知っておきたい高齢者の食事講座

vol.12 献立選びの癖を知って栄養改善を

多様性を形成する4つの食事パターン

秋田県大仙市の地域包括支援センターの皆さんの尽力によって、地域シニアの代表集団1万6571人(平均年齢74.5歳)を対象とした食品摂取の多様性得点に関する大規模調査をすることができました。この調査内容と規模は、日本にこれまでになかったものです。

その結果、地域のシニアの食品摂取の多様性得点は、次の4つの食事様式(食品摂取パターン)の得点で形成されていることが明らかになりました。

1、芋類、海藻類、果物を副菜としてしっかり食べる食事パターン=植物食品得点
2、肉類、油脂類、卵を主菜としてしっかり食べる欧米食パターン=欧米食得点
3、緑黄色野菜、魚介類、大豆製品を主菜としてしっかり食べる和食パターン=日本食得点
4、牛乳・乳製品をしっかり摂る牛乳パターン=牛乳得点

<食品摂取の多様性得点と1~4の各得点の算出法>

各食事様式の得点は次のようにして算出します。

あまり考え込まず、ここ1週間ぐらいの食事を思い浮かべてください。

10の食品群「芋類」「海藻」「果物」「肉類」「卵」「油脂類」「魚介類」「大豆製品」「緑黄色野菜」「牛乳」(乳製品を含む)の食べる頻度を、次の4つの選択肢(「ほぼ毎日食べる」「2日に1回」「週に1~2回」「ほとんど食べない」)から選びましょう。「ほぼ毎日食べる」を1点とします。

●植物食品得点=芋類、海藻類、果物の食品群で「ほぼ毎日食べる」と回答した数(満点3点)
●欧米食得点=肉類、油脂類、卵の食品群で「ほぼ毎日食べる」と回答した数(満点3点)
●日本食得点=緑黄色野菜、魚介類、大豆製品の食品群で「ほぼ毎日食べる」と回答した数(満点3点)
●牛乳得点=牛乳・乳製品で「ほぼ毎日食べる」と回答した数(満点1点)
※食品摂取の多様性得点=この4つの得点を足し合わせた点(満点10点)

食品摂取の多様性得点が、どの食事様式の得点で構成されているのか点検してみてください。例えば、食品摂取の多様性得点が4点で、このうち3点が日本食得点、他の1点が欧米食得点であったケースでは、普段の食品摂取の多様性は日本食系の献立で形成されているため、洋食系の献立選びや、野菜以外の植物食品の副菜を取り入れた食事に気を付ければいいわけです。

なお、各食事様式の得点(牛乳得点を除く)が1点以下の場合は、その様式自体が形成されていないとみなされます。その際は、各食事様式に属する献立を1食ずつ選ぶようにします。朝は和食系のメニュー、昼は洋食系のメニュー、夜は和洋折衷のようにする方法もあるでしょう。

食事パタンチェック票

◎「食事パタンチェック票」の一部から「欧米食得点」のみを算出するために作成したシートです。
※集団や個人を対象とした介護予防をはじめとした保健活動などで「食事パタンチェック票」を使用する際は、一般社団法人全国食支援活動協力会への使用許諾申請が必要になります。

2018年春の介護報酬改定によって、ご利用者の栄養状態に関するケアマネジャーの責任は重くなったと言えます。ケアマネジャーが居宅で把握した生活情報のうち、食事の量や体重の変化など、かかりつけの医師や歯科医師らの助言が必要と思われるものについては、今回から報告義務が課されました。

またデイサービス事業所などでは、介護職員がご利用者の栄養状態を確認し、ケアマネジャーと文書で情報共有した場合に受け取れる「栄養スクリーニング加算」が新設され、情報を受け取ったケアマネジャーは、対応策を迫られるようにもなりました。

つまり、食事や栄養に対するケアマネジャーの理解が欠かせない時代がやって来たのです。地域で選ばれるケアマネジャーになるためにも、今後、ご利用者により踏み込んだ助言が求められるでしょう。この「食事パタンチェック票」を使えば、ご利用者がどのような献立の特徴を持っているかが分かり、配食サービスのお弁当選びなどの際、ケアマネジャーからアドバイスすることもできます。ぜひ、チェック票を現場で活用してみてください。

ケアマネからの質問

Q:食事とは別に、プロテインやサプリメントを取り入れるのは有効でしょうか。

A:高齢者にとってたんぱく質はとても重要な栄養素ですが、特定保健用食品(いわゆるトクホ)など、最近は、有効性を明確にうたっているものもあります。食品摂取に多様性を促すと、からだの栄養状態が改善し、老化に伴う筋骨格の虚弱化を抑えられます。まずは、食品摂取の多様性を向上することを最優先の手段としてください。トクホやサプリメントなどの使用は、その補助的手段に位置づけましょう。過度に期待したり頼りにしたりすることはお勧めできません。

熊谷 修 先生

熊谷 修 先生

一般社団法人全国食支援活動協力会理事。東京都健康長寿医療センター研究所協力員。学術博士。1979年、東京農業大学卒。地域住民の生活習慣病予防対策の研究・実践活動を経て、高齢社会の健康施策の開発のため東京都老人総合研究所(現・東京都健康長寿医療センター研究所)へ。わが国初の「老化を遅らせる食生活指針」を発表し、シニアの栄養改善の科学的意義を解明した。介護予防市町村モデル事業支援委員会委員、人間総合科学大学教授歴任。介護予防のための栄養改善プログラムの第一人者。

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