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夏期集中講座 20年度診療報酬改定のポイント夏期集中講座 20年度診療報酬改定のポイント

「連携しにくい事業所」の“烙印”を押されないために

2020/08/28 配信

地域包括ケアシステムの整備を前提として、「地域で暮らし続けること」が一つのキーワードとなる中、2012年度の介護報酬との同時改定以降、診療報酬では、入退院支援の取り組みが充実してきている。特に近年は、医療と介護の連携を評価する加算の算定要件がより具体的になった。改定で導入された仕組みが現場で着実に動くよう、医療機関側にインセンティブを与えているのだ。

2020年度の診療報酬改定においても、▽より早期からの退院支援の取り組み▽医療と介護の連携の仕組みづくり(ICTの活用)―の2点が強化された。

利用者情報を医療連携室に伝えよう!

要介護認定を受けている高齢の入院患者の中には、検査や手術、専門的な治療などが目的のため、入院前に少し時間が空く「予定入院」の方もいる。

2018年度の診療報酬改定で創設された「入院時支援加算」では、入院前の外来診療で、下記の表のアセスメント項目(身体状態、認知度、栄養状態、服薬内容、家族背景、住まいの状況など)をチェックする仕組みが新設された。この項目の中には、介護サービスの利用状況の把握や入院中の治療内容の説明も含まれている。

夏期集中講座 20年度診療報酬改定のポイント

2020年度の診療報酬改定では、より早期の退院を促すという目的で、表の全ての項目に取り組んだ場合の評価が新設された。

全ての項目を実施しようとすると、入院前に「退院困難な要件の有無の評価」を行う必要があり、次の「退院困難な要因」を確認しなければならない。

<退院困難な要因>
ア 悪性腫瘍、認知症又は誤嚥性肺炎等の急性呼吸器感染症のいずれか
イ 緊急入院
ウ 要介護認定が未申請
エ 家族又は同居者から虐待(疑い含む)
オ 生活困窮者
カ 入院前に比べADLが低下し、退院後の生活様式の再編が必要
キ 排泄に介助を要する
ク 同居者の有無に関わらず、必要な養育又は介護を十分に提供できる状況にない
ケ 退院後に医療処置が必要
コ 入退院を繰り返している
サ その他患者の状況から判断してアからコまでに準ずると認められる場合

エ~クは、本人や家族も答えにくい内容が多く、担当する居宅介護支援事業所のケアマネジャー(以下、居宅ケアマネ)が、最も把握している可能性が高いと言える。

「予定入院」の利用者を担当する居宅ケアマネが、病院の医療連携室に対して、▽「退院困難な要因」のどれに該当するのか▽身体的・社会的・精神的背景を含めた情報(表のア)▽利用している介護・福祉サービス(表のイ)―を事前に伝えておけば、病院側は算定要件を満たしやすくなるだろう。

2018年度の介護報酬改定に伴い、居宅介護支援の「入院時情報連携加算(Ⅰ)」は、ケアマネ側が入院前に情報を提供した場合も算定可能となり、電子メールやFAXによる提供も認められるようになった。今回の診療報酬の見直しは、介護報酬と連動する形で行われたと言える。

こうした流れは、介護報酬だけを見ていてもつかめない。診療報酬の知識があって初めて、病院と居宅ケアマネ双方がメリットを感じられる連携となり、確固とした信頼関係が生まれるのだと思う。少し難しいかもしれないが、連携に関する診療報酬の知識は、居宅ケアマネも得ておいた方が良いだろう。

「ICTカンファ可能」とPRするのも一案

退院支援における病院と居宅ケアマネの連携の評価として、診療報酬では「介護支援等連携指導料」と「退院時共同指導料2」(注3)、介護報酬では「退院・退所加算」がある。

しかし、ケアマネが病院の退院時カンファレンスに出席するためには、往復の移動時間や車両の確保などが必要となり、積極的に参加することが難しいのが現状だ。病院側からすると、「ケアマネが来てくれないから算定できない」となってしまうため、その居宅介護支援事業所は、「連携しにくい事業所」の“烙印”を押されてしまう。

そこで、2020年度の診療報酬改定では、ICT(情報通信技術)を活用したカンファレンスでも、病院側が算定できるようになった。「退院・退所加算」の算定要件には、ICTのカンファレンスに関する記載はないが、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、厚生労働省は、訪問以外の方法(電話やFAXなど)でも、この加算を算定できるとする見解を通知で示している。

居宅ケアマネ側にとっては、加算の算定につながる嬉しい話だが、病院側は、電話やFAXでケアマネとやり取りをしても、診療報酬の算定が認められず、ICTによるカンファレンスを開く必要がある。居宅ケアマネからは「病院からICTカンファレンスの案内が来ない」との声も聞こえるが、一方の病院側は「ICTでケアマネは対応してくれるだろうか?」と不安を感じているようだ。

居宅ケアマネ側も、情報を伝えようとする姿勢を病院に見せることが大切だ。例えば、「●●居宅介護支援事業所は、ICTカンファレンス(zoom、team、Skypeなど)に対応可能です」など、事業所をPRしてみてはどうだろう?

酒井麻由美(さかい・まゆみ)

酒井麻由美(さかい・まゆみ)
株式会社リンクアップラボ代表取締役。急性期病院の医事課、医療・介護専門コンサルティング会社を経て、2018年12月にリンクアップラボ設立。医師会や病院団体、社会福祉協議会などで、年間100件以上のセミナー講師を務めるほか、「月刊保険診療」(医学通信社)や「デイの経営と運営」(QOLサービス)ほか、医療・介護経営雑誌で執筆多数。日本医業経営コンサルタント協会の認定コンサルタント(運営)。

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