有識者コラム石川県担当者に聞く、介護現場における生産性向上の今とこれから 【後編】
介護現場における効率化・生産性向上には、ICTの導入が不可欠です。「地域医療介護総合確保基金」という国交付金の補助メニューにICT導入支援が位置付けられたことなどを背景に、自治体ごとに多様な事業が展開されてきました。今回は、石川県で介護領域のICT導入に携わる皆さんにインタビューを実施。後編では、いしかわ介護業務改善相談支援センターの取り組みを中心に伺います。

後列左から:正田咲彩さん(石川県健康福祉部 長寿社会課 施設サービスグループ 主事)、弘津茂樹さん(石川県健康福祉部 長寿社会課 在宅サービスグループ 主幹)、田西香織さん(石川県健康福祉部 長寿社会課 在宅サービスグループ 専門員)、寺田佳世さん(石川県リハビリテーションセンター 次長)、藤村亜希さん(石川県健康福祉部 長寿社会課 課参事兼課長補佐)
包括的な視点で伴走支援・モデル事業所育成に取り組む
表:2025年7月に開設した「いしかわ介護業務改善相談支援センター」は、介護テクノロジー機器に関する相談を受け付けるワンストップ窓口として機能する他、「ノーリフティングケア普及促進セミナー」や「介護助手&週休三日制度徹底解説セミナー」など各種セミナーを積極的に開催しています。中でも力を入れているのが、「介護現場の生産性向上に関する伴走支援・モデル事業所育成事業」です。介護テクノロジー機器の導入をすすめる内容ですが、特にモデル事業者に選定されたところでは、普及啓発を進めるお手本的存在になってもらいたいと考えています。

船田:当センターのオープンから間もない2025年8月に行われた「介護生産性向上基礎セミナー」は、伴走支援・モデル事業所育成事業等の参加要件となることもあり、問い合わせが相次ぎました。あいにく、セミナー当日は歴史的な大雨で、急遽オンラインのみの開催になりましたが、それでも123事業所に参加いただけました。その後、オンデマンド配信のニーズが高かったことからも、ICTに興味を抱く事業所が増えていることを実感しています。
寺田:伴走支援・モデル事業所育成事業では、全4~5回のセミナー方式で生産性向上について学ぶことに加えて、コンサルタントが現場を訪問してアドバイスする点が特徴です。具体的には、業務分析や課題抽出の手法などを民間企業の外部コンサルタントが、利用者の身体能力に合わせた介護テクノロジー機器の選定支援を当センターに所属するリハビリテーション職が担い、協働して進めていくかたちです。せっかくいい製品を購入しても、眠らせたままでは意味がありません。その事業所に適したツールを選び、使いこなせるようになるまでの包括的な支援を意識しています。
現場の声を胸に、厳しい状況を乗り越えるサポートを
船田:介護事業所を回る業務を担当していた際、「介護記録を書くことが手間で大変」という意見をたくさん聞いてきました。この点を電子化できる意義は非常に大きく、求職者から選ばれる、そして今の職員が定着する事業所に近づけるはずです。ささいな質問でも構わないので、当センターにどんどん相談ください。

正田: 補助金担当の一人として、事業所ごとに異なる悩みがあることを感じてきました。介護テクノロジー機器の導入にはぜひ積極的に取り組んでいただきたいのですが、「どの機器を導入するといいですか。この機器はどうでしょう?」などと質問いただくことも多く、試行錯誤されている事業所が多い印象です。本当に自施設にマッチした製品を選ぶためにも、さまざまな選択肢を比較してから導入していただくと安心かと思います。

田西:運営指導のため在宅サービスの現場に行くと、ケアプランをFAXでやり取りしたり、紙で持っていったりという話をまだまだ多く耳にします。しかし、タブレットや介護記録ソフトを導入する事業所は少しずつ増加傾向にあり、実際にそうした事業所からは「本当に楽になった」という声が届いています。分からない点があればセンターなどに相談しながら、ぜひICT化のメリットを実感してもらいたいです。

藤村:石川県において能登半島地震の影響はいまだに大きく、復興にはまだまだ多くの時間と労力を要する状態です。介護事業所においても、事業の立て直しや継続に苦心する管理者の方が多くいらっしゃるはずです。しかし、経営について再考せざるを得ない時だからこそ、ぜひICTという便利な道具を活用してほしいという思いもあります。厳しい状況ではありますが、県もサポートしますので一緒に乗り越えていきましょう。
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