有識者コラム2024年法改正・報酬改訂を踏まえたICTへの向き合い方 【前編】
2024年の介護保険法改正・介護報酬改定を経て、あらためてICTの在り方を熟慮している居宅介護支援事業所も多いことでしょう。これからの時代を乗り切るために、ケアマネジャーはICTとどのように向き合えばいいのでしょうか。そこで、ケアマネジャーとしての現場経験が豊富で、現在は社会保障政策などの研究に取り組む、淑徳大学総合福祉学部の結城康博教授にインタビュー。前編となる今回は、ケアマネジメントにおけるICT化の意義について伺います。
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「AI活用のためケアマネジャーが伸ばすべき能力は?」
一口に「介護分野でのICT活用」と言っても、職種によってその意義は大きく異なります。例えば、現場で直接ケアに当たる介護福祉士の業務を考えると、排泄介助や食事介助といった人の手を要するものが大半です。もちろん、見守り支援システムや記録補助などは役立つと思いますが、ICTが生かせる機会は比較的限定されているといえます。 一方、ケアマネジャーの業務では、全体のおよそ2~3割を事務仕事が占めます。ICTが担える部分は大きく、技術が追い付けばかなりの負担を軽減できるのではないでしょうか。具体的には、利用者の基本情報や状態を学習済みのAIに、ケアプランの「見本」を数パターン出してもらうような使い方が想定されます。自分のケアマネジャー時代を思い返しても、1件のケアプラン作成には少なくとも1~2時間を要しましたし、医療の専門用語などを調べることにも苦労しました。ゼロから文章を作成するのではなく、ベースがあって修正する方法なら、労力はだいぶ削減されるでしょう。 2024年の介護保険法改正・介護報酬改定において、ケアマネジャーにとって最も大きな変化をもたらすだろうポイントの一つが、逓減制のさらなる緩和です。担当件数を増やせば増収が見込めるため、特に独立型や小規模の事業所では注目されているのではないでしょうか。しかし、1人のケアマネジャーが44件や49件といった多数の利用者を抱えるのは、実際には非常に大変なこと。実現するのであれば業務効率化は必須であり、ICT活用はその手段になり得るでしょう(ただし、使いこなせる人にとっては……です)。 また、ICTには、アセスメントやケアプラン作成の技術を底上げする意義もあると考えられます。例えば、まだ経験が浅くアセスメントの力量が十分でなかったり、文章を考案するなど書類作成が苦手だったりするケアマネジャーにとっては、事例ごとにお手本を提示してもらえることの意義は大きいはず。業界全体にとって、サービスの質を向上させるきっかけになるのではないでしょうか。 こうした技術が実用レベルに達するにはもう少し時間がかかりそうですが、導入が進むことで発展が促されるという側面もあります。今すぐは大幅な効率化に直結しなかったとしても、ICTに目を向けて、できる範囲で取り入れていくことは大切なのです。将来を見越して、自分から「ICTのスタート」を切る意識を持っておけると理想的です。 ICTで負担が減らせたなら、利用者や家族と向き合って必要なサービスにつなげるという、ケアマネジャーとしての本質的な業務により多くの時間を割くべきでしょう。そうした意味では、2024年度から始まったオンラインモニタリングの解禁は、個人的には失策だったと感じています。利用者の家まで赴き、「以前より散らかっているな」「食材が減っていないけれど何かあったのだろうか」といった現場でしか得られない情報をもとにモニタリングすることが、ケアマネジメントにおいては何よりも大切。介護分野におけるICTの意義を正しく理解することを、厚生労働省には強く望みたいところです。ケアマネジャーこそICTから受ける恩恵は大きい

担当件数の増加にも、ケアマネジャーの質の底上げにも

ケアマネジメントの「本質」に向き合う時間を創出

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- 結城康博(ゆうき・やすひろ)
- 1969年、北海道生まれ。淑徳大学社会福祉学部卒、法政大学大学院修了(経済学修士、政治学博士)。介護福祉士やケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護系の仕事に10年間従事。現在、淑徳大学教授(社会保障論、社会福祉学)。社会福祉士の資格も持つ。『介護職がいなくなる―ケアの現場で何が起きているのか』(岩波ブックレット)など著書多数。
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