ケアマネジメントスキルアップ講座 VOL.20
管理者のケアマネに求められる「鳥の目」(前編)
ケアマネジャーに求められるスキルについて、その分野の専門家からのアドバイスを紹介する「ケアマネジメントスキルアップ講座」。今回は、2018年4月の介護保険法改正を踏まえた今後の対応のポイントについて、日本ケアマネジメント学会副理事長で株式会社フジケア社長の白木裕子先生にお話を伺いました。白木社長は、4月の法改正に伴い「ケアマネには、改めて『3つの連携力』を強く求められるようになりました」と指摘。特に管理業務を担う主任ケアマネについては「『鳥の目』が、より求められます」と強調します。
ケアマネに求められる「3つの連携力」
2018年4月の介護保険法改正により、ケアマネジャーには、特に「3つの連携力」が求められるようになったといえるでしょう。
まず挙げられるのは、「医療と連携する力」です。この点については、以前から必要と指摘されてきたことですが、今回の法改正で、その必要性がより明確に示されました。
もう一つが「主任ケアマネが地域のケアマネと連携する力」。居宅介護支援事業所の管理者が主任ケアマネに限定されたことに注目が集まっていますが、主任ケアマネには、地域のケアマネの育成が新たな役割として課されました。ですので、市町村内でのケアマネ・ネットワークを充実させる力が求められるのです。
そして「地域住民やインフォーマルサービスと連携する力」ですね。介護保険サービスのみで構成されるケアプランが多くみられますが、利用者のストレングスを活かすためには近隣や地域と関わりに目を向けることが大切です。
今まで、ケアマネは利用者と家族、そして介護事業者に目線を置いていれば大体、業務をこなすことができました。ただし、この4月からは、そうはいきません。既に述べた3つの「連携する力」を身につけ、実践しなければ、ますます厳しい状況に置かれるでしょう。
管理者=主任ケアマネがもたらすもの
そんな今回の改定で、特に注目すべき変化といえるのが、3年後には、すべての居宅介護支援事業所の管理者が主任ケアマネの資格を持っていなければならなくなったことです。
この改正については、現場のケアマネからは強い反発の声が上がっています。私自身、この仕組みを導入する以上、できるだけ早く主任さんの報酬は上げなければならないと思っています。さらに言うなら、主任ケアマネが直接担当する利用者の数は、30件未満に減らすなどの工夫が必要なのではないでしょうか。そうした工夫がないと、主任ケアマネになる人がいなくなります。
ただし、いろいろ問題がある変更であっても、既に制度が動き始めている以上、現場はそれに合わせた対応をしなければなりません。
この制度改正への対応を考える上で、前提として認識すべきことがあります。「よい支援者がよい管理者であるとは限らない」ということです。そのため管理業務を兼ねる主任ケアマネは、指導力や経営力を身につけるために、学び続けなければなりません。
さらに管理者を兼ねる主任ケアマネは、「鳥の目」を持って業務に当たるべきです。具体的には、教育の面、管理の面、そして地域との連携まで俯瞰できる高い視座を持ち、業務を考えなければならないということを意味します。
ただし、これは簡単に実現できることではないですね。スーパーバイズと業務管理を両立することだけでも、相当に困難です。
- 白木 裕子 氏のご紹介
- 株式会社フジケア社長。介護保険開始当初からケアマネジャーとして活躍。2006年、株式会社フジケアに副社長兼事業部長として入社し、実質的な責任者として居宅サービスから有料老人ホームの運営まで様々な高齢者介護事業を手がけてきた。また、北九州市近隣のケアマネジャーの連絡会「ケアマネット21」会長や一般社団法人日本ケアマネジメント学会副理事長として、後進のケアマネジャー育成にも注力している。著書に『ケアマネジャー実践マニュアル(ケアマネジャー@ワーク)』など。
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