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ケア記録×プランAIの試用版、来年秋にも発表Vol.19 中元秀昭/さくらCSホールディングス 代表取締役CEO【前編】

2019/12/19 配信

介護関連事業を手がける「さくらコミュニティサービス」(札幌市)は今年10月、無料で利用できる介護記録アプリ「Care Viewer」の提供を開始した。同社では来年秋にも、アセスメントの情報を基にケアプランを提案するAI(人工知能)の試用版(ベータ版)を発表する見通しで、ケアプランAIをめぐる業界の動きはさらに活発になりそうだ。同社社長で、グループ企業を束ねる「さくらCSホールディングス」(札幌市)の中元秀昭・代表取締役CEOに話を聞いた。

中元秀昭/さくらCSホールディングス 代表取締役CEO

―最初に、「Care Viewer」を開発した経緯を教えてください。

2017年6月に経済産業省の「新連携支援事業」に採択されました。その枠組みを使って、地元のソフトウェア会社などとコンソーシアム(連合体)を組み、6千万円の補助金を頂きながら2年間、多言語に対応した介護記録アプリの共同開発を進めることになったのです。

「Care Viewer」は、スマホやタブレット端末向けの介護記録アプリですが、ケアプランの作成を支援するAIの実装に向け、現在開発を進めている状況です。土台となるアルゴリズムは既に出来上がっています。AIの性能は、学習させるデータ量が決め手となるので、来年秋のベータ版の発表に向け、データを集めながら精度に磨きをかけているところです。

―外国人が働く事業所も使用できるよう、「Care Viewer」は、タイ語やベトナム語など6カ国語に対応しています。「さくらCSホールディングス」は、ミャンマーに合弁会社を設立して、外国人技能実習生の受け入れも進めているそうですね。

実は、「Care Viewer」開発の原点となったのが、外国人への対応でした。介護現場で外国人を受け入れるためのツールが必要だと考え、研究・開発を進めているうちに、もっと解決すべき課題があることに気付いたんです。記録に時間を取られている現状を変えることが先決だという発想に転じ、そこからアプリを作り直しました。

外国人が1人で夜勤に入れない理由は、日本語が書けないという言語の問題が大きい。それを解消しなければ、今後、介護の担い手を確保し、事業所運営を続けることは難しいだろうと思い、多言語化を実現させたのです。

―経産省の事業に採択される前から、アプリの研究・開発を進めていたんですね。

そうなんです。2014年頃からプロトタイプ(試作品)を開発したり、別のコンソーシアムで、今回の開発の原点となる開発交流をやったりしていたので、足掛け6年ほどになります。

■アセスメントで“標準プラン”を提案

―まだ開発段階だとは思いますが、御社のケアプランAIのイメージを教えてください。

アセスメントシートとケアプランの第2表をAIに学習させた上で、標準化されたケアプランを導き出そうというのが、最初のアプローチです。当社のAIはディープラーニング(※編注)ですから、ある程度、最適化されたものが出てきます。

もちろん、最終的な判断はケアマネさんがすることになります。ケアプランの土台の部分をAIが提案するイメージです。

アセスメントにはさまざまな方式がありますが、AIに適しているものと適していないものがあります。ケアプランの標準化という視点で考えると、データを定量化できなければ、AIに学習させることはできません。そうなると、使用できるアセスメント方式は限られています。私たちは、3つのアセスメント方式を実装する予定です。その方式に合わせて今後、ディープラーニングを進めていくことになります。

※「深層学習」とも呼ばれる。大量のデータを学習させることで、データとデータの間にあるつながりを見つけ出し、そこから精度の高い予測を弾き出す技術

―このアセスメントの内容だったら、こんな感じのケアプランが一般的だというものを導き出すということですね。

そうです。そこにはサービスの変更など、ケアマネさんの評価も入ります。モニタリングですね。そのサイクルもAIに学ばせることで、さらに最適化を図っていきます。

■当面は100事業所の利用目指す

―アプリの有料化は検討していますか。

基本となる機能は、これからも無料です。ただ今後、機能を拡張していく予定なので、その部分は有料化していきます。まず皆さんに、紙ベースでやっている記録をデジタルに置き換えていただくことが、私たちの狙いです。その部分は無料で提供させていただき、追加する機能を有料化するスタンスです。

私たちとしては、現場にアプリを広めたいので、居宅介護支援事業所については、無料で使っていただこうと思っています。他のサービス事業所が「Care Viewer」を導入した際、居宅介護支援事業所が利用していないと、連携の面で不利益になる。その意味でも、居宅介護支援事業所には無料で提供したいと考えています。

―ケアプランAIの性能を高めるには、現場でのデータ収集が不可欠です。

おっしゃる通りです。当面は、全国の100事業所で使っていただくことを目指しています。

―どのような事業所が対象になるのですか。

訪問介護やデーサービス、施設系サービス、そして地域密着型サービスなどもそうです。私たちが目指しているのは、どちらかと言えば、介護事業者向けのAIなので、居宅介護支援事業所単独というよりは、幅広い事業所や施設で使っていただきたいと考えています。

―給付管理ソフトと連携する予定はありますか。

現段階ではありません。私たちは作業の効率化、生産性向上という機能に特化するつもりです。今後は、「介護保険が切れますよ」「そろそろ介護計画の更新時期ですよ」といったお知らせをしてくれるアラート機能も追加する予定です。忙しい事業者の方、経営者と管理者を兼務しているような事業者さんに持って来いの機能だと思います。

取材・構成/敦賀陽平

このインタビューの続きはこちら→「トップ営業マンから介護の起業家へ

中元秀昭(なかもと・ひであき)
札幌市出身。大手警備会社の営業責任者などを経て、2002年9月に株式会社さくらコミュニティサービスを設立。サービス付き高齢者向け住宅やグループホーム、介護・福祉人材を育成する専門学校の運営、人材紹介サービスなどに加え、近年は、介護・福祉サービス事業を基盤とした海外展開、AIを活用したソフトウェアの開発にも力を入れている。2017年にMBA(経営学修士)取得後、現在、小樽商科大で非常勤講師、厚労省の外部委員も務める。

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