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小濱道博の介護経営よもやま話 小濱道博の介護経営よもやま話

VOL.12デイの「特例報酬」は業界全体の問題だ

2020/08/31 配信

政府がコロナ対策で打ち出したデイサービスの「特例報酬」が物議を醸している。外出自粛の影響で通えない利用者に対して、事業所側が電話で安否確認を行っても介護報酬が算定できることに加え、月に4回まで、基本報酬の算定区分の2区分上の単位数を算定できるという内容だ。

安否確認の特例に躊躇する事業所

電話で安否確認をした場合、要介護1の利用者の自己負担額は1割負担で250円程度だが、利用者に負担を求めることを躊躇する事業所が多い。

では、この特例を活用している事業所はどの程度あるのだろうか―。実は、私の周りで活用しているという話はほとんど聞こえてこない。ただ安否確認するだけでは請求できず、一定の要件をクリアする必要がある上、ケアプランに位置付けられた日にしか算定できないことも影響しているだろう。

事業所の職員は、利用者に電話するたびに、健康状態、直近の食事の内容と時間、直近の入浴の有無と時間、当日の外出の有無と外出先、希望するサービスの提供内容や頻度などを確認した上で、それを記録に残す必要があるが、確認作業だけでも多くの時間を要する。

居宅に閉じこもっている利用者にとっては、なじみの介護職員と話すだけでも精神面への影響は非常に大きい。利用者の負担にとらわれるのではなく、その意味と効果を考えるべきだ。

「1年以上」想定した対策が必要

デイサービスは、地域密着型を含めると全国に約4万4000事業所あり、介護サービス事業所の中で最も多い。それだけに、コロナ禍の影響は最も深刻と言える。特に6月以降、多くの事業所の資金繰りが悪化している。これまで厚生労働省から90件以上もの膨大な通知が出ているが、デイサービスに関連する項目が多いのは必然だろう。

自治体からの営業自粛の要請を受け、定員の半分以下で運営を続けている事業所もある。このため、事業所の休業やサービスの縮小、外出自粛の影響などでサービスを受けることができない利用者に対しては、訪問サービスの併用も可能となっている。

職員が利用者の居宅を訪問し、清拭を含む入浴介助を行った場合は、デイサービスの介護報酬に入浴介助加算を算定できる。従来、訪問サービスを提供する介護職員は、初任者研修修了以上の資格が必要だったが、今回の特例措置では、過去に介護施設などで介護サービスを提供した実績があれば、無資格者も訪問サービスの提供が認められている。

全ての介護サービス事業者は、厚労省の通知の内容を理解し、適切なケアマネジメントを行う必要がある。コロナ問題は長期化の様相を呈しており、「第二波」の到来も予想されている。この状況が1年以上続くことを想定した感染症対策が求められるだろう。

2区分上の報酬算定に広がる誤解

2区分上の報酬の算定をめぐっては誤解も多い。特例措置に伴う区分支給限度額の変更がないため、上限額を超えて全額自己負担になる利用者が出ることへの懸念も広がっている。

しかし、特例を利用する場合は利用者の同意が必要となり、同意を得ることのできない場合は、従来の算定区分で請求することになる。上限を超える利用者が同意するとは考えにくく、全額自己負担の問題は現実的には起こらないだろう。

一方で、担当ケアマネジャーからの理解が得られないという話もよく聞く。反対の理由は、利用者に負担増を求めることになるからだ。ケアマネジャーの理解が得られないと、利用者から同意を得ることは難しくなるかもしれないが、全ての利用者が同意しないと考えるのは早計だ。

大手のデイサービスでは、比較的算定している事業所が多い半面、中小のデイサービスでは、算定を躊躇している事業所もあると聞く。事業所側が、コロナ禍での厳しい運営状況を説明することで、理解を示してくれる利用者も出てくるだろう。ただし、事業者側が算定の可否を決める行為は、不当値引きに当たるので注意が必要だ。

負担増を求める自信が無いのも問題

従来、こうした制度の最新情報は、セミナーなどを通じて提供されてきた。コロナ禍の影響で、ほとんどの地域でセミナーが開催されていないことも、誤った解釈を生む原因の一つとなっている。

「特例報酬」を算定できるかどうかは、デイサービスと利用者との信頼関係が大きく左右する。日頃から、満足度が高いサービスを提供している事業所は算定しやすいが、満足度が低ければ、利用者や家族に「また支払わされる」という印象を持たれ、抵抗感も強いだろう。

介護報酬は原則、どこの事業所を使っても、サービスの種類が同じであれば、支払う金額は一緒だ。利用者は、サービスへの満足度が高ければ安く感じ、低ければ割高に感じる。すなわち、介護報酬はサービスの内容を評価する「物差し」なのだ。

250円程度の自己負担を求める自信が無い事業所が多いことも問題だ。介護業界はいまだに、利用者に負担を求めることを良しとしない風潮が根強い半面、自分たちのサービスに自信を持てない事業者が多い現実もある。

介護サービスはボランティア活動ではなく、確固たる事業であり、その目的は収益の確保だ。それができなければ、事業としての存続はあり得ない。この点はケアマネジャーも同様だ。今回の「特例報酬」の問題を、介護業界全体で考えていく必要があるだろう。

小濱道博(こはま・みちひろ)

小濱道博(こはま・みちひろ)
小濱介護経営事務所代表。北海道札幌市出身。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手掛ける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C-MAS介護事業経営研究会・最高顧問、CS-SR一般社団法人医療介護経営研究会専務理事なども兼ねる。

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