知っておきたい高齢者の食事講座

vol.1 高齢者にとって望ましい食事とは何か?

この講座では、「食べること」の意義をケアマネジャーの方々にもっと知ってもらうため、高齢者の食事について深く掘り下げて解説します。
第1回目は、「そもそも高齢者にとって望ましい食事とは?」という視点から、人間総合科学大学教授の熊谷先生にお話を伺いました。ここでは、まず基本となる高齢者の食事の捉え方についてご紹介します。

高齢者に「粗食」はNG

栄養管理は、年齢にかかわらず、またどのような健康状態であっても、手立ての基本は同じです。要介護状態にある高齢者であっても、もちろんそれは同じです。
ところが実際には、その基本的な考えがきちんと理解されないまま、場当たり的な対応が行われているのが実情です。

「高齢者には粗食がよい」という考えを持つ人は少なくありません。病院で行われる、生活習慣病をはじめとする病気に対応した抑制的な食事をとっていれば、生涯を健康に過ごせるという思い込みがもとになっているようです。
しかしこの考えは誤りです。なぜなら、高齢者の方々というのは、病気を乗り越え、あるいは共生できるレベルにコントロールできたために高齢期を過ごせているのであり、それ以前に大きな病気にかかった人はそのダメージにより多くが高齢期を迎えられないからです。
つまり、高齢期を迎えた人に、病気のみに着目した食事を当てはめることは適切ではないのです。まして、人は高齢になるほど様々な病気にかかります。そこで個別の病気をコントロールする食事ではなく、様々な病気にも対応できる食事が必要になるのです。
高齢者に適した、様々な病気に対応できる食事とは「老化を遅らせるための食事」です。
老化は、骨と筋肉が衰えることです。骨と筋肉は、主にたんぱく質で構成されており、骨と筋肉の衰えは、からだのたんぱく質が失われることを意味しています。「老化」という変化そのものが、身体の栄養状態が低下していく変化と理解しなければなりません。粗食になってはならないのは自明の理なのです。

栄養状態の低下は“お尻”で見極める

栄養状態が不良になると、まず現れるのが貧血です。高齢者の貧血は軽く見てしまいがちですが、70歳以上では約5人に1人が貧血の疑いがあります。
貧血が起こると、歩行障害や引きこもり、食欲不振、特に高齢者では短期記憶の障害にもつながるため、予防と改善は非常に重要です。
お尻が“ハリ”がなくなり、太ももが細くなっていたら、貧血を疑い、食生活を見直してみてください。

より高い水準の栄養状態を目指す

栄養状態の低下を判断する指標として、医療機関では、血清アルブミン値3.5~3.8g/dl以下を改善対象と判断します。しかし実際に高齢者のアルブミン値がその程度まで低下すると、回復が困難になります。
アルブミン値が医療機関の基準以下にならないことを目指すのではなく、より高いレベルを目指すという、発想の転換が必要です。
したがって、私は、高齢者の血清アルブミン値は3.5~3.8g/dlではなく、多くの先行研究成果に基づき4.3g/dl以上に維持することが科学的に妥当と考えています。たんぱく質の摂取量は、男性70~75g、女性60~65g(国の推奨量は男性60g、女性50g)を目安とすることを勧めています。

熊谷 修 先生

熊谷 修 先生

人間総合科学大学教授。学術博士。
1979年、東京農業大学を卒業。地域住民の生活習慣病予防対策の研究・実践活動を経て、高齢社会の健康施策の開発のため東京都老人総合研究所(現・東京都健康長寿医療センター研究所)へ。わが国初の「老化を遅らせる食生活指針」を発表し、シニアの栄養改善の科学的意義を解明。介護予防のための栄養改善プログラムの第一人者。

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