知っておきたい高齢者の食事講座

vol.8 高齢者の健康を守る上で極めて重要な「口腔衛生」

要介護2くらいまでは、歯科医への定期通院を

もう一つ、在宅での口腔ケアを継続する上で、ぜひ心掛けてほしいことがあります。歯医者に通えるうちは、できるだけ通院してほしいということです。

在宅の現場では、訪問歯科に頼り、通院しなくなる例をよく見かけます。訪問歯科は便利なのですが、一方で、使える器具や設備が極めて限られており、できる処置も限定されるという問題があります。訪問歯科の現場では、懐中電灯の下での手作業を強いられると言っても過言ではありません。明るい照明と十分な設備が整った歯科医院で受ける治療とは、その質が全く違うのです。

具体的には要介護1か2のうちなら、できる限り歯医者にも定期通院してもらうようにしてほしいですね。

「歯医者に出向くのはおっくう」という利用者もいるでしょう。そんな利用者に通う意欲を取り戻してもらうのは、なかなか難しいでしょうが、私は「いつまでも、いけると思うな歯医者さん」というフレーズを使って、利用者に通院を勧めています。

18年度の法改正に込められた国のメッセージとは?

この4月から、病院が退院先に入院中の患者の食事に関する情報を伝えると、病院に診療報酬が付けられるようになりました。またデイサービスの事業者が利用者の栄養に関する情報をケアマネに提供すると、介護報酬が受け取れる仕組みも整えられています。

そうした情報を受け取った時にどうするのか、ケアマネには考えてほしいのです。

利用者の体重が減少しているなら、主治医に連絡するのか、あるいは歯科に連絡して歯の具合を診てもらうのか。やるべきことはいろいろあると思います。

もちろん、何もかも自分で判断し、行動する必要はありません。専門の医療職に連絡し、対応を検討すればいいのです。

この4月からケアマネの運営基準に、知りえた薬剤や口腔の問題を主治医などに伝えることが盛り込まれたのも、「集まった情報を医療関係者らと共有し、有効な対応を練ってほしい」という、国からの強いメッセージといえます。

つまり、今回の同時改定は、ケアマネに、医療との連携を実現するよう強く迫る内容なのです。その一方で、単に連携しろというのはあまりにも大変だからと、情報面で十分な「お膳立て」もされているといえるでしょう。それでもケアマネが医療に関する情報を生かそうとせず、医療との連携を考えないようなら、近い将来、かつてないほど激しい勢いで「ケアマネ不要論」がわき起こってくるかもしれません。

中には、「その必要は分かっているが、医師や医療関係者と連携すること自体がつらいし、怖い」というケアマネもいるでしょう。こうした心理的な“壁”を解消するためには、医療関係者と介護関係者の両方が参加する地域の勉強会や研修会に参加し、素顔の医師と話をしてみてください。案外、それだけで仕事上の連携も取りやすくなりますよ。

菊谷 武 先生

菊谷 武 先生

日本歯科大学大学院生命歯学研究科教授。日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック院長。歯学博士。1988年、日本歯科大学歯学部卒業。 東京医科大学兼任教授。岡山大学など5つの大学で非常勤講師も務める。2014年度から2016年度の厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業)「地域包括ケアにおける摂食嚥下および栄養支援のための評価ツールの開発とその有用性に関する検討」主任研究者

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