白木裕子の「実践! 仕事力の磨き方」 VOL.37
24改定、ケアマネジャーが心がけるべきポイントは(後編)
日本ケアマネジメント学会副理事長の白木裕子先生が、介護保険制度や社会情勢に対応するためのポイントや心構えを、わかりやすく伝授する「実践! 仕事力の磨き方」。今回は、単位数まで明らかになった2024年度の介護報酬改定(24改定)の内容を踏まえ、居宅介護支援事業所の管理者やケアマネジャーが心がけるべきポイントなどについて、白木先生がアドバイスします。
まずケアマネのWLBを意識して―「逓減制の緩和」
事業所によっては「逓減制の緩和」や「オンラインモニタリング」を活用しようという事業所もあるでしょう。もちろん、これらの制度もやり方次第では十分に有用です。例えば、オンラインモニタリングは、訪問に時間がかかる中山間地のご利用者で、ICT機器などに十分に対応できる方であれば、有意義な仕組みになりうるでしょう。
ただ、逓減制の緩和を活用し、担当件数を増やすためには、ケアマネジャーのワーク・ライフ・バランス(WLB)を意識することがより重要になります。
事業所内で運用の際の方針などを明確に―「オンラインモニタリング」
また、特定事業所加算を算定している事業所でオンラインモニタリングを実施する場合では、より配慮が必要です。なぜならオンラインモニタリングを実施するにあたっては、利用者に担当するケアマネジャーの携帯電話の番号などを伝えなければならない可能性があるからです。携帯のテレビ電話などを活用してのオンラインモニタリングなどを行う場合は、夜間、休日に関係なく利用者や家族からの連絡来ることも想定できます。そのため、特定事業者加算を取得している場合には「緊急時の連絡などは24時間対応電話のみでの対応を徹底する」などの準備が不可欠です。休日や時間を選ばずにケアマネジャーに電話をかけてくる利用者や家族が現れないとも限りません。ケアマネジャーのワーク・ライフ・バランスが壊れ、ストレスによる離職につながるようなことやケアマネジャーをカスタマーハラスメントから守るため、事業所内で運用する際の方針や基準を明確にしておく必要があります。
オンラインモニタリングでは「利用者が安定していること」について主治医や関係するサービス事業者間で合意が図れていないといけません。この点も、何をもって「安定」と判断しているのかといったことや、「疾患が安定しているのか」「認知症の状態が安定しているのか」なども含めて支援チームで情報共有をしていくことが重要です。またオンランモニタリングで得られない情報については、他職種からの情報で補完しておく必要があり、それらを記載するシートも提示されています。これらの点も事業所内での共通理解をしておくことが必要となります。
訪問介護の基本報酬引き下げ‥ケアマネも今後の影響に注視を!
さまざまな変更がもたらされた24改定ですが、特に介護関係者に衝撃が走ったのは訪問介護の基本報酬が引き下げられたことでしょう。厚生労働省は訪問介護の利益率が全サービスの平均より高かったことや、訪問介護事業所のほとんどが、処遇改善加算を受け取れる介護職員で占められていることを基本報酬引き下げの理由として挙げています。
しかし、この引き下げがヘルパー不足に拍車をかけ、在宅の要介護者への支援を、ますます困難にすると懸念する業界関係者も少なくはありません。当たり前のことですが、ヘルパーは在宅での介護サービスを維持するために絶対に不可欠な存在です。居宅介護支援事業所のケアマネジャーは、訪問介護の基本報酬の引き下げがどのように現場に影響するのか、しっかり注視し、できる限りの対応をする必要があるでしょう。
- 白木 裕子 氏のご紹介
- 株式会社フジケア社長。介護保険開始当初からケアマネジャーとして活躍。2006年、株式会社フジケアに副社長兼事業部長として入社し、実質的な責任者として居宅サービスから有料老人ホームの運営まで様々な高齢者介護事業を手がけてきた。また、北九州市近隣のケアマネジャーの連絡会「ケアマネット21」会長や一般社団法人日本ケアマネジメント学会副理事長として、後進のケアマネジャー育成にも注力している。著書に『ケアマネジャー実践マニュアル(ケアマネジャー@ワーク)』など。
関連記事
会員限定コンテンツのご案内
CMO会員限定コンテンツの「CMOたより」は、ケアマネジャーのみなさまの業務に役立つ情報を配信しています。メッセージは定期的に届きますので、ぜひログインして最新メッセージをごらんください。
※会員限定コンテンツのため、会員登録が必要です。
- ダスキンからはこんな「たより」をお届けしています
- 福祉用具に関するお役立ち情報
- 福祉用具専門相談員が語る、ご利用者様とのエピソード
- ケアマネからの福祉用具に関する疑問・質問に回答