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結城教授の深掘り!介護保険 結城教授の深掘り!介護保険

VOL.27深刻化するヤングケアラー問題、国とケアマネがやるべきことは

2020/09/10 配信

母子家庭や父子家庭では家事の担い手が少ない。その結果、中高生・高校生が家事や祖父母の介護などを担当しなければならない可能性が高くなる。

実際、ケアマネジメント・オンラインと毎日新聞の調査によれば、家事や家族の介護などに取り組むため、進学をあきらめたり、就職先が限定されたりするヤングケアラーが一定数いることも示されている。

ケアラー支援の理念を踏まえた介護保険制度を

こうしたヤングケアラーを支援するための方法としては、訪問介護の「生活援助」を活用することなどが考えられる。ただし、ケアマネなら誰でも知っていることだが、訪問介護の「生活援助」は、同居家族がいると、かなり利用しにくい。

こうした状況を打破するためには、介護保険の理念を、要介護者及び同居家族支援といった方向に変革していく必要がある。つまり、「ケアラー支援」の理念を踏まえた介護保険にしていくのである。

その上で、「生活援助」に関する規制の緩和を検討すべきだろう。政府が今後も介護離職防止という政策を掲げ続けるなら、まずはこの点の緩和に踏み出すべきだ。

具体的には、次のような緩和策が必要だ。

① 同居家族の有無に関わらず、「生活援助」は利用できる
② 同居家族が働いていたり、勉学していたりする学生がいるならば、ヘルパーの食事づくりにおいても、家族の分も調理可能とする
③ 必要ならば、要介護者と同居している家族の部屋や洗濯なども可能とする

ケアマネジメントにもケアラー支援の視点が必要

「生活援助」の規制を緩和すると、無駄なサービス給付を増大させるという批判もある。

この点については、介護離職防止やヤングケアラー対策を前提としたケアマネジメント技法を確立すれば問題はないはずだ。その実現のためには、例えばアセスメントのツールに、ケアラー支援の視点を盛り込んでいく必要がある。

このようなケアラー支援に基づくアセスメントを実現した上で、「生活援助」の一回のケア時間を90分以上とする改正や、介護報酬の単価を引き上げも検討すべきではないか。同居家族の生活支援をするには、一定の時間と労力がかかるからだ。

なお、「生活援助」の報酬単価が上がり、ヘルパーの稼働回数も増えていけば、ヘルパーの賃金も向上する。そうなれば有効求人倍率が約15倍という、恐ろしいほどの人手不足も少しは解消に向かうはずだ。

問題解決へ、ケアマネも積極的な発信を

最後に、介護保険の理念をケアラー支援に傾けるためには、要介護者とその家族の問題をじかに感じているケアマネが、「ヤングケアラー問題」や「介護離職防止」といった問題にさらに関心を寄せ、社会に発信していくことが有効だ。

現場のケアマネは高齢者だけでなく、次代を担う若者の現実にも、ぜひ目をむけてほしい。そして、その問題に関心を持ち、積極的に発信してほしい。

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結城 康博(ゆうき・やすひろ)
1969年、北海道生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒、法政大学大学院修了(経済学修士、政治学博士)。介護職やケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護系の仕事に10年間従事。現在、淑徳大学教授(社会保障論、社会福祉学)。社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーの資格も持つ。著書に岩波ブックレット『介護職がいなくなる』など、その他著書多数がある。

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