白木裕子の「実践! 仕事力の磨き方」 VOL.45
在宅の現場を揺るがすケアマネ不足-今、居宅がやるべきことは(後編)
日本ケアマネジメント学会副理事長の白木裕子先生が、介護保険制度や社会情勢に対応するためのポイントや心構えを、わかりやすく伝授する「実践! 仕事力の磨き方」。今回は、人材不足が深刻化し続ける中、居宅介護支援の現場を担うケアマネジャーが心がけるべきことや取り組むべきことを、白木先生がアドバイスします。
雇用の際の工夫-まずは「慣らし運転」から
「潜在ケアマネ」を迎える際、お勧めしたいのは「ケアマネジャーとして働く自信がない」と言われる方には「パート採用」として勤務してもらう方法です。
資格を持っているとはいえ、「潜在ケアマネ」は、それなりのブランクがある方が大半でしょう。いきなり全力投球してもらうのは、ちょっと厳しいのではないでしょうか。
特に居宅介護支援事業所の収入は、出来高の介護報酬がほとんどであるため、新たな人材を正社員で受け入れるのは、経営的に厳しいという側面もあります。
パート勤務という「慣らし運転」で、今の居宅介護支援の現場になじんでもらい、本人の意欲が高まれば、正社員として頑張ってもらう―。このやり方が「潜在ケアマネ」にとっても、人手不足に悩む事業所にも、効果的と思えるのです。
問題は、その掘り起こし―求められる自治体・職能団体の対応
ただ、ここで大きな問題となるのは「潜在ケアマネ」と、どうやって巡り合うのかです。
人材募集をしても応募者がいないのが現状ですから、現場の努力だけではどうにもならないでしょう。できれば、自治体と職能団体が積極的に動くべきです。
良い先例として、自治体と職能団体が連携して進めてきた「潜在看護師の掘り起こしのための支援セミナー」などがありました。最新機器や最新医療の知識を、学べるセミナーですが、潜在看護師への声掛けは自治体が主に担っていました。
潜在ケアマネについても、同じ仕組みで、市町村と職能団体が中心となった掘り起こしを行うのが理想ではないでしょうか。
職場に迎え入れた時、心がけるべきこと
最後に、「潜在ケアマネ」を仲間にすることができた場合、気を付けるべきことを考えます。
「潜在ケアマネ」の中には高齢の方もいらっしゃるでしょう。そうした人の中には、ICTへの対応・順応に大変な苦労をする人もいらっしゃいます。「潜在ケアマネ」を仲間にすることができた場合、その座席は、ICTに強いスタッフの隣にする、などの工夫をするとよいでしょう。
また、子育て中のケアマネさんにはフレックスタイムや在宅ワークを活用・導入することも有効です。ただ、完全な在宅ワークとしてしまうと「わからないことや困ったことを聞きにくい職場」となってしまいます。例えば「13時~14時のコアタイムだけは出社する工夫」や「週に1~2回は出社し、ミーティングを開催する」などの報告・相談が円滑にできる環境を整える工夫も忘れずに。
- 白木 裕子 氏のご紹介
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株式会社フジケア社長。介護保険開始当初からケアマネジャーとして活躍。2006年、株式会社フジケアに副社長兼事業部長として入社し、実質的な責任者として居宅サービスから有料老人ホームの運営まで様々な高齢者介護事業を手がけてきた。また、北九州市近隣のケアマネジャーの連絡会「ケアマネット21」会長や一般社団法人日本ケアマネジメント学会副理事長として、後進のケアマネジャー育成にも注力している。著書に『ケアマネジャー実践マニュアル(ケアマネジャー@ワーク)』など。
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