白木裕子の「実践! 仕事力の磨き方」 VOL.48
もし、ケアプラン有料化が実現したら…そしてケアマネはどうすべき?(後編)

日本ケアマネジメント学会副理事長の白木裕子先生が、介護保険制度や社会情勢に対応するためのポイントや心構えを、わかりやすく伝授する「実践! 仕事力の磨き方」。今回は、改めて導入の是非が議論され始めている「ケアマネジメントへの自己負担」(ケアプラン有料化)が現場にもたらす影響や、現場を担うケアマネジャーが心がけるべきことを、白木先生がアドバイスします。
今、やるべきは、各地域でケアマネの業務範囲を検討・設定すること
続いて、万が一にもケアプラン有料化が導入されることを見据え、現場のケアマネジャーが意識し、やっておくべきことを考えたいと思います。
とはいっても、基本的には今までと同じ取り組みが求められると思います。
ただし「ケアマネジャーに本来の業務について」は保険者ごとに明確にしておく必要はあるでしょう。突発的な支援については、ケアマネジャーが対応しなければならない場合もあります。しかし、恒久的に本来業務から逸脱した支援を行うことは論外ですから。
また、この点が不明確なままケアマネジメントに利用料金が発生すると、ケアマネジャーにお金を払うようになったご利用者が勘違いし、「有料になったんだから、あれもこれもやってよ!!」と、ケアマネジメントとは全く無縁の業務を、どんどん押し付けてきくるかもしれませんので。
それから、ケアプランの有料化を実現する場合は、前もって、その内容と導入の意義を、国・県・保険者が国民に十分に周知し、納得してもらう必要もあります。少なくとも、導入に伴うご利用者や家族への説明責任を居宅介護支援事業者やケアマネジャーに押し付けるようなことがあってはならないと思います。
総合事業や利用者負担の議論にも要注目!
最後に、政府が次の介護保険制度改正・介護報酬改定が予定される2027年度までに結論を得るとしているのは、「ケアプラン有料化の是非」だけではない点にも言及しておきます。具体的には「介護保険サービスを利用する際に自己負担が2割となる人の対象者の拡大の是非」や「要介護度1や2の人が使う訪問介護と通所介護を、市町村の事業(総合事業)に移すことの是非」についても、27年度までに結論を得る方針が示されています。いずれも実行されれば、居宅介護支援のケアマネジャーの活動にも、大きな影響が及びます。ケアプラン有料化とともに、この二つのテーマの議論の行方についても注目しておきたいところですね。
- 白木 裕子 氏のご紹介
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株式会社フジケア社長。介護保険開始当初からケアマネジャーとして活躍。2006年、株式会社フジケアに副社長兼事業部長として入社し、実質的な責任者として居宅サービスから有料老人ホームの運営まで様々な高齢者介護事業を手がけてきた。また、北九州市近隣のケアマネジャーの連絡会「ケアマネット21」会長や一般社団法人日本ケアマネジメント学会副理事長として、後進のケアマネジャー育成にも注力している。著書に『ケアマネジャー実践マニュアル(ケアマネジャー@ワーク)』など。
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