆、過食症だとした。
エステティックとは本来は手を使ったケアのことで、佐伯氏のサロンでは、化粧品を売ったり機械を使うことはなく、手技だけで人を癒すという。
そして、人にじかにふれあうケアだからこそ、言葉遣いやマナーが大切で、毎日同じ作業の繰り返しのなかでは「どんなに丁寧な言葉遣いでも心がこもっていないとすぐわかるもの」と、気持ちを込めたサービスをモットーとし、それは介護も同じではないかと結んだ。
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