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「やさしい手」が認定ケアマネジャー取得を全面支援する理由

在宅介護大手の株式会社「やさしい手」は、介護関連企業の中でも、ケアマネジャーの質の向上を目指した取り組みを強く推進している点で出色といえる存在です。その現場で働く認定ケアマネジャー(認定)の皆さんに話をお聞きしました。

「やさしい手」が認定ケアマネジャー取得を全面支援する理由写真左から:相川しのぶさん(世田谷東支社 副支社長)
山之内美和子さん(東京南支社 副支社長)
杉山想子さん(港北支社・支社長)
石山敏子さん(東京東支社 副支社長)

―御社には、380人あまりのケアマネジャーが在籍されているとお聞きしました。そのうち、認定を取得されている方は何人いらっしゃるのでしょうか。

杉山:25人います。ちなみに主任ケアマネジャーは135人ですね。「認定であるから、この役割を」と決まっていることはありませんが、どちらかといえば、管理者を担っている方が多いように思います。そして、当社では認定の資格取得を社として後押ししているのです。

資格取得費用を「貸与」、取得後は資格手当増も!

―具体的にはどのような支援をなさっているのですか。

杉山:認定は資格取得の試験を受けるために約5万円かかりますが、この取得費用を会社が貸与します。取得後、2年間勤務を継続すれば、返済は不要となります。

「やさしい手」が認定ケアマネジャー取得を全面支援する理由

―実質、認定の資格取得のために1人あたり5万円を用意しているわけですね。安いコストではないと思いますが、なぜ、そこまで思い切った施策を実施されているのでしょうか。

杉山:もともと当社は東京都介護支援専門員協会や日本介護支援専門員協会、日本ケアマネジメント学会の賛助会員にもなっています。つまり、経営層が、ケアマネジメントの質向上に理解や関心を持っているのです。そこには「やさしい手でケアマネジャーをすることに魅力を感じてほしい」という、社としての「想い」があります。

石山:ケアマネジャーは勉強好きが多いと感じています。仕事をしながら社会福祉士の資格を取る人も少なくないんですよ。

「やさしい手」が認定ケアマネジャー取得を全面支援する理由

杉山:実際、当社で認定を取得した25人は、ほぼすべて先に主任ケアマネジャーの資格を取っていました。つまり「認定の資格があれば、主任ケアマネジャーになりやすい」という点に魅力を感じたというより、「主任ケアマネジャーの資格を持っていても、自分自身の実力を測り、向上できる機会を得たい」と考える方が圧倒的に多かったということです。

石山:自身の実力を測り、向上するという意味では、認定の試験である口頭試問は、本当にいい機会でした。なにしろ試験官3人に対し、受験者は1人。その3人も、ずっと先達ばかりです。その3人から矢継ぎ早に飛んで切る質問に回答し、その結果合格という評価を受けたということは、自分にとって大きな財産になっています。

―認定を取得すると、社内での評価は変わりますか。

杉山:はい。毎月の給与に資格手当が上乗せされます。

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知識や視点の更新が、ケアマネジメントにも好影響

―認定を取得したことで、プラスになったことを教えてください。

石山:繰り返しになりますが、口頭試問を受けたことは自分の中で本当にプラスになりました。また、さまざまな研修に定期的に参加できる機会が得られるのも、ありがたいですね。新しい情報や知識を得ることができますし、新たな視点を持つチャンスでもあります。

相川:実践と学術の違いがはっきり分かったのは大きいです。学術の視点で見直すと、自分が手掛けるケアマネジメントですら全く違って見えてきます。さらに、日本ケアマネジメント学会で発表する機会が得られたことも、ありがたかったですね。発表を経験したことで、科学的根拠に基づいてケアマネジメントを考えたり、分析したりすることができるようになったと思います。

「やさしい手」が認定ケアマネジャー取得を全面支援する理由

石山:ケアマネジャーにとっては学会に参加するという機会自体、あまりないのです。特に「ケアマネジャーがケアマネジメントのために実施する学会」というのは、日本ケアマネジメント学会以外にはない。それだけに「やさしい手」では、社内のメンバーが同学会に参加する際も、ある程度の支援をしています。

山之内:今、私の管轄には目黒区の地域包括支援センターがありますが、そのセンターの職員2名も、続けて認定を取得してくれました。

認定を持っていると、ケアマネジメント学会による様々な研修に参加する機会もおのずと増えますが、研修での学びを日々のケアマネジメントに活かせるよう取り組んでいる職員が社内に何人もいることは、「やさしい手」にとって誇れることだと思っています。

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認定が増えれば、教育体制もケアマネジメントの質も向上する

―今後、「やさしい手」としては、認定の皆様の力をどのような形で生かしていきたいと考えらえていますか。

杉山:まず、認定を取得する方を今後も増やしたいと思っています。認定を取得した方が増えれば、自社の教育体制はおのずと充実しますし、ケアマネジメントの質向上も期待できます。

山之内:認定を所得した人や主任ケアマネジャーがたくさんいるというのは、スーパーバイズができる人が多く、教育・指導体制がしっかりしているということの証です。だから、認定を取る方が増えれば増えるほど、「やさしい手」で働こうとするケアマネジャーも増えるのではないでしょうか。そして、認定を持つ仲間が増えれば、新たに取り組めることも、きっと増えると思うのです。

「やさしい手」が認定ケアマネジャー取得を全面支援する理由

相川:将来的にはケアマネジメントにも利用者負担が導入されるかもしれません。つまり、ケアマネジャーが選ばれる時代になるかもしれません。そんな将来に対応するためにも、認定を持つ仲間を増やしたいです。

杉山:先日訪問した他社の居宅支援事業所に、認定が在籍していることを示すワッペンが貼ってありました。認定はケアマネジャーの中でも知る人ぞ知る、といった資格なので、それを見て「あ、仲間がここにいた」とすごくうれしくなりました。

「やさしい手」が認定ケアマネジャー取得を全面支援する理由認定ケアマネジャーが在籍していることを示すワッペン

そして思いました。認定がもっと知られて、よく勉強している人だと認識してもらえるようになってほしいと。そのためにも、認定の仲間を増やしたいですね。

―認定が増えることで、何がどう変わっていくと思われますか。

杉山:これまで重度化すると施設を選択せざるを得なかった方たちに「なんとか、家で暮らしていける」と安心していただけるような支援ができる、実力派のケアマネジャーが地域に増えていくことになると期待しています。

山之内:そうですね!認定を取得する人の中には、知識とスキルはもちろん、志も高い人が多いですから。そうした人がどんどん増えれば、高齢者だけでなく、世代を超えて「人にやさしいまちづくり」が実現できるのではないでしょうか。

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