ケアマネジメントスキルアップ講座 VOL.03
サービス担当者会議において求められるスキルとは(準備編)
ケアマネジャーの重要な業務の一つであるサービス担当者会議。「手間がかかって大変」「司会進行が苦手なので負担」などの声をよく聞きます。そこで今回は、サービス担当者会議の準備と実施においてどのようなスキルを身につければ、会議をスムーズに運営できるかを取り上げました。スキルアップのポイントを教えてくださるのは、『サービス担当者会議運営マニュアル――準備から終了後まで』の著者の一人で、元ケアマネジャーの杏林大学講師・柴山志穂美先生。2回シリーズ前編のテーマは、「会議の準備」において求められるスキルについてご紹介します。
会議前の十分な準備をし、当日の負担を軽くしておくスキル
司会進行がうまくできないというケアマネジャーはたくさんいますが、事前に十分準備をしているかを聞くと、そうでない方が意外に多いようです。私がぶっつけ本番で会議運営を滞りなくできるようになったのは、経験を積み、管理者になってからでした。会議運営の経験が少ない方であれば、特に準備は大切です。事前にできることを可能な限り行って、当日の負担を軽くしておきましょう。
たとえば、検討課題についての意見を、会議に参加するサービス担当者に事前に聞いておくこと。そうすれば、当日、新たな情報が出てきて戸惑うこともなく、事前にもらった情報の確認だけですみます。さらに、聞き取った情報の中で、何について何分ぐらいで話してほしいかを打ち合わせておけば、当日の進行がスムーズになると思います。
会議の司会をするとき、知らない顔が並んでいたら誰でも緊張します。顔を合わせたことがない担当者には、できれば会議開催前に事業所に伺って挨拶をしておくといいですね。一度会っておけば、その方の顔やキャラクター、考え方がわかり、当日、グッと楽になると思います。訪問する時間が取れない場合は、事前に電話で挨拶をしておくだけでも、会議で初めて話をするよりずっとよいと思います。
忙しくて事前にサービス担当者と話をする時間が取れない、というケアマネジャーもいるかもしれません。私は「時間は作るもの」と思っていますが、時間を作ろうとするかしないかは、その方次第。つまり、準備なしで会議に臨むプレッシャーと、事前に準備する手間や時間と、どちらの方が自分にとって負担なのかで決めればよいと思います。
また、会議の司会進行が全く初めてという方は、どのように話を進めるか、タイムスケジュールを考えておくとよいと思います。さらに、司会者としてどのタイミングで何を言うかというセリフまで書いた「台本」を作っておけば、より安心でしょう。
事前に各担当者から情報収集し、テーマを設定するスキル
サービス担当者会議は義務化されているから開催しているけれど、検討課題がないときには開催する意味を見出せない。そんな声もよく聞きます。安定した状態の利用者の場合、検討課題がないように思えることもあるでしょう。その場合は前項でお話ししたように、デイサービスや訪問介護などのサービス担当者に、気になっていることがないかを聞いておく、ケアマネジャーが気づかなかった思いがけない課題が出てくることもあります。事前に聞いておくことで、それを会議のテーマにすることができます。
それでも特に課題がない場合は、無理に検討課題を作り、テーマを設定する必要はありません。モニタリングと次の目標の確認がテーマでよいと思います。担当している利用者のみんながみんな、大きな課題を抱えているわけではありません。時には、10分で終わる会議があってもいいのです。10分のために集まるなんて、時間の無駄ではないかと思うかもしれません。しかし、本当に時間が無駄になるのは、何の目的もなく、ただ義務的に集まったとき。利用者の現状と目標を確認するという目的を持って集まり、何か変化があったら連絡を取り合うという意識を共有できれば、十分開催する意味があるのです。
同じエリアで仕事をしているのですから、他の利用者の会議でまた顔を合わせる担当者もいるでしょう。こうした会議の積み重ねで、互いに連絡を取りやすい、そして、ものを言いやすい関係を作っていこうと考えればいいのです。
- 柴山 志穂美 氏のご紹介
- 看護師、主任介護支援専門員。
看護師として在宅を経験した時、チームケアや生活全体のマネジメントに魅力を感じ、平成12年より介護支援専門員となり、地域ではケアマネジャー連絡会の代表を務めた。介護老人保健施設の相談員を一年間経験。現在、日本ケアマネジメント学会で理事も務める。2012年より杏林大学保健学部看護学科看護養護教育学専攻講師。
著書に『サービス担当者会議運営マニュアル――準備から終了後まで』(共著)など。
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