有識者コラム大阪府担当者が語る、ICT導入の意義と正しいステップ 【後編】
介護現場における効率化・生産性向上には、ICTの導入が不可欠です。ICT導入支援については、「地域医療介護総合確保基金」を活用するなど、ICT導入経費の補助金だけでなく、各都道府県における生産性向上に関する相談窓口の設置など、自治体ごとに多様な事業に取り組まれています。今回は、大阪府福祉部 高齢介護室介護事業者課 整備調整グループで総括補佐を務める山元芳江さん、同グループの杉澤元輝さんと東尾将多さん、大阪府介護生産性向上支援センターの福井崇之さん、江藤幸子さんにインタビューを依頼。後編となる今回は、2024年度に大阪府介護生産性向上支援センターで実施されている「伴走支援プログラム」の詳細を伺います。

全5回の研修で業務改善を徹底サポート
福井:大阪府介護生産性向上支援センターでは「伴走支援プログラム」を実施しています。介護ロボットやICTの活用に関する年5回の研修を受け、センターのフォローアップを受けながら業務改善を進めていただく内容です。第1回では「介護ロボット・ICT導入の準備をしよう」と題したセミナーを聴講していただき、まずは業務改善を進める手順や体制についてを理解いただくことからスタートして、その後はワークショップ形式で研修を進めていく流れです。本プログラムは他事業所と課題を共有する絶好の機会にもなったようで、研修後も相談し合う様子が見られました。
杉澤:第2回に行った「現場の課題の見える化をしよう」は特に盛り上がりました。一般的に介護事業所はなかなか他の施設と情報共有するきっかけがなく、今回の研修を通じて「みんな同じ悩みを抱えているんだ」と分かり合えたことに大きな価値があったように思います。第3回の「実行計画を立てよう」は実行計画作成のワークショップ、第4回は「改善活動に取り組もう」「改善活動を振り返ろう」「実行計画を練り直そう」をテーマに、介護ロボットやICT導入後に生じた課題等を洗い出し、実行計画を見直す内容。最後の第5回では今回取り組んだ内容や成果を発表いただく予定です。

江藤:一連のプロセスの中でも特に重要なのが、現場の課題の見える化です。本プログラムでは、各事業所で職場の全員にアンケートを取ることにより「職員が何に困っているか」を徹底的に調べてもらいました。その情報を持ち寄り、どこに課題の要点があるかを検討。具体的には、キーワードを書いた付箋をホワイトボードに貼りながら整理したり、『なぜなぜ分析※』の手法を用いたりしました。それに対して、どのようなテクノロジーでアプローチすれば解決につながるかを丁寧に結び付けていくイメージです。なお、大阪府介護生産性向上支援センターには有識者がアドバイザーとして、面談を行ったり実際に事業所を訪れたりしながら、参加事業所におけるマニュアルの作成などをサポートしました。
※一つの問題に対して「なぜ?」と繰り返し問うことで、根本的な原因を探る手法
事業所一丸となって「答え」を導き出そう

東尾:事業所の管理者と現場スタッフ、2~3人での参加を基本としていることも、本プログラムの特徴といえそうです。一人だと情報を持ち帰っても浸透させることが難しいし、特定の人しか製品を活用できないといった状態も起こりかねません。管理者と現場が手を取り合い、前向きに進めていただくことが大切です。そうした意味でも、ICT導入においては事業所内でプロジェクトチームを組むことが理想的ですね。業務改善にはいろいろな解決方法がありますが、ICT導入は取り掛かりやすいすいものの一つではないかと考えます。公的機関や補助金をうまく活用しながら、ぜひ多くの事業所で取り組んでもらいたいです。
山元:本プログラムの修了施設は、来年度以降に「モデル事業所」として見学の受け入れや情報発信に協力していただく予定です。これまでのご苦労や得られた知見を、どんどん外部へ広めていただきたいと考えています。生産性向上には一つの正解があるものではないので、各事業所の理念、地域性、規模などに応じた最適な答えを導き出せるよう、より多くの「お手本」を見ていただくことが大切になるでしょう。大阪府でもどの業界でも人手不足が顕著で、人材の取り合いになっている現状があります。より多くの人に介護業界を志してもらうためにも、すでに従事されている方がやりがいを持って働くためにも、生産性向上を諦めないでほしいと思います。

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