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現場の関係者にアンケート
ケアマネをめぐるハラスメントの実態は?

介護現場でのハラスメント防止を求める声が高まり始めています。厚生労働省も実態調査を行い、その防止のためのマニュアルを作成する方針を示しています。
今回はケアマネジメント・オンラインの会員ケアマネジャーに行った、ハラスメントに関するアンケート結果をご紹介します。
調査期間は2019年2月14日~2月20日の7日間で、814名の現職のケアマネジャーと、260名の介護関係者から有効回答が得られました。

ケアマネの10人に4人が「被害者」

業務中にハラスメントを経験したことがあるかどうかを尋ねた質問では、「ある」と答えたケアマネは40.9%。「ない」(40.2%)とほぼ拮抗しました。「なんともいえない」は18.9%でした=グラフ1=。

ケアマネの10人に4人は、業務中にハラスメントを受けていることが分かりました。

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加害者の6割超は「上司」、「ご利用者」「ご家族」も4割

ハラスメントをした人の立場を複数回答で尋ねた質問では、「職場の上司」が63.4%で最多となりました。以下は「ご利用者のご家族」(41.4%)、「ご利用者」(40.2%)、「職場の同僚」(22.8%)、「行政関係者」(14.1%)、「連携している他事業所のスタッフ」(12.6%)などの順となりました=グラフ2=。
同じ質問の結果をケアマネ以外の介護関係者と比較したところ、ケアマネは他の介護関係者に比べて、「ご利用者のご家族」や「行政関係者」からのハラスメントを受けやすい傾向があることも見えてきました。

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特に目立つ「パワハラ」と「モラハラ」

受けたハラスメントの種類を複数回答で尋ねたところ、「地位や権力などを背景に嫌がらせを行うパワーハラスメント」が66.4%、「言葉や態度、異常な業務などによって精神的に継続的な嫌がらせを行うモラルハラスメント」が63.7%と拮抗しました。「男女問わず性的な嫌がらせを行うセクシャルハラスメント」は24.6%でした=グラフ3=。

パワーハラスメントの具体例としては、次のような回答が寄せられました。

  • 「会議中の暴言、脅迫まがいの罵り、恫喝を繰り返し行われた」
  • 「終電まで仕事を強要する」
  • 「上司から日常的に『役立たず』『職場のお荷物だ』のようなことを言われた。まだ駆け出しの新人だったのに『ここで働きたければ営業に出て仕事を取ってこい』と言われた」
  • 「仕事の依頼を頂いている住宅型有料の社長から、日常的に威圧されたり暴言を吐かれたりしています」
  • 「上司より業務日誌に名指しで『人間失格』と書かれる」

モラルハラスメントの具体例としては、次のような回答が寄せられました。

  • 「認定結果が下がれば、家族に危害を加えると脅す。ケアプランを破り投げつけられる」
  • 「電話を執拗に早朝から深夜まで鳴らす。玄関の鍵を閉め帰宅できないように監禁する」
  • 「挨拶したら、無視されたり、睨まれたりした」
  • 「運営基準違反、不正請求に当たる業務の隠蔽の加担をさせられる。利用者の前で契約していなかった契約書を私が紛失したと嘘を言われる」
  • 「業務改善を求められ、それについて改善したにもかかわらず、ご利用のたびに呼び出され、1時間半から2時間ほど暴言をはかれる」
  • 「独居の男性利用者から 昼夜問わずの訪問要請」
  • 「介護保険制度など、自分の気に入らない事を説明すると『たたき殺してやる』との暴言」

セクシャルハラスメントの具体例としては、次のような回答が寄せられました。

  • 「認知症の利用者から手にキスされる」
  • 「男性利用者から『あんた、いくらなんだい?』って聞かれた」
  • 「罵声を浴びせられる。言う事を聞かないと断るぞと脅される。胸を触られる」
  • 「以前働いていたクリニックの統括が、体の要求をしてきたので断るとそれからずっとパワハラ、セクハラ的なことを繰り返して、左遷にも数回遭いました」

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ハラスメントへの対応「しなかった」が4割

ハラスメントを受けたケアマネに、解決にむけた取り組みを行ったかどうかを尋ねたところ、「対応しなかった」と答えた人が41.7%に上りました。「対応した」は55.3%、「その他」は3.0%でした=グラフ4=。

「対応しなかった」と答えた人に理由を尋ねたところ、次のような回答が寄せられました。

  • 「加害者に地位があるため誰も言えない。言ったらますます嫌がらせをされる」。
  • 「仕事を続けられなくなる、もっと嫌がらせがひどくなるから」
  • 「会社全体に『長い物には巻かれろ』的な考え方があるため」
  • 「上司が聞く耳を持たない。部下の問題に無関心」
  • 「利用者は認知症なので仕方ないと思った。家族に問題を伝えても火に油を注ぐだけと思い、距離を置いた」
  • 「対応しようとすると系列事業所から密告されるシステムであるため」
  • 「相談する相手がいないため」
  • 「言っても無駄だと思った。『たいしたことじゃないでしょ』と言われると思った」
  • 「認知症だから仕方ない」

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対応により「改善した」は2割に留まる

一方、何らかの対応をした人に、その具体的な内容を尋ねた質問(複数回答)では、「ハラスメントをする人の関係者(家族や、その人が所属する組織の上司など)に連絡し、やめてもらうよう依頼した」が41.8%で最も多く、以下は「現場で対応するため、同僚に相談した」(41.3%)、「ハラスメントをする人と接する機会を無くすため、職場の上司に担当変更などをお願いした」(19.0%)などの順となりました。「身の危険を感じるレベルのハラスメントだったので、警察に通報した」(0.5%)と答えた人もいました=グラフ5=。

対応した結果、状況が改善したかどうかを尋ねた質問では、「改善しなかった」が41.3%、「なんともいえない」が38.6%となり、「改善した」は20.1%にとどまりました=グラフ6=。

改善しなかったと答えた人にその理由を尋ねたところ、次のような答えが寄せられました。

  • 「職場の管理部署が動かなかった。事実確認をしなかったため、現在でもパワハラが継続中」
  • 「代表(社長)に力がなかった」
  • 「本人に伝えられ、逆上し悪化したから」
  • 「労働組合があまり熱心ではない」
  • 「利用者の人間性の問題で改善しない」
  • 「上司が当人にそのまま伝えたため、余計にモラハラが酷くなった」
  • 「キチンと報告や相談をしているにも関わらず、上司が放棄してうやむやになった」

最後に、ハラスメントを減らすためには、どんな工夫が必要と考えるかを聞いたところ、次のような回答が寄せられました。

  • 「介護職、支援者を守る法整備。こちらは『虐待』と騒がれるのに、相手が同じことをしても許さざるを得ないのはおかしい」
  • 「トップが理解すること。トップが無知だったり自覚がなかったりだとどうしようもない」
  • 「普段からコミュニケーションをとり、互いの人間性を熟知する努力が必要と感じる」
  • 「対利用者においては契約時に信用失墜行為を具体的に示す。相談体制の充実と周知」
  • 「同じ立場の人達が集まって意見を出し合える場がほしい」
  • 「業界全体の教育、古い体質の職員の一掃」
  • 「契約書にもっと具体的に禁止事項を定めて、利用者にあらかじめ説明する」
  • 「とにかく人員確保と即戦力になる人員の採用」
  • 「女性は特に単独行動をしない」
  • 「あり得るハラスメントの対応策を事前に研修会などで共有し、初期段階で食い止められる工夫を考えておくこと」
  • 「介護認定を受けた時点でハラスメントについての話をする」
  • 「できるだけ当事者と二人きりにならないようにする事」
  • 「ハラスメント対応の専門家を置くこと。小さな事業所では、難しいかもしれないけど、外部のユニオンのような組織でも、ハラスメント相談を受けていることを知ることも大切」
  • 「我々が結んでいる契約について、もう少し勉強する必要があると感じます。履行と不履行があること。大事なお客様であることには変わりませんが、あまりにも契約内容を継続しかねる場合には、契約解除も辞さない事を忘れてはいけないと思います」
  • 「上司の定期的な聴取。話しやすい環境作り」
  • 「主任ケアマネが管理者要件ではなく、管理者の資質をもった人が管理者になること」
  • 「居宅であれば、サービス事業所からの独立体制。ケアマネや介護従事者への不正強要などのパワハラなら保険福祉局や労働監督署の公的機関への報告」
  • 「セクハラ、パワハラは、第三者委員会をしっかり発足させるべきだと思う」
  • 「建物内に監視カメラを設置する」

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