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認定ケアマネジャーについて知りたい
「共感し、支え合える仲間が得られる。それこそが魅力」認定ケアマネジャー座談会

認定ケアマネジャーとして現場で活躍する人たちは、どんな思いで資格取得を目指し、そして今、何を目指しているのでしょうか―。全国各地で活躍する認定ケアマネジャーのメンバーに、その想いを語っていただきました。

  • 青木 宥裕子さん
    広島県で活動中
  • 酒井 清子さん
    認定ケアマネジャーの会会長、2022年3月まで東京都/現在、岩手県で活動中
  • 羽石 芳恵さん
    認定ケアマネジャーの会副会長、東京都で活動中
  • 二口 喜美子さん
    北海道で活動中
  • 縄本 麻里さん
    大阪府で活動中

自身を客観視する「ものさし」として取得を目指す

―認定ケアマネジャー(認定)の資格を取ろうと思われたきっかけについて教えていただけますか。

青木:ケアマネジャーの仕事を続けるには、自己研鑽が不可欠と思ったからです。私がこの仕事を始めたのは約20年前のことでしたが、事業所内には経験年数が1年の先輩と私しかいませんでした。そのため新人の私が80人くらいの利用者を担当したのです。

先輩が私に教えてくれたのは「とにかくご利用者に必要なサービスを提供する」「ご利用者のご自宅では、利用票を渡し、印鑑をもらう。事業所には提供票を渡す。実績をフロッピィに保存し、国保連に持って行く」という程度。それ以外の指導は何もありませんでした。あとは、淡々と80人分の業務をこなしていくだけ。それだけで、精一杯の日々でした。

でも、しばらくすると「これでいいのか?」と、不安になったのです。それで広島市の居宅介護支援事業者協議会の会長さんに相談したところ、認定という存在を教えていただいたので、すぐにその取得を目指すことにしました。

―80人を担当ですか…。20年前は、それはよくあることだったのですか。

羽石:残念ながら、よくあることでした。おまけに書類はほとんどすべて手書きでしたから「1人でもケアマネさんが倒れたら、もう業務が立ち行かない!」というのが、多くの居宅介護支援事業所の実情だったと思います。

私が認定の取得を目指した理由は、利用者本位のケアマネジメントを実現できているかどうか、客観視できる「ものさし」が欲しかったからです。まだ当時はケアマネジャーという仕事そのものが評価されていませんでした。

酒井:ああ、その気持ち、よくわかります。私も、認定の制度が2004年から始まると聞いた時から、ぜひ、取得したいと考えていました。ただ、なかなかチャンスがなく…。実際に試験を受けたのは管理職になってからのことでした。管理職になった時、自分も人材育成と教育する側の立場として、よりスキルアップが求められると感じ、認定を取ったのです。

縄本: 私にとってのきっかけは、日本ケアマネジメント学会の運営のお手伝いに参加させていただいたことですね。「資格さえ取ればケアマネジャーとしてやっていける」と思っていた私にとって、千人を超えるケアマネジャーが、ケアマネジメントの質向上を目指し、全国から集っているという現実は、まったく知らない世界をのぞいたほどの驚きと衝撃でした。

その熱気に押され、自分も認定を取得することを決めました、そして研修を受ければ受けるほど、気づきが増えていき、いつの間にか、認定の研修の魅力にどっぷりとはまってしまいました。

二口:そうなんですよね!私も、認定の研修に参加し、その面白さと楽しさに衝撃を受けると同時に、参加していた認定の皆さんの専門性の高さに心底驚きました。それで、翌年には研修を受けた仲間といっしょに認定を取るための試験に挑んだのです。

認定ケアマネジャーの認定試験会場。試験官3人が1人の受験生に口頭で試問をする
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研修の「楽しさ」の背景にあるもの

―世間一般の感覚でいうと、研修や学習といった取り組みは、しんどいと思っても、楽しいと感じることはまれです。認定に関する研修は、何がそんなに楽しいのでしょうか。

酒井:一番の理由は、本当に多くの気づきを得られるためでしょう。それから認定の会の研修では、事例検討会をはじめとした実践に直結する演習が多いことも理由と思います。

羽石:地域で事例検討会を実施すること自体、ハードルが高いのです。事例を提供することに消極的だったり、改めて自分のケアマネジメントを振り返るということに後ろ向きだったりする人が少なくないからです。一方、認定の会のメンバーは、ケアマネジメントの質向上へのモチベーションが高いため、課題に対して前向きに取り組んでいます。その結果、実のある楽しい研修になるのではないでしょうか。

それから認定の会の研修では、「あなた自身を知り、利用者を知り、そして地域を知った上で、それぞれのケアマネジメントを振り返る」というように、ケアマネジメントを実現するに至るまでの原点やプロセスを大切にします。だから、スーパービジョンを実施するにしても、形だけの取り組みには決してなりません。

二口:そうですよね。だからこそ、研修に出るたびに自分が知らなかった知識や気づかなかった視座が得られるのですよね。

青木:それから自分が思い、考え、悩んできたことを共感してくれる仲間がたくさんいることも、研修の楽しさにつながっているのではないでしょうか。

縄本:わかります!私、事例検討会などで、質問をたくさんしてしまうのですが、認定の仲間は「なんで、そんなに質問ができるの?」「その視点、すごいねえ!!」と言ってほめてくれるのです。おかげで研修に出るたびに自己肯定感が高まります。支え合ってくれる仲間がここにいる、という気持ちになれるのです。

青木:共感できる仲間がいるって、ケアマネジャーには貴重なことなんですよ。

二口:実際、ケアマネジャーという仕事は、連携する相手が多いわりには、自分の仕事を認め、ほめてもらう機会はほとんどないんですよね…。

酒井:そう!だから私は、認定の会の研修が終わったら、すぐに地元に持って帰り、誰かに伝えたくなります。ともに高め合い、共感し合える仲間を、1人でも多く増やしたいから。

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ケアマネジメントを俯瞰できるようになった―認定を取得し、変わったこと

―認定の資格を取られたことで、ご自身のケアマネジメントにはどんな影響がありましたか。

縄本:どんな場合でも物事を俯瞰(ふかん)してみるという意識を持つことができるようになりました。視座が高くなり、自分を客観視できるようになったというイメージです。おかげで、あまり焦らなくなりました。

二口:私も同じように感じています。ご利用者への理解が深まり、見立てや関わり方が変わった結果、やるべきことをやった後は、ご利用者の力を信じて「待つ」ことができるようになりました。その結果、自分も精神的に楽になりました。

青木:確かに私も、認定になるまでは「少しでも早く問題解決しなきゃ」と焦り、ご利用者ができていないことを何とか支援しよう、という思いばかりが強かった気がします。

それが認定の会の事例検討会に何回も参加することで、「なぜ、この人がこのような状態になったのか」といった背景やご利用者の人となりまで意識できるようになり、「できていないことはあるけど、逆に、できていることはこれだけある」という目線から、自立支援につながるプラン策定ができるようになったと感じています。

酒井:私は、資格取得による自分のスキルアップと併せて、法人内の人材育成と資質向上に認定の会の活動を役立てることができました。具体的には、認定の会にお願いし、法人の中で年間を通して研修(事例検討)をすることや、資格取得支援などの仕組みを作りました。

羽石:法定研修では得られないような知識や気づきが自分のケアマネジメントによい影響をもたらしているのは、私も同じです。

あと、認定の会や日本ケアマネジメント学会などで全国各地の仲間と会って話をすることで、働く環境に大きな「地域格差」があることに気づかされました。特に自治体の姿勢次第で、ケアマネジャーをめぐる環境は天と地ほどに違ってしまうのです。そして、しんどい環境におかれた仲間の中には、バーンアウトしてしまう人も出ています。そういう現実を、認定の会や日本ケアマネジメント学会の仲間たちの力で、変えていくことができないか―。最近はそんなことを考え始めています。

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地域貢献を充実させるため、仲間を増やしたい

―今後、認定として、どのような取り組みをしたいと思われていますか。

酒井:まずは仲間を増やすことですね。共に学ぶ人を増やし、そして、地域貢献につなげていきたいです。

青木:同感です。とにかく、より多くの人に認定の良さを理解してもらいたいですね。そのためにも、認定とはどんな資格で、どのような活動をしているか、よりPRした方がいいのかもしれませんね。

二口:酒井さんや青木さんが指摘されたように仲間を増やし、存在を周知するには、認定を取った人が実務者研修や更新研修の講師を積極的に担っていくなどの取り組みが必要なのではないでしょうか。そうした講師ができる人がそろっているのだから、もったいないとすら思います。

縄本:私も仲間を増やしたい。そして、認定という存在の認知度を高めたいです。そのためにも、私の姿を見て「認定とったら、何かが変わるんじゃない?」と思ってもらえるようにならねばと感じています。

酒井:会長としても、認知度を高める取り組みをさらに充実させるよう、知恵を絞ります。既に認定が所属している事業所に掲げてもらうためのワッペンを作成・配布する活動や、認定のメンバーが地域活動を支援するなどの活動も行ってきましたが、残念ながらコロナ禍で少し中断しています。今後、どういう活動していけば、地域活動をバックアップでき、認定の存在をPRできるのか、改めて検討したいと思います。

認定ケアマネジャーが在籍していることを示すワッペン
認定ケアマネジャーが在籍していることを示すワッペン

羽石:最近、私が気になっているのは、主任ケアマネジャーが自分の仕事のやりがいや、だいご味を感じにくくなっているのではないか、ということです。「主任にはなったけど、生かせていない。新しい社会資源の創出なんて、どうしたらいいのか…」と、不安ともどかしさを感じている人が多いと思うのです。

ですので、認定の仲間だけでなく、主任ケアマネジャーさん同士の連携を創出するような役目が担えるようになりたいですね。

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「支え合える仲間」を得るため、認定を目指してほしい

―最後に、これから認定を目指す後進に伝えたいことや、期待したいことをお願いします。

二口:少しでも関心を持ったら、ぜひ、認定を目指してください。敷居が高いとか、自信がないとか思ってしまう人もいるかもしれませんが、飛び込む勇気をもってほしいですね。

縄本:認定を目指す人には限りませんが、学びの機会を待つだけでは、せっかくケアマネジャーになったのにもったいないと思います。与えられる機会や知識だけでなく、自分の力で学び、つかみ取っていくという姿勢を持ってほしいです。

青木:認定を目指す人は、目標とするケアマネジャー像がはっきりしているのだと思います。その目標を実現するためにも、学ぶという姿勢を持ち続けてほしい。「ケアマネジャーは何にも代えられない、大切な職業」と心に刻み、自己研鑽を続けてほしいということです。

羽石:ケアマネジャーとして現場に立っている人には、「悩んでいる人を孤独にさせない」という意識こそを大切にしてほしいと思います。ご利用者が深く悩んだ時、同僚が深く悩んだ時、さりげなく、フッと隣にいるだけでもいいのです。とにかく、孤独にさせないこそがケアマネジャーの役割と思い、支援に取り組んでほしいですね。私自身、支え合う仲間がいたからこそ、20年余り仕事を続けられています。

酒井:羽石さんがおっしゃるように、ケアマネジャーにとって支え合える仲間はとても大切です。私も「介護保険専門員ではなく、介護支援専門員であれ!」という言葉を大切にしつつ、研鑽しあえる仲間を一人でも多く増やしたいと強く思います。

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