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小濱道博の介護経営よもやま話 小濱道博の介護経営よもやま話

VOL.2ケアマネの処遇改善は実現するのか?

2019/10/31 配信

「ケアマネジャーへの処遇改善」という言葉で、一気に目が覚めた方も多いのではないだろうか。居宅介護支援は、処遇改善加算等で蚊帳の外に置かれた感が強かったので、なおのことであろう。今、社会保障審議会介護保険部会において、2021年の介護保険法改正の審議が終盤を迎えている。来年6月ごろまでには、国会で改正法案が可決、成立する見通しだ。

現時点で、具体的な改正の方向性が見えているのが、居宅介護支援である。介護保険部会での論点の一つとして、居宅介護支援費への自己負担の導入が挙がっていることは前回も述べたが、その後、10月9日の審議において、新たに3つの論点が浮上した。

(1)ケアマネへの処遇改善の実現

唐突に浮上した論点が、ケアマネへの処遇改善である。

今年10月から「介護職員等特定処遇改善加算」が導入されたが、居宅介護支援は、介護職員の配置がないことを理由に対象から外れた。

これに対して同年8月、日本介護支援専門員協会が、厚生労働省にケアマネの処遇改善を求めるとの報道があった。その理由として、「介護職員処遇改善加算」などの相次ぐ賃上げによって、介護福祉士の賃金がケアマネを上回る事態が起こっていること、そして、昨年度のケアマネ試験の受験者数が、前年度から6割減ったことへの危機感があるという。

古参ケアマネが引退、管理者要件が決定打

今、地域のケアマネが不足している。その要因の一つとして、介護保険制度の創成期に資格を取得したベテランケアマネが、およそ20年の歳月を経て、世代交代の時期を迎えつつあることが挙げられる。実際、古参のケアマネが引退し、後任の募集をしたものの、応募がほとんどないという地域が、東京都内でも出始めている。

引退を決意させたのが、後述する主任ケアマネの管理者要件だ。主任ケアマネは、資格を取得するにしても維持するにしても、長時間の研修の受講が義務付けられている。ところが、その時間を確保することが難しく、有資格者からも、「更新研修の受講を諦める」との声を聞くことが多い。特に小規模の居宅介護支援事業所にとってはハードルが高いと言える。

居宅介護支援の報酬体系を見ても、「特定事業所加算」を算定しない限り、収支は赤字になる。厚労省の「平成29年度介護事業経営実態調査」を見ると、居宅介護支援の収支差率はマイナス1.4%と、全サービスの中で唯一赤字となっている。この状況が長期間にわたって改善されない事実こそが、意図的に赤字の報酬体系にしている証とも言える。

居宅介護支援事業所の運営と維持には、ただでさえ多大な労力が求められる。そこに収益性の低さという厳しい現実がのしかかり、事業としての魅力がなくなっているのだ。これでは、ケアマネのなり手が減少し、ベテランが引退に追い込まれるのも無理もない。国が進める医療・介護連携には、医療の知識が不可欠だが、看護師など医療系の基礎資格を持つケアマネも減少しているという。

こうした中、厚労省は10月9日の介護保険部会において、「ケアマネジャーについて、処遇改善を図ることで質の高いケアマネジャーを安定的に確保する」との新たな論点を示した。

この情報を耳にして、処遇改善に期待するケアマネも多いと思う。しかしながら、ケアマネに新たな処遇改善加算が設けられ、賃金が一律にアップすると考えるのは早計である。

次ページ>>処遇改善、1人ケアマネ事業所はどうなる?

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小濱道博(こはま・みちひろ)

小濱道博(こはま・みちひろ)
小濱介護経営事務所代表。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。

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