厚労省は7月18日、第7回介護労働者の確保・定着等に関する研究会を開催し、4月から7回にわたって検討された人材確保案を取りまとめた中間報告案を提示した。焦点となる介護報酬改定についての具体的な引き上げ額は、業界ヒアリングによる低賃金の課題を列記しながらも、現状を考慮した検討の要望のみにとどまり記載されなかった。厚労省は、中間報告書内容を月内に公開する予定。

【介護労働者の現状と課題】
◎介護サービスの特徴
●「訪問系」では効率性、生産性の観点から利用者宅までの移動距離を短くする必要がある。
●「施設系」では利用者と家族とのつながりの観点から、需要のあるところでサービスを提供する地域密着型の産業といえる。
◎介護労働者の特徴と就業意識
●構成の特微は「非正社員」が介護労働者全体で約5割、訪問介護員は約8割を占めることが挙げられる。
●介護サービス別では、訪問系では主婦層を中心に短時間労働者が多く、正社員は26.9%。夜勤業務が不可欠な施設系(入所型)は正社員は64.2%。主婦パート層を中心とした訪問介護と正社員層を中心とした施設介護ではその属性が大きく異なる。
◎常用労働者の賃金動向
●福祉施設介護員男性の所定内給与額は、全産業の平均と比べ、約12万円、女性は約3万円の差がある。訪問介護員についても同様で、常勤の介護労働者は男女とも低い水準にある。
●ヒアリングによると、「民間企業のケアマネジャーの年収約350万円では家族を養えない」との指摘があった。
◎離職率の動向
●「訪問系」では非正社員の離職率は他の産業と比べても低いが、正社員は、事務作業や利用者対応に追われるなど負担が大きく、離職率18.2%と全産業平均16.2%より高い。
●「施設系」介護職員の離職率25.3%は、全産業平均16.2%に比べて高く、特に勤続1年未満の離職は43.9%にのぼり、訪問介護員に比べ施設系介護職員の早期離職が進んでいる。
●ヒアリングによると、下記1〜4のような状況をみている非正社員は、将来的には介護労働をやっていきたい、と考えていながらも、正社員への道を進もうとしないとの指摘があった。1.訪問系のサービス提供責任者になった場合、シフト管理の事務的業務を行いながらも、時間帯によっては登録ヘルパー不足によるサービス提供の穴うめをするため、サービス提供責任者自身も訪問介護サービスも行わざるを得ない。その結果として恒常的に残業が発生する。
2.訪問系サービスでは、早朝と夕方の食事時間帯に需要が集中する一方、登録へルパーのシフト面や人材確保の問題から、正社員に負担が集中する。
3.施設系は、一般的には非正社員に夜勤は好まれないとされている中で、正社員に負担が集中する。
4.訪問系・施設系共通であるが、非正社員に好まれない土日や祭日に、負担が正社員に集中する。◎雇用管理の動向
●事業所における人材育成の取組みとして「自治体や業界団体が主催する教育・研修に積極的に参加させている」が52.6%と最も高いが、「能力向上が認められた者は配置や処遇に反映している」とする事業所は27.7%と
約7割の事業所は能力向上が認められた場合でも処遇等に反映されていない。●早期離職防止や定着促進のための方策では、「職場内の仕事上のコミュニケーションの円滑化を図っている」が60.1%で最も高いものの、「能力や仕事ぶりを評価し、配置や処遇に反映する」は33.2%であり、
約3分の2の事業所が能力や仕事ぶりが処遇に反映されていない。【今後の介護労働対策の方向性】
◎介護報酬の考え方
ヒアリングの結果、
「約4割が経営難により労働条件、福利環境の改善が困難、介護報酬が低すぎるために能力・資格や貢献に応じた賃金管理ができない」「2度にわたる介護報酬のマイナス改定で経営に深刻な状況を与え、賃金を上げられなくなった結果、職員の流失を招き、新規採用もできない」との指摘があった。このように現状の賃金などの労働条件に様々な課題があり、今後の介護報酬の改定では、いかにして安定的に人材を確保し、専門職としての処遇、その能力向上をはかるかという観点を考慮して、検討がなされることを望みたい。
◎介護労働者が安心・安全・働きやすい、労働環境の整備
●介護サービスは、
「訪問系」では基本的に1対1での介護サービスを行うことや、利用者に適切な介護が行えているのかという不安があり、「施設系」では夜勤時に何が起こるかという不安があることなど、様々な精神的負担や、重労働による腰痛等の身体的負担、事務的業務への負担も大きくなっている。●ヒアリングでは、悩みや不安・不満について、介護事業主と介護労働者とのコミュニケーションの充実は介護労働者の定着に大きな効果があるとの指摘があった。
◎介護労働者の確保、マッチングなど
●ハローワーク、福祉人材センター、業界団体、教育機関などと連携し、事業者がインターンシップの実習生を積極的に受け入れる。●介護業界は、介護労働者の厳しい労働条件、人手不足、孤独死や虐待、コムスン問題などマイナスイメージが先行しているが、国民に介護保険制度を正しく理解されるよう努めるとともに、社会的評価の向上のため、
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