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ケアマネ×女優、元アイドルが2足のわらじで目指すものVol.17 北原佐和子/ケアマネ、女優

空前のアイドルブームが起こった1980年代。なかでも芸能界を華やかに彩ったのが中森明菜や小泉今日子ら「花の’82年デビュー組」だ。そんな「花の’82年デビュー組」の一人として活躍した北原佐和子さんは、10年余り前から介護の現場で働きつつ、女優業を続けている。3年前にはケアマネジャーの資格も取得。今は改めて准看護師の養成学校に通学している。2足のわらじを履き続ける北原さんに、その理由と目指す夢をうかがった。

北原佐和子/ケアマネ、女優

―女優として忙しく働かれていた北原さんが、介護の道を志したきっかけはなんだったのでしょうか。

いろいろ理由はありますが…。ぽっかり空いてしまう時間をなんとかしたかった、という理由が大きかったですね。

―ぽっかり空く時間というと。

女優の場合、仕事と仕事の合間に、「ぽっかり」時間が空いてしまうことがあるんですよ。それも時には2か月や3か月も空くことがある。その間、陶芸に挑戦したり乗馬をしたりと、いろいろやっていたのですが、どうにも満たされない自分がいました。

そして「ぽっかり」空く時間を何度も経験するうちに、思い切った取り組みをしたいと思うようになり、ヘルパー2級の資格を取得することにしたのです。

■「障がい者に接していたかった」

―それにしても、なぜ介護だったのでしょうか。

最初は福祉の仕事がしたかった。障がい者の方と接する仕事がしたかったのです。過去、障がい者がたくましく生きる姿を拝見するたび、「自分はどう生きていくのか」ということを何度も考えさせられました。また、ダウン症のお子さんのやさしさに触れた時などは、自分の心の弱さを思い知らされることもありました。

だから私は、たくましく生きている人や、やさしい心根を持った人たちに接していたいと思った。飾らずにいえば、私が福祉を志したのは、そういう理由です。

―しかし、北原さんが勤められたのは介護の現場でしたが…

ヘルパー2級を取った後、すぐに連絡したのは福祉の事業所でした。でも女優との兼務というと、「シフトが組めないから…」と断られてしまったのです。その後も、さまざまな施設に連絡しましたが、どこも兼務では難しいとのことでした。それで、福祉にこだわらず、介護の事業所にも連絡したところ、宅老所をやっているデイサービスが兼業でも可能ということで受け入れてくれたのです。

―女優と両立するために、ずいぶん苦労されたわけですね。女優を辞めることは考えなかったのですか?

両立すべきかどうかは、何度もしっかり考えました。それでも、私は演じることが好きだったので、女優を辞める選択肢はありませんでした。

■「介護が五感で感じることの大切さを実感させてくれた」

―介護の現場に立つことで、女優として成長したことはありますか?

五感で感じることの大切さを、より強く実感するようになりましたね。例えば、なかなかご飯を食べようとしない人をケアする時には、食べ物がいかにおいしそうかを伝える必要があります。そのためには、伝え手である私自身が、おいしそうな香りやごはんの艶を、しっかり五感で感じ取らなければなりません。これは、女優として活動する上でもとても役に立っています。

なにより介護にかかわることで、生きる力を得られたと実感してもいます。実は女優業だけをやっていた時は、「ビジョン(目標)がないからダメなんだ」と、よく言われていたんですよ。ところが介護に携わってからは、次々と目標が見え始めた。そして、それがそのまま生きる力につながっています。

■女優のスキルが介護の現場で生きる瞬間とは?

―なるほど!逆に、女優のスキルが介護で生きていることはありますか。

これもいろいろありますけど…。例えば、トイレ介助で舞台の経験が生きたことがあります。

―というと?

トイレ介助って、あの狭い空間に利用者さんと一緒にいなければならないでしょ?利用者さんにしてみれば、いくら必要とはいえ、不快ですよね。それで、先の舞台での経験を応用することにしました。具体的には、存在感を消したのです。

―存在感を消す?一体、どうやって…。

「私は壁のシミ」とイメージし、動きをできる限り止め、利用者さんを見ず、息をひそめました。これは堺正章さんの舞台で学ばせていただいたことです。そして私が存在感を消したら、落ち着かない様子だった利用者さんが、ごくスムーズに便器に座り、排泄してくれたのです。

■ケアマネの資格を取った理由。さらに、その先に目指すもの

―そんな北原さんがケアマネの資格を取られたのは2016年のことでした。なぜ、ケアマネの資格を取られたのでしょうか。

サービスを提供する立場だけでなく、家族へのサポートやアドバイスが出来るようになりたかったからです。そして今は、在宅での看取りにしっかり対応できるケアマネを目指しています。利用者さんを見送った後の家族が、後悔のない時間を過ごせるようなプランを組みたいから。

看取りに対応するためには、訪問看護などの医療系サービスの必要性を正確に伝えられなければなりません。つまり医療について、もっともっと知らなければなりません。それで、ケアマネの資格を取った後に、准看護師の資格を取るための学校に通い始めたのです。来年3月には卒業する予定です。

―「学校に通い始めた」と簡単におっしゃいますけど、スケジュール面で大変なのでは?

確かに大変です。冗談抜きで寝る暇もないことも結構あります。だから学期中は、女優業をお休みしています。ただ、夏休みなどのまとまった時間がある時は、イベントなどに出演したりはしています。

介護施設のイベントで参加者と交流する北原さん
介護施設のイベントで参加者と交流する北原さん

■両立の原動力は笑顔。そして目指す「看取りに対応できるケアマネ」

―もともと大変だった両立のハードルが、准看護師の学校に行くことで、さらに高くなったのでは…。それでも、女優と介護を両立しようとする原動力はどこにあるのでしょうか。

自分が踏み込んで働きかけることで、思わぬリアクションや笑顔に出会えることですね。この点は、介護やケアマネジメントの現場でも、女優業の現場でも同じです。そういう意味で、介護の現場は舞台と同じといえるでしょう、少なくとも私にとっては。

―今後、北原さんが目指すことをお教えください。

在宅での看取りにしっかり対応できるケアマネになることです。それを実現するために、将来はケアマネとしてだけでなく、看護職としても在宅医療にもかかわりたいですね。もちろん、女優も続けたい。ちょっと先のことだし、できるかどうか、やってみないとわかんないところもありますが、できる限り実現したいです。

北原佐和子(きたはら・さわこ)
1964年埼玉県生まれ。高校在学中に「ミス・ヤングジャンプ」に選ばれ芸能界デビュー。トップアイドルとして活動後、女優に転向。ドラマや映画、舞台など、多様な分野で活躍している。また2005年にはホームヘルパー2級の資格を取得。14年には介護福祉士、16年には介護支援専門員の資格を取得した。18年からは准看護師の養成学校に通学している。著書は「女優が実践した 介護が変わる魔法の声かけ」(飛鳥新社)など。

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