どうするICTへの対応…居宅のための導入講座どうするICTへの対応…居宅のための導入講座

有識者コラム居宅介護におけるICT化のハードルと、その飛び越え方 【前編】

介護のICT化は引き続き大きなテーマであり、介護保険法の2027年改改正に向けてもさまざまな議論が進められています。施設介護ではICT化の進展が著しいとの観測もありますが、居宅介護ではどのような状況になっているのでしょうか。今回は、茨城県水戸市で在宅介護事業や居宅介護支援・相談支援事業を手がける株式会社ケアファクトリーの代表取締役で、茨城県介護支援専門員協会副会長を務める能本守康氏にインタビューを実施。前編では、居宅におけるICT導入の実情について伺います。

能本守康さん(株式会社ケアファクトリー代表取締役/茨城県介護支援専門員協会副会長/介護福祉士/主任介護支援専門員/相談支援専門員)

後編はこちら
「ICTによる効率化にも限度はある」

ICTへの向き合い方は事業所ごとに濃淡

昨今、介護のICT化が盛んに叫ばれていますが、介護という営みそのものすべてをICT化することはできないものの、介護業務の一部や周辺業務に対するICT支援を促進することで、ケアワーカーが介護そのものに専念できるようにすることが望ましいと考えています。ただ、介護のICT化には2つの大きな壁があります。

一つはコストの問題で、介護事業所は小規模な事業体も多い中で、なかなか設備投資をする余裕がないという現状があります。ICT導入支援の補助金もありますが、さらなる拡充をお願いしたいところです。

もう一つは職員のリテラシーの問題。比較的年齢層が高い介護職員を相手に、従来のやり方を廃してICTの勉強をしてもらい、使いこなせるようになるまで持っていくにはかなりの努力が必要になります。もっとも、これらのハードルをうまく越えている事業所もたくさんあるので、泣き言ばかりは言っていられないかもしれませんね。

ケアプランデータ連携システムがよい例ですが、ICT導入に熱心な事業所とそうでないところの濃淡は、かなりはっきりしている印象です。熱心な事業所は、リーダーが自ら音頭を取り、高齢の職員を含めてぐいぐい引っ張っていく勢いがありますね。そういうところがモデルケースになってくれている。

本来は市町村が普及促進に努めていかなければならないはずですが、そうなってはいない市町村もあると聞きます。そうした中でICT化の恩恵に浴するためには、先導してくれる地域のリーダーがいるか、そしてその動きをフォローしていけるかがポイントではないでしょうか。

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居宅環境にマッチする介護ロボットの普及を

介護業務の一部を支援する「介護ロボット」には、見守り支援機器、入浴支援機器、介護業務支援機器、移動支援機器、排泄支援機器などさまざまなツールがあります。これらは大きな可能性を秘めており、特に施設介護では活用が進み始めていますね。

一方、居宅介護での普及にはまたしてもハードルがあります。例えば、利用者さんが使っていた入浴支援機器が引っ越し後の環境ではスペースの都合で使えなくなり、せっかく新築のお風呂があるのに週1回の訪問入浴で対応せざるを得なかったというケースがありました。離床センサーなど居宅でも便利に活用できている機器はありますが、ものによっては安全性を保った上でコンパクト化を図り、より居宅環境に適合させていく努力をメーカーさんにはお願いしたいところです。

介護ロボットには、人間ができることをサポートするという方向性と、人間ができないことを実現するという2つの方向性があると思います。どちらの機器も必要だと思いますが、居宅介護の現場にうまくはまるかたちで普及してくれれば、介護人材不足の中でも質の高いケアが維持できるのではないでしょうか。

また、言うまでもなくコスト面も普及のハードルとして大きく立ちふさがっています。購入なのかレンタルなのかによっても多少は違ってきますが、利用者さんのことを考えれば、できるだけリーズナブルであるに越したことはありません。

個人的には、利用者さん個々に補助をするのではなく、メーカー側に補助を入れて販売段階ですでに手が届きやすくなっているような制度設計が理想だと考えています。利用者個々が書類を書いて申請して……とやっていたら、事務作業が膨大になるし、何より制度として使いにくいですからね。居宅介護領域のICT化に対する補助の在り方は、国全体として考えていってほしいです。

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能本守康(のもと・もりやす)
1964年茨城県水戸市生まれ。1988年青山学院大法学部卒、同年水戸信用金庫入庫。1993年株式会社ケアファクトリー設立。現在、同社代表取締役、有限会社共立看護婦家政婦紹介所取締役。日本介護支援専門員協会常任理事や茨城県介護支援専門員協会副会長など、職能団体などで多数の要職につく。著書に「初めて学ぶケアマネジメントテキスト」(中央法規出版)など。介護福祉士、主任介護支援専門員、相談支援専門員。

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