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小濱道博の介護経営よもやま話 小濱道博の介護経営よもやま話

VOL.10“コロナ特例”でプラス改定は消えた?

2020/06/25 配信

新型コロナウイルスが猛威を振るう中、来年4月の介護報酬改定に向けた議論は着実に進んでいる。ケアマネジャーにとっては、処遇改善の動向が気になるところだろう。いわゆる“コロナ特例”で報酬が増えた格好となっているため、「プラス改定は期待できない」との見方も強いようだ。今回は一足早く、次期改定の行方を占ってみたい。

1.改正介護保険法など成立

今月5日の参院本会議で、改正介護保険法を含む「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律」が可決、成立した。今回の介護保険法改正は、国民負担に関連する項目の先送り報道もあり、介護業界内でもあまり関心が高いとは言えない状況ではある。

国会の審議では、介護施設の補足給付に関する質問が若干出ていたことが記憶に残っている。これは介護報酬に関連するので、法律そのものには盛り込まれていないが、昨年12月の社会保障審議会介護保険部会の意見書に明記されており、ほぼ確定事項として質疑が行われたのだ。

今回の見直しで、補足給付の「第3段階」は年収120万円で区切られ、120万円を超える場合は「第3段階②」となり、給付が月2万2000円減額となる見通しだ。ショートステイでも一日当たり650円少なくなる。また資産基準は、現行の預金残高1000万円以下から500万円以下に引き下げとなる見込みで、これが実現すれば、介護施設の経営にとっては打撃となる。

さらに、高額介護サービス費は医療保険と同様、自己負担の上限額が年収基準に変わる。現行では、市町村民税非課税世帯などを除いて一律4万4400円だが、今回の見直しに伴い、年収約770万円~約1160万円は9万3000円、年収約1160万以上は14万100円に引き上げとなる。これは、在宅サービスも影響を受けるだろう。

国は今回の法改正で、住民主体の通いの場の充実に力を入れており、訪問介護と通所介護の軽度者を総合事業へ移行するための布石となる可能性が高い。さらに、断らない相談支援の実現を目指した「重層的支援体制整備事業」のほか、「社会福祉連携推進法人」の創設も盛り込まれた。新たな法人体系は、国が進める介護事業の大規模化の一環でもある。

目立たないまでも、「2040年問題」の対策を念頭に置いた、将来につながる制度改正であることは間違いないだろう。

2.焦点は給付費分科会の審議へ

法律が成立したことで、今後の焦点は、社会保障審議会介護給付費分科会での審議に移る。今月1日の分科会で厚生労働省は、2021年度介護報酬改定に向けた当面の論点として、▽地域包括ケアシステムの推進▽自立支援・重度化防止の推進▽介護人材の確保・介護現場の革新▽制度の安定性・持続可能性の確保―の4つを示した。

今後、これらの論点について審議が行われ、通常は、秋口に始まる「2巡目」で方向性が固まる。そして、さらに審議が必要な項目については、11月下旬以降の「3巡目」で話し合うのが一般的だ。加えて、業界団体へのヒヤリングなども実施される。

例年であれば、12月に分科会としての意見書がまとまり、翌年1月に新たな単位数が答申される。その後、3月から4月にかけて、解釈通知やQ&Aなどが出る流れだ。今年はコロナ禍の影響もあり、意見書の取りまとめが年明けとなる可能性は捨てきれないが、遅くとも1月には意見書がまとまると思われる。

ここからは、先日の分科会で示された4つの論点について、それぞれ解説したい。

論点1.地域包括ケアシステムの推進

「地域包括ケアシステムの推進」では、医療と介護の連携が基本となる。「在宅限界」を高めるための在宅サービス等のあり方、介護保険施設での対応のあり方、高齢者向け住まいにおけるさらなる対応のあり方、人生の最終段階におけるケアのあり方、認知症への取り組みなどが議論のテーマになるだろう。介護老人保健施設の在宅復帰機能の強化や、高齢者住宅の“囲い込み対策”の行方も気になるところだ。

「在宅限界」とは、可能な限り在宅で過ごすことを言う。地域包括ケアシステムはもともと、介護施設や病院ではなく、可能な限り自宅で過ごすことを目的とした考え方だが、同時に、施設の役割や高齢者住宅のあり方も問われる。また、地域包括ケアシステムで重要な役割を担う訪問介護で、ヘルパーの高齢化や人材不足が危機的な状況になっており、こうした点についても議論されるだろう。

次ページ>>論点2.自立支援・重度化防止の推進

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小濱道博(こはま・みちひろ)

小濱道博(こはま・みちひろ)
小濱介護経営事務所代表。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。

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