白木裕子の「実践! 仕事力の磨き方」 VOL.46
もし、ケアプラン有料化が実現したら…そしてケアマネはどうすべき?(前編)
日本ケアマネジメント学会副理事長の白木裕子先生が、介護保険制度や社会情勢に対応するためのポイントや心構えを、わかりやすく伝授する「実践! 仕事力の磨き方」。今回は、改めて導入の是非が議論され始めている「ケアマネジメントへの自己負担」(ケアプラン有料化)が現場にもたらす影響や、現場を担うケアマネジャーが心がけるべきことを、白木先生がアドバイスします。
27年4月までに「結論」と位置付けられた議論
ケアマネジャーとして長年、活動してきた人は、ケアプラン有料化と聞くと「また、その議論か…」「今度も見送りでしょ?」と思ってしまうかもしれません。実際、介護保険制度改正や介護報酬改定に向けた議論が行われるたび、このテーマは議題に上っていました。
ただ、2027年度の介護保険法改正・介護報酬改定に向けた議論では、ちょっと様相が違うかもしれません。政府は、ケアプラン有料化の是非について、第10期介護保険事業計画が始まる27年4月までに「結論を出す」としているからです。
プラン有料化の課題その1:居宅介護支援事業所が「コスパ重視」に走る危険性
ケアプラン有料化について、私は反対の立場です。
しかし、今回は、その影響を明確にするため「ケアプラン有料化が実現した場合、どのような影響が生じるか」を、あえて考えてみます。
まず、居宅介護支援事業者の立場で考えてみましょう。現在、多くの居宅介護支援事業所では、次のような方を担当されていると思います。
「認定結果が出たが、介護サービスの利用に同意を得ることができない。でも、認知症があるから時々様子を見に行かないと心配」
「居宅介護支援事業所の利用者宅への距離がかなりあり、時間もガソリン代もかかる」
「家族の要望が強く、訪問すると時間がかかるし、サービス調整にも時間を要する」
いずれも、他のケースにくらべれば、課題が多く、時間がかかるケースと言えます。
もし、ケアプラン有料化が実現してしまえば、どうでしょうか。上記のような課題が多く、時間もかかるケースは、経営者の視点で考えれば、コストパフォーマンスの観点から、ついつい敬遠したくなるのではないでしょうか。
つまり、ケアプラン有料化は、居宅介護支援事業所の経営者の間に、「コスパを重視し、対応しやすい利用者を選んでしまいたくなる」意識を生みかねないと思うのです。
- 白木 裕子 氏のご紹介
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株式会社フジケア社長。介護保険開始当初からケアマネジャーとして活躍。2006年、株式会社フジケアに副社長兼事業部長として入社し、実質的な責任者として居宅サービスから有料老人ホームの運営まで様々な高齢者介護事業を手がけてきた。また、北九州市近隣のケアマネジャーの連絡会「ケアマネット21」会長や一般社団法人日本ケアマネジメント学会副理事長として、後進のケアマネジャー育成にも注力している。著書に『ケアマネジャー実践マニュアル(ケアマネジャー@ワーク)』など。
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