知っておきたい高齢者の食事講座

vol.3 名古屋市
「なごや介護予防・認知症予防プログラム」で
要介護予備軍の健康の維持改善を推進

栄養についてのプログラムは全12回中3回実施

栄養に関しては、全12回のプログラムのうち3回を充てて、低栄養の予防や、便秘、脱水を防ぐ工夫などについて伝えています。マニュアルに掲載している資料はデジタルデータも用意し、パソコンでダウンロードして配布できるようにしました。プログラムには調理実習も組み込み、ここで減塩の工夫や献立の立て方のポイントなども伝えます。

プログラム開始3ヶ月後、6ヶ月後には、認知機能や栄養状態、運動機能等の評価を行います。評価シートについても、デジタルデータのフォーマットを用意しました。パソコンで数値を入力すると、利用者ごとのレーダーチャート(※2)を作成でき、プログラム参加の成果が一目でわかるわけです。このように、プログラムとしては、かなり申し分のないものを作れたと考えています。実際、利用者アンケートでも、「満足した」「ほぼ満足した」を合わせると、約8割に達しています。

一方で、自分自身で、体の状態が改善したと感じているかを尋ねた質問では、「感じている」と答えたのは約16%。「どちらとも言えない」が36%でした。残念ながら決して高い数値ではありませんでした。しかし一方で、サービスを利用してから生活に変化があるかを尋ねると、6割強が「変化があった」という回答。サービスを利用し始めてから、栄養バランスを考えて食事を摂るようになったり、家でも運動をするようになったり、地域の集まりに参加するようになったり。プログラムは、活動的になるきっかけとなっているとも言えます。

レーダーチャート(サンプル)
(※2)レーダーチャート(サンプル)

「ミニデイ型」の利用拡大にケアマネジャーにも力を貸してほしい

課題は、これからプログラムをいかに多くの住民に取り組んでもらうかです。「ミニデイ型」の指定事業所数は、2017年8月現在で75事業所。利用者数は月平均132人です。これは残念ながら、当初想定していた数を大幅に下回っています。事業所側からすると、「ミニデイ型」は2016年6月からスタートした新しいサービスであるため、サービス内容が充分ご理解いただけていなかったのではないかと思います。

どちらを利用するかの相談支援は、主に市内29箇所あるいきいき支援センター(地域包括支援センター)が対応します。さらに、センターを補完するブランチ型の総合相談窓口という位置づけで、276箇所の「高齢者いきいき相談室」も設置しています(2017年4月現在)。相談室は、主任ケアマネジャーがいる居宅介護支援事業所に一定の研修受講を条件に委託しており、一部の対象者のケアマネジメントをお願いしているわけです。

「予防専門型」の利用については、市として一定の基準を示しています。しかし、開始後、いきいき支援センターなど現場の方たちから「基準があいまいでわかりにくい」などの指摘をいただきました。利用することが望ましい方が各サービスに案内できていないではないかと考え、2017年5月から、より明確に判断できるよう基準を改めました。

その基準に基づき、相談支援の際には、ぜひケアマネジャーにも積極的に「ミニデイ型」を利用者に勧めてほしいですね。6ヶ月間の「ミニデイ型」利用で、心身の状態を改善していくこと。状態が改善し、元気になったら地域の高齢者サロンに行ったり、自分自身でサロンを立ち上げたり、住民自ら地域で主体的に介護予防に取り組んでいただきたいこと。こうしたことまでは、なかなか利用者や事業者の理解が進んでいないのが現状です。名古屋市としては、高齢者サロン等からの求めに応じて理学療法士等のリハビリテーション専門職を派遣して運動の指導を行うなど、住民活動の支援も行っています。しかし、こうしたこともまだ住民に浸透していないのが実態です。

基準を明確化したことで、利用が広がる期待もあって、指定事業所数も少しずつ増えています。前述の通り、「ミニデイ型」の利用者の満足度は約8割です。利用が広がれば口コミ効果も期待でき、利用がさらに広がるものと考えています。ケアマネジャーには、総合事業への理解と利用の拡大、住民活動を支援する名古屋市の取り組みなどを伝えていくことに、さらに力を貸してもらえればと思っています。

なごや介護予防・認知症予防プログラム…運動、栄養、口腔等についての実践と情報提供を組み合わせた介護予防・認知症予防プログラム。名古屋市が介護予防の専門家と独自開発した。2015年度にモデル事業を実施し、2016年度から総合事業に導入している。自宅でできる運動、口腔のプログラムの動画も配信している。

データで見る名古屋市の高齢者

名古屋市の直近の総人口は、平成29年8月1日現在で約231万3000人。65歳以上の高齢者人口は、平成28年10月時点で約55万5000人、高齢化率は24.5%で、政令指定都市の中では中位にある。うち、65~74歳の前期高齢者が12.6%、75歳以上の後期高齢者が11.9%と、高齢者の半数近くが後期高齢者である。介護保険が始まった平成12年時点と平成26年時点の人口構成を比べると、約217万人だった総人口は約227万人に増加したが、高齢者数は約34万人が約53万人に。高齢化率は15.6%から23.7%と、人口増加をはるかに上回るペースで高齢化が進んでいる。16区の高齢化率を見てみると、平成26年時点で約20%の名東区から27%の北区まで、区によってばらつきが大きい。要介護・要支援認定者数は、平成29年7月末時点で約10万4000人、第1号被保険者の要介護認定率は約18.5%。平成27年3月時点での全国平均約17.9%に近い水準となっている。
福田 嘉彦氏

福田 嘉彦氏

名古屋市健康福祉局高齢福祉部地域ケア推進課主査

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